生前せいぜん退位たいい有識者ゆうしきしゃ会議かいぎきょうはつ会合かいごう 提言ていげん検討けんとう本格ほんかく

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Oct 17, 2016 04:10
Furigana
天皇てんのう陛下へいか生前せいぜん退位たいいなどについて検討けんとうする政府せいふ有識者ゆうしきしゃ会議かいぎはつ会合かいごういちななにち安倍あべ総理そうり大臣だいじん出席しゅっせきしてひらかれます。有識者ゆうしきしゃ会議かいぎは、当面とうめんいちにん程度ていど専門せんもんから天皇てんのう公務こうむ負担ふたん軽減けいげん退位たいいに関にかんする考え方かんがえかたなどについて意見いけんき、論点ろんてん整理せいりしたうえで、来年らいねんはるころまでの提言ていげんりまとめにけて検討けんとう本格ほんかくさせることにしています。政府せいふは、天皇てんのう陛下へいかがことし8月はちがつ、「生前せいぜん退位たいい」の意向いこうがにじむお気持きもちを表明ひょうめいされたことをけて、あらたに設置せっちした「天皇てんのう公務こうむ負担ふたん軽減けいげんとうに関にかんする有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ」のはつ会合かいごういちななにち総理そうり大臣だいじん官邸かんていひらきます。

はつ会合かいごうには、安倍あべ総理そうり大臣だいじんかん官房かんぼう長官ちょうかんらのほか、メンバーに起用きようされた、経団連けいだんれん今井いまいたかし名誉めいよ会長かいちょう慶應義塾けいおうぎじゅく清家きよいえあつし塾長じゅくちょう東京とうきょう大学だいがく御厨みくりやたか名誉めいよ教授きょうじゅなどわせてろくにん出席しゅっせきします。

はつ会合かいごうでは、座長ざちょう座長ざちょう代理だいりめるほか、皇室こうしつ制度せいどに関にかんするこれまでの政府せいふ見解けんかい課題かだいなどについて政府せいふがわから説明せつめいおこなわれ、今後こんご議論ぎろん進め方すすめかたなどが協議きょうぎされる見通みとおしです。

そして、今後こんごつきかい程度ていど会合かいごうひらき、当面とうめん憲法けんぽう歴史れきし皇室こうしつ制度せいどなどの知見ちけん専門せんもんいちにん程度ていどから、天皇てんのう国事こくじ行為こうい公的こうてき行為こういなどの在り方ありかた負担ふたん軽減けいげんする方策ほうさくとして、憲法けんぽうじょうさだめのある「摂政せっしょう」の設置せっちや、国事こくじ行為こうい委任いにんに関にかんする考え方かんがえかたについて、意見いけん方針ほうしん確認かくにんする見通みとおしです。

このほか、専門せんもんからは、退位たいいに関にかんする考え方かんがえかたや、退位たいいできるようにする場合ばあい、どの天皇てんのうにも適用てきようできる制度せいどとすべきか、それに退位たいい天皇てんのう身分みぶん活動かつどう在り方ありかたなどについても意見いけんくものとみられます。

有識者ゆうしきしゃ会議かいぎでは、課題かだい問題もんだいてんについて論点ろんてん整理せいりし、その内容ないよう国会こっかい国民こくみんしめしたうえで、世論せろん動向どうこう見極みきわめながら、来年らいねんはるころまでの提言ていげんりまとめにけて検討けんとう本格ほんかくさせることにしています。

また、政府せいふ会議かいぎ一定いってい方向ほうこうせい段階だんかいで、衆参しゅうさん両院りょういん議長ぎちょうのもとで、与野党よやとう幹部かんぶまじえて意見いけんわすことなども検討けんとうしています。

生前せいぜん退位たいいけての課題かだい

天皇てんのう陛下へいか生前せいぜん退位たいいのためには、皇室こうしつ典範てんぱん改正かいせいして「生前せいぜん退位たいい」を制度せいどすることや、天皇てんのう陛下へいかかぎって特別とくべつ法律ほうりつ制定せいていすることなどがかんがえられます。

