町おこしのため
栽培の
許可を
得た
大麻草から、
食品などを
作るという
全国でも
珍しい
取り組みを
行っていた
鳥取県にある
会社の
代表が、
厚生労働省の
麻薬取締部に
大麻取締法違反の
疑いで
逮捕されていたことがわかりました。
代表は「
大麻は
個人で
使用していた」と
供述しているということで、
麻薬取締部は
入手ルートなどを
調べています。
逮捕されたのは、
鳥取県智頭町にある
大麻草の
加工販売会社の
代表、
上野俊彦容疑者(
37)です。
厚生労働省によりますと、
上野代表は
県の
許可を
得て、
3年前から
智頭町で
大麻草を
栽培し、
種や
茎から
食品や
衣服などを
作る
取り組みを
進めていました。しかし、
今月4日、
自宅で
乾燥大麻88グラムを
隠し持っていたとして、
厚生労働省の
麻薬取締部に
大麻取締法違反の
疑いで
逮捕されました。
上野代表の会社が栽培する大麻は、麻薬成分が少ない産業用のものですが、所持していたのは別の大麻と見られ、麻薬取締部は入手ルートなどを調べています。調べに対して上野代表は「大麻は他人からもらって個人で使用していた」と供述しているということです。
智頭町では産業用の大麻の栽培が町おこしにつながるとして上野代表の取り組みを支援していて、上野代表は以前のNHKの取材に対して、「大麻草は悪いものという偏見を払拭(ふっしょく)し、さまざまな活用法があることを知ってもらいたい」と話していました。
栽培許可を得た業者が大麻取締法違反の疑いで逮捕されるのは初めてで、厚生労働省は全国の都道府県に対して、栽培の許可が適正かどうか確認するよう通知を出すことにしています。
許可があれば栽培可能
大麻草の栽培は、昭和23年に制定された大麻取締法で禁じられていますが、都道府県の許可を受ければ栽培することができます。
大麻草は、麻の布やしめ縄などに利用され、昭和29年のピーク時にはおよそ3万7000人の農家が栽培していましたが、今は全国で30人ほどに減っています。一方、ヨーロッパなどでは麻薬成分の少ない産業用の大麻を衣服のほか、住宅の断熱材などさまざまな製品にしていて、国内でも一部の自治体が新たな町おこしの産業になるとして関心を寄せています。
鳥取県 栽培許可の取り消しも視野
大麻草を栽培する会社の代表が逮捕されたことについて、許可を出した鳥取県の金涌文男医療指導課長は「これまでの手続きには問題はなかったがこのようなことになり遺憾だ。栽培免許の取り消しも視野に入れて国と相談しながら今後の対応を考えていきたい」と話しています。