一般の
人から
出資を
募って
国有林を
育てる「
緑のオーナー
制度」をめぐって、
林野庁が
元本割れのリスクを
十分に
説明しなかったとして、
全国のオーナーが
国を
訴えた
裁判で、
国の
責任を
認めておよそ
1億円の
賠償を
命じた
判決が、
最高裁判所で
確定しました。「
緑のオーナー
制度」は、
一口おおむね
50万円で
出資を
募って
国有林を
育て、
木材を
売却した
収益を
還元するもので、
林野庁は
全国のおよそ
8万6000人から
500億円を
集めました。
ところが、木材の価格が下がって元本割れが相次ぎ、全国のオーナー200人余りが「元本割れのリスクについて十分な説明がなかった」として、国に5億円余りの賠償を求める訴えを起こしました。
1審の大阪地方裁判所と2審の大阪高等裁判所は、いずれも「平成5年6月以前に国が使っていたパンフレットは元本割れがないという誤解を生じさせるものだった」として国の説明義務違反を認め、2審は、国に対してオーナーの一部におよそ1億円を賠償するよう命じました。
これに対して、賠償が認められなかったオーナーなどが上告していましたが、最高裁判所第3小法廷の山崎敏充裁判長は、20日までに上告を退ける決定を出しました。
これによって、国におよそ1億円の賠償を命じた判決が確定しました。
緑のオーナー制度 約95%が元本割れ
「緑のオーナー制度」は、「国民参加の森づくり」をうたって、国が始めた事業です。出資金は一口おおむね50万円で、スギやヒノキなどを国と共同で所有し、およそ20年後から30年後に育った木材を販売して得られた収益が出資額に応じて分配されます。
林野庁は、昭和59年度から平成10年度まで募集を行い、およそ8万6000人から500億円を集めましたが、木材の価格が低迷したため、販売額が出資額を下回って元本割れとなるケースが相次ぎました。
林野庁によりますと、現在も制度は継続されていますが、ことし3月末の時点で、出資の対象となったおよそ4600か所の森林のうち販売されたのは1700か所で、このうちおよそ95%が元本割れを起こしているということです。
農林水産省は、募集の段階で必要な説明は行われていたとして、出資者に対して損失の補填(ほてん)をしない方針を決めましたが、全国のオーナーが国に賠償を求める訴えを起こしていました。