生前せいぜん退位たいい」を制度せいどする場合ばあいには、年齢ねんれい心身しんしん状態じょうたい条件じょうけんもうけるかや、天皇てんのう意思いし表示ひょうじ必要ひつようかなど、退位たいいの「要件ようけん」をどうさだめるかがおおきな課題かだいになります。また、天皇てんのうがどのようにして意思いしあらわし、それをどう確認かくにんし、だれ退位たいいみとめるのかなどの「手続てつづき」についても、退位たいい強制きょうせいふせぐという観点かんてんから議論ぎろん対象たいしょうになりそうです。

一方いっぽう特別とくべつ法律ほうりつ制定せいていする場合ばあいでも、退位たいい天皇てんのう位置いちづけなどおおくの検討けんとう必要ひつようになります。

歴史れきしじょう譲位じょういした天皇てんのうには「太上天皇だじょうてんのう」の尊称そんしょうおくられ、「上皇じょうこう」という通称つうしょうばれてきましたが、あらたに呼称こしょうめなければなりません。

あたらしい天皇てんのうとの関係かんけいや、どのように公務こうむかかわるのかも課題かだいになります。

さらに、おまいの場所ばしょや、生活せいかつのための予算よさん、それに宮内庁くないちょう組織そしき体制たいせいなどの検討けんとう必要ひつようで、おおがかりで精緻せいち仕組しくみづくりがもとめられます。

また、現在げんざい皇室こうしつ制度せいどでは、皇太子こうたいしさまが天皇てんのう陛下へいかわって即位そくいされると、皇太子こうたいし不在ふざいとなるため、秋篠宮あきしののみやさまをどのように位置いちづけるのかも検討けんとう対象たいしょうとなってきそうです。

有識者ゆうしきしゃ

日本にっぽんきん現代げんだい専門せんもん静岡しずおか福祉ふくし大学だいがく小田部おたべ雄次ゆうじ教授きょうじゅNHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、「古来こらい皇室こうしつでは半分はんぶんちかくの天皇てんのう生前せいぜん退位たいいしているれいがあり、近代きんだいになってってしまったという伝統でんとうがある。ご高齢こうれいになったとき退位たいいしてもいいようなみちつくってさしあげるのが、現代げんだい社会しゃかいあたらしい伝統でんとうだ」とべました。そのうえで小田部おたべ教授きょうじゅは、ほう整備せいび在り方ありかたについて、「特別とくべつ措置そちほうが『はや陛下へいかをおらくにするという意味いみ有効ゆうこうだ』ということには反対はんたいしない。ただ、特定とくていいちれいだけをゆるすような法律ほうりつ法治ほうち国家こっかとしていいのか、弊害へいがいのこさないかは不安ふあんだ」とべました。

最高さいこう裁判所さいばんしょもと判事はんじで、過去かこに「皇室こうしつ典範てんぱんに関にかんする有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ」の座長ざちょう代理だいりつとめた園部そのべ逸夫いつおは「天皇てんのうくらいをおゆずりになるというお気持きもちを尊重そんちょうしたほうがいい。天皇てんのう陛下へいかのご意思いしになるべくはや沿うための制度せいどつくるということが大事だいじであり、この問題もんだいについて論争ろんそうばかりしていては、かえってご意思いし沿わないことになるのではないか」とべています。そのうえで、「皇室こうしつ典範てんぱん改正かいせいいま天皇てんのうだけにかぎらずそのつぎやそのつぎだいまでずっと規定きていすることになり、対応たいおうする皇室こうしつ典範てんぱんつくるには相当そうとう時間じかんがかかる。特別とくべつ措置そちほうである特定とくてい天皇てんのうについてかんがえるほうが、さきさきまでいろいろ議論ぎろんをする必要ひつようがないのでよいのではないか」とべました。

