量子りょうしコンピューター実現じつげん不可欠ふかけつ技術ぎじゅつ開発かいはつ 東大とうだい

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Jan 3, 2017 18:01
Furigana
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現代げんだいスーパーコンピューターではなんせんねんもかかるとわれるきわめて複雑ふくざつ計算けいさんを、わずかすう時間じかんくという、ゆめちょう高速こうそくコンピューター「量子りょうしコンピューター」の実現じつげんけて、東京とうきょう大学だいがくのグループが世界せかいてき注目ちゅうもくされている「量子りょうしテレポーテーション」とばれる現象げんしょうをめぐり、重要じゅうよう成果せいかたことがわかりました。ちょう高速こうそくコンピューターの実現じつげんかせない、情報じょうほう瞬間しゅんかん移動いどう無制限むせいげん繰り返くりかえせるようにするあらたな技術ぎじゅつ開発かいはつ成功せいこうで、グループではことしからだい規模きぼ計算けいさん精度せいどたかおこなうための研究けんきゅう本格ほんかくさせることにしています。量子りょうしコンピューターの実現じつげんけて重要じゅうよう技術ぎじゅつ開発かいはつ成功せいこうしたのは、東京とうきょう大学だいがく古澤ふるさわあきら教授きょうじゅのグループです。

量子りょうしとは、物質ぶっしつのもとになる原子げんし光子こうしなどのことで、古澤ふるさわ教授きょうじゅカリフォルニア工科こうか大学だいがく客員きゃくいん研究けんきゅういんだったいちきゅうきゅうはちねんに、はなれているふたつの量子りょうし情報じょうほう瞬時しゅんじつたえる量子りょうしテレポーテーションとばれる現象げんしょうこすことに世界せかいはじめて成功せいこうし、注目ちゅうもくあつめました。

この量子りょうしテレポーテーションについて、古澤ふるさわ教授きょうじゅのグループが実験じっけん装置そうち一部いちぶ特殊とくしゅ工夫くふうくわえることで、情報じょうほう瞬時しゅんじつた関係かんけいにある量子りょうしを、制限せいげん作り出つくりだ技術ぎじゅつ開発かいはつあらたに成功せいこうしたことがわかりました。

これまで量子りょうしテレポーテーションをめぐっては、情報じょうほう瞬時しゅんