これを受けて、全日空はニューヨークとシカゴ路線を30日、新たに開設し、記念の式典を開きました。この中で、国土交通省航空局の平垣内久隆次長は「羽田の国際線ネットワークは今回の就航で世界規模になり、日本を訪れる外国人の増加も期待される」と述べました。
今回の発着枠は、全日空のほか、日本航空と、アメリカの航空会社4社に振り分けられていて、人気の高いアメリカ路線が日中に運航されることで羽田の国際空港としての機能がさらに強化されることになります。
出張で利用するという30代の女性は「昼間の出発便だと現地にも日中に着くので非常に便利です。羽田へはアクセスもよく助かります」と話していました。
羽田空港をめぐっては、国土交通省が4年後の2020年に向けて東京の都心上空を飛行する新たなルートを設定する計画で、国際線の発着回数は年間で最大3万9000回増える見通しですが、地元の住民からは騒音の増加を懸念する声も出ています。
新たな路線は10往復
ことし2月の日米航空交渉での合意を受けて、羽田空港とアメリカを結ぶ路線には、30日から日中を含む時間帯に10往復の路線が新たに設けられます。
このうち、ニューヨークとシカゴは、全日空が1往復ずつ運航します。
また、サンフランシスコは、日本航空とユナイテッド航空がそれぞれ1往復ずつ。
ロサンゼルスは、デルタ航空とアメリカン航空が1往復ずつ。
ミネアポリスは、デルタ航空が1往復。
それに、ハワイのホノルルは、全日空と日本航空、ハワイアン航空がそれぞれ1往復ずつ、運航します。
羽田空港とアメリカの主要都市を結ぶ路線が午前6時から午後11時までの時間帯に新たに設けられることで、今後、ビジネスや旅行などでの利用の拡大が期待されます。
空港間競争をどう勝ち抜くか課題
羽田空港の「国際化」は、今後、さらに進む見通しです。
国土交通省は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年までに都心上空を通るように飛行ルートを見直して、羽田空港の国際線の発着枠をさらに1日50往復ほど増やす方針です。増枠が決まれば、羽田空港を発着する路線の拡大に向け、アメリカをはじめとした各国と航空交渉を行うことにしています。
一方、成田空港では、今月、全日空が、ニューヨーク、シカゴを結ぶ路線をそれぞれ2往復から1往復へ減便。また、成田空港をアジアとアメリカを結ぶ拠点と位置づけているアメリカの大手航空会社デルタ航空は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ミネアポリス、タイのバンコクを結ぶ路線から撤退しました。
その理由について、デルタ航空は、ことし2月の日米航空交渉でアメリカと羽田空港の路線に日中を含む時間帯の発着枠が新たに設けられることになり、成田空港の競争力が低下するためだとしました。
こうした「成田離れ」ともいう動きに対し、成田空港では、台頭著しいLCC=格安航空会社の専用ターミナルの整備や、発着枠の拡大に向けて3本目の滑走路の建設に向けた検討など空港の機能強化を進めています。
ただ、日本と近いアジア各国では、シンガポールや韓国などが世界的に高まる航空需要を取り込み、自国の経済成長に生かそうと、国を挙げた競争が激しくなっています。
このため国土交通省は、羽田空港と成田空港を「首都圏空港」と位置づけて、世界の多くの航空会社が乗り入れる「ハブ空港」としての機能を強化したいとしていて、今後、両空港の強みを生かし、空港間競争をどう勝ち抜いていくかが課題となっています。