皇室こうしつ制度せいど憲法けんぽう専門せんもんうららさわ大学だいがく八木やぎ秀次しゅうじ教授きょうじゅNHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、「生前せいぜん退位たいいは、そくつぎ世代せだい即位そくい拒否きょひにつながるもので、制度せいどとしてみとめてしまうと、皇室こうしつ天皇てんのう制度せいど存立そんりつあやうくなる。いま天皇てんのう陛下へいかかぎって、いちだいかぎりの特別とくべつ措置そちほう制定せいていしようという見解けんかいもあるとおもうが、特別とくべつ措置そちほうとはいえつぎ世代せだい前例ぜんれいになる」とべました。そのうえで、八木はちぼく教授きょうじゅは「皇室こうしつ制度せいどをどう維持いじ存続そんぞくさせるかの視点してん必要ひつようだ。天皇てんのう公務こうむ整理せいりしてらすなり、ほかの皇族こうぞくかた肩代かたがわりしていただくといった解決かいけつさくもあるし、国事こくじ行為こうい臨時りんじ代行だいこう十分じゅうぶん対応たいおうできるとおもう」とべました。

日本にっぽんきん現代げんだい専門せんもん日本にっぽん大学だいがく古川ふるかわ隆久たかひさ教授きょうじゅNHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、「絶対ぜったい反対はんたいというわけではないが、生前せいぜん退位たいい戦後せんご直後ちょくご天皇てんのう責任せきにんをめぐる議論ぎろんなどいろいろな政治せいじてき事情じじょうのぞましくないということになって、いま法令ほうれいでは想定そうていされていない」とべました。そのうえで、古川ふるかわ教授きょうじゅは「一般いっぱんみなさんが『かわいそうだからはやく』という気持きもちになるのはわかるが、冷静れいせいかんがえたうえ判断はんだんするのがのぞましい。たとえば、さまざまな公的こうてき行為こういをほかの皇族こうぞく方々かたがた代行だいこうされるというかたちにすれば、全然ぜんぜん法的ほうてき措置そち必要ひつようではないし、そういうかたち対応たいおう選択せんたくとしては十分じゅうぶんありるだろうとおもう」とべました。

竹下たけした内閣ないかくから村山むらやま内閣ないかくまでななにん総理そうり大臣だいじん内閣ないかく事務じむ官房かんぼうふく長官ちょうかんつとめた石原いしはら信雄のぶおNHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、「明治めいじ憲法けんぽう体制たいせい以降いこう生前せいぜん退位たいい具体ぐたいてき日程にっていにのぼったことはなく、わたし在職ざいしょくちゅうまった想定そうていしなかった事態じたいだ。ただ、天皇てんのう陛下へいかのご年齢ねんれい健康けんこうかんがえると、なんねんもかけて議論ぎろんする問題もんだいではなく、なるべくはやこたえをしてほしい」とべました。そのうえで、石原いしはらは「生前せいぜん退位たいいについては、専門せんもんでかなり意見いけんへだたりがあるが、事柄ことがら性質せいしつじょう国民こくみん総意そういというか、おおかたの国民こくみん納得なっとくするところでおさめなければならない。ほかの法案ほうあんなどのように国会こっかい多数決たすうけつめる問題もんだいではない」とべました。

皇室こうしつ典範てんぱん改正かいせい検討けんとうした小泉こいずみ内閣ないかく内閣ないかく法制ほうせいきょく長官ちょうかんつとめた阪田さかた雅裕まさひろNHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、「生前せいぜん退位たいい可能かのうにするということであれば、いちばんの課題かだいは、どういう状況じょうきょう退位たいいするのかという要件ようけん設定せっていだ。一般いっぱんてき客観きゃっかんてき要件ようけんとして生前せいぜん退位たいい法律ほうりつくとすれば、議論ぎろん集約しゅうやくするのに時間じかんがかかる一方いっぽう特例とくれいほうであれば、今上きんじょう天皇てんのう退位たいいをどうかんがえるかということなので議論ぎろん相当そうとう集約しゅうやくされる」とべました。そのうえで、阪田さかたは「どちらがいいかはわたしからないが、生前せいぜん退位たいい一般いっぱんすることがより適当てきとうなのか、あるいは、今上きんじょう天皇てんのうかぎったほうがいいとかんがえるのか、有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ国民こくみんおおいに議論ぎろんされるべきだ」とべました。

