この装置は、財務省の「関税中央分析所」が大阪大学や山形県の企業と共同で開発を進めています。
人の腹部やでん部にラジオで使われる「ラジオ波」と呼ばれる電磁波をあてることで、覚醒剤に含まれる成分があるかどうかを1分程度で検査でき、検査による体への悪影響はないということです。
この装置を使えば、病院に移動する手間がなくなり、より迅速に検査できるということです。
財務省は、性能を確かめる最終的な試験を行ったうえで、来年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、国内の空港の税関に導入する方針です。
財務省によりますと、電磁波で体内の覚醒剤を見つける装置の実用化は世界で初めてではないかということです。
関税中央分析所第二調査研究室の船津幸徳室長は「精度を上げるなど検証を進め、早期に実用化したい」と話しています。
全国の空港で覚醒剤を体内に隠していたとして税関が摘発した事件は、去年1年間で26件に上り、財務省は手口が巧妙になっている密輸への対策を強化する方針です。
体内に隠すケース急増
財務省によりますと、去年、全国の空港や港で税関が摘発した覚醒剤の密輸事件は425件で、押収量は過去最大の2570キロに上りました。
薬物乱用者の標準的な使用量で8566万回分に当たり、末端価格でおよそ1542億円に相当するということです。
摘発した事件の半数以上に当たる229件は旅客用の飛行機で持ち込まれたもので、このうち、飲み込むなど覚醒剤を体内に隠し持っていたケースは26件に上っています。
関西空港と福岡空港では、いずれもタイからの旅客が避妊具に入れた覚醒剤を体内に入れて入国しようとしたとして、税関に摘発されています。
覚醒剤を体内に隠す密輸事件の摘発は、3年前の6件、おととしの5件から、去年、一気に増加しています。
財務省は「新型コロナウイルスの影響で制限されていた海外からの渡航が再開し、入国者が増えれば密輸のリスクも高まるので水際対策を徹底したい」としています。