またユーロに対しては、14日と比べて92銭、円安ユーロ高の1ユーロ=123円36銭~40銭でした。
ユーロはドルに対しては、1ユーロ=1.0486~90ドルでした。
市場関係者は「今後、FRBの利上げペースが速まるのではないかという見方が広がり、高い利回りが期待できるドルを買う動きが続いた。市場では、トランプ次期大統領の政策に対する期待感などもあり当面は、円安の傾向が続くのではないかという見方が多い」と話しています。
スーパーは値上げも検討
愛知県の食品スーパーからは、今後、一段と円安が進めば、輸入の原材料を使った一部の商品については値上げを検討せざるをえないと心配しています。
愛知県稲沢市にある食品スーパーでは、さらに円安が進めば、輸入の小麦や大豆を使ったパンや豆腐、それに海外産のサーモンの刺身などの仕入れ値が上がるのではないかと懸念していて、値上げも検討せざるをえないとしています。
一方で、輸入の小麦や大豆を原材料とするものでも、「みそ」や「しょうゆ」などの日用品は、ほかの店との販売競争が激しいため、できるだけ価格は据え置きたい考えです。
スーパーの運営会社の山田博比古副会長は「客が離れてしまうので値上げできない商品も多く、仕入れ価格が上昇すれば経営にとっては痛手です」と話していました。
買い物客からは「年金暮らしなので、日用品が値上げされるととても苦しいです」とか「値上げされても食費は削りにくいので、ほかのところで節約します」といった声が聞かれました。
家庭用品メーカーも懸念
外国為替市場で円安が進んでいることについて和歌山県の家庭用品メーカーは、輸入の割合が高い原材料の調達コストが上がるとして先行きを懸念しています。和歌山県海南市には、キッチンやトイレなどで使う家庭用品を扱うメーカーがおよそ60社あり、円安が進むことを懸念する声が上がっています。
このうち、スポンジを1日およそ50万個生産して、国内向けに出荷している会社ではポリウレタンなど原材料のうち4割ほどをドイツなどから輸入しています。このため、円安がさらに進むと原材料の調達コストが上がり、経営が圧迫されるのではないかと心配しています。
家庭用品メーカー「ワコー」の石田侃社長は「これまでも為替相場の振れが経営に大きく影響してきたが、来年はさらに厳しい状況になってくると思う。すぐに価格転嫁するのは難しいので、可能な限り堪え忍ぶしかない」と話していました。
中小企業 コスト上昇を懸念
円安が進んでいることについて、中小企業からは電気料金などのコストが上がることによる経営への影響を懸念する声が聞かれました。
愛知県大府市にある自動車部品メーカーは、従業員およそ400人で自動車の座席の部品を製造していますが、中小企業にとって円安はマイナス面のほうが大きいと話しています。
千代田工業の野村隆社長は「円安で大手メーカーは利益を上げるが、その恩恵は下請けメーカーには降りてこない。円安が進むと電気代やガス代などが上がり部品の製造コストが増えるため、逆に、経営が厳しくなると覚悟している」と話しています。
ガソリンや灯油 さらに値上がりも
石油元売り各社でつくる石油連盟の木村康会長は定例会見で、円安が進んでいることについて、「OPEC=石油輸出国機構の減産合意による原油価格の上昇に円安が重なる形で、ガソリンや灯油のコストが上昇する要因になる」と述べて、今後、一段と円安が進めば、ガソリンや灯油がさらに値上がりすることは避けられないという見方を示しました。
そのうえで木村会長は日本経済に与える影響について「これまでは、原油価格の下落がデフレの要因だったので、この水準の値上がりであれば、緩やかな物価の上昇につながり日本の経済全体にはプラスになると思う」と述べました。
マツダ社長「変動幅が大きくなっているだけ」
国内で生産した自動車の8割程度を輸出するマツダの小飼雅道社長は、円安が進んだことについて、「為替の変動幅が大きくなっているだけだと思ったほうがよい。円高に耐えられる生産体制を構築するという戦略を変えるつもりはない」と述べました。