東日本大震災で
東京・
町田市の
大型スーパーのスロープが
崩れ
2人が
死亡した
事故で、
1審で
有罪判決を
受けた
建築士に、
2審の
東京高等裁判所は「
設計と
異なる
工事が
行われると
予測することはできなかった」として
無罪を
言い渡しました。
5年前の
東日本大震災で、
町田市の
大型スーパー「コストコ
多摩境倉庫店」では、
立体駐車場のスロープが
崩れ、
車に
乗っていた
当時74歳と
66歳の
夫婦が
死亡し、
6人がけがをしました。
この建物の構造を設計した石川県野々市市の1級建築士、高木直喜さん(69)が業務上過失致死傷の罪に問われましたが、「設計に問題はなかった」として無罪を主張しました。
1審の東京地方裁判所立川支部は、揺れに弱い構造だったと指摘したうえで、「設計どおりの工事が行われるように、責任者に確実に伝える義務を怠った」として禁錮8か月、執行猶予2年の判決を言い渡し、被告側が控訴していました。
13日の2審の判決で、東京高等裁判所の井上弘通裁判長は「設計の内容を図面などで示し、責任者に伝えていたのは明らかだ」と指摘しました。そのうえで、「自分の設計と異なる工事が行われると予測することはできなかった」として、1審の判決を取り消し無罪を言い渡しました。
建築士「捜査し直してほしい」
無罪を言い渡された高木直喜さんは「適正に判断してもらい、感謝しています。ただ、今回の事故では2人が亡くなりけが人も出ていて、手放しで喜ぶことはできません。事故の責任が誰にあるのか捜査し直し、起訴すべき人を起訴してもらいたいです」と話していました。
遺族「納得いかない判決」
無罪の判決について、事故で亡くなった夫婦の47歳の長男は「本来であれば設計に関係した人たち全員が責任をとるべきだと考えています。人が亡くなったのに責任が明らかにならず、誰も裁かれなかったことに納得がいきません」と話していました。
東京高検「誠に遺憾」
判決について、東京高等検察庁の曽木徹也次席検事は「主張が認められず誠に遺憾だ。判決内容を十分に精査・検討し適切に対処したい」というコメントを出しました。