気持きも表明ひょうめい天皇てんのう陛下へいか

天皇てんのう陛下へいかは、お気持きもちを表明ひょうめいしたあとも、これまでとわりなく公務こうむのぞまれてきました。

いち週間しゅうかん8月はちがついちにちには、皇后こうごうさまとともに、全国ぜんこく戦没せんぼつしゃ追悼ついとうしきのぞまれました。お気持きもちの表明ひょうめいおおくのひとたちのまえ姿すがたせたのはこのときはじめてで、天皇てんのう陛下へいか戦後せんごななぜろねん去年きょねんつづき「ふか反省はんせい」という言葉ことば盛り込もりこんでおことばをべられました。

軽井沢かるいざわなどでの静養せいようのあと、先月せんげついちぜろにちからさん日間にちかん日程にってい皇后こうごうさまと山形やまがたけん訪問ほうもんし、「全国ぜんこくゆたかなうみづくり大会たいかい」の式典しきてんなどに出席しゅっせきされました。

先月せんげつはちにちからは岩手いわてけん日間にちかん日程にっていおとずれ、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいおおきな被害ひがいけた大槌おおつちまちさかな市場しじょう復興ふっこう状況じょうきょう視察しさつしたり、仮設かせつ住宅じゅうたくなどでらす被災ひさいしゃはげまされたりました。そして、震災しんさいのあと被災ひさいはじめてひらかれた国体こくたい国民こくみん体育たいいく大会たいかい開会かいかいしき出席しゅっせきされました。

先週せんしゅうには、国賓こくひんとして来日らいにちしたベルギーのフィリップ国王こくおう夫妻ふさい歓迎かんげい行事ぎょうじのぞみ、国王こくおう夫妻ふさい茨城いばらきけん案内あんないするなど、これまでとわりなく公務こうむのぞまれてきました。

宮内庁くないちょう

天皇てんのう陛下へいか表明ひょうめいされたお気持きもちについて、宮内庁くないちょうは「国民こくみん理解りかいられており、内閣ないかく官房かんぼう優先ゆうせんてき対応たいおうしていただきたい」として、検討けんとうすみやかにすすむよう期待きたいするかんがえをしめしています。

宮内庁くないちょう風岡かざおかぜん長官ちょうかんは、お気持きも表明ひょうめい直後ちょくご長官ちょうかんとして記者きしゃ会見かいけんのぞみ、天皇てんのう陛下へいか発言はつげんについて「憲法けんぽうじょう立場たちばまえ個人こじんとしての心情しんじょうべられた」と説明せつめいしました。そして、「よわいによる体力たいりょくおとろえでつとめをたしていくことがむずかしくなるのではないかとふかあんじておられ、あらためてご心労しんろうおおきさを痛感つうかんした」とはなし、「お気持きもちがひろ国民こくみん理解りかいされることをねがっている」とべました。

その後そのご長官ちょうかんとして最後さいごのぞんだ先月せんげつ記者きしゃ会見かいけんでは、「天皇てんのう陛下へいか率直そっちょくなお気持きもちをべられたことに対にたいして、おおくの国民こくみん理解りかいられている」として、「内閣ないかく官房かんぼう優先ゆうせんてき対応たいおうしていただき、できるだけすみやかに検討けんとうすすむことをねがっている」とはなしました。

また、後任こうにん山本やまもと長官ちょうかんは「内閣ないかく官房かんぼう緊密きんみつ連携れんけいりながら、りょう陛下へいか活動かつどう様子ようす皇室こうしつ制度せいど運用うんよう状況じょうきょう歴史れきしについてきっちり整理せいりし、説明せつめいをしながら、しっかりと協力きょうりょくしていきたい」とはなしています。

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