アメリカのケリー
国務長官は、
イスラエルが
進める
占領地への
入植活動が
パレスチナ側との
和平交渉を
困難にしていると
批判し、
同盟国イスラエルの
対応に
強い
不満を
示しました。アメリカのケリー
国務長官は
来月、トランプ
新政権が
発足するのを
前に、みずからが
精力的に
仲介に
取り組んだものの、
進展が
見られなかったイスラエルとパレスチナ
側の
和平交渉について、
28日にワシントンで
演説しました。
この中でケリー長官は「イスラエルとパレスチナ国家の共存が唯一で適切な解決策だ。しかし、入植活動が和平を困難にし、イスラエルの孤立にもつながっている」と述べ、イスラエルが進めるヨルダン川西岸などの占領地での入植活動を批判しました。そのうえで、「入植活動をやめなければパレスチナ国家の樹立は事実上、不可能だ」として、和平交渉が進展しなかった大きな要因は、イスラエルの入植活動にあるという考えを示しました。
アメリカは、国連安全保障理事会で今月23日に行われた入植活動の即時停止を求める決議案の採択で、これまでの方針を一転して拒否権を行使せず、オバマ政権は任期の最後に同盟国イスラエルに強い不満を示した形となりました。
一方、トランプ次期大統領は、ケリー長官の演説の直前にツイッターで「頑張れイスラエル。大統領が代わる1月20日はすぐそこだ」と書き込むなどイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしていて、新政権の対応が注目されています。
パレスチナ暫定自治政府は発言支持
これを受けて、パレスチナ暫定自治政府の交渉担当者は、アッバス議長の談話を発表しました。この中で、アッバス議長は「イスラエル政府が占領地での入植活動を停止し、これまでの相互の合意を守ることに同意すれば、パレスチナ指導部は期限を決めたうえで交渉を始める用意がある」として、ケリー長官の発言を支持しました。
イスラエルのネタニヤフ首相は首相府で記者会見し、演説は不当にイスラエルばかりを非難した内容だったと反論しました。そのうえで、「パレスチナがユダヤ人国家としてのイスラエルをかたくなに承認しないことこそが紛争の核心であり、国際社会が問題視すべきことだ。ケリー国務長官がこの単純な真実を見ようとしないことはただ残念であり、恥ずべきことだ」と述べ、ケリー長官の発言を批判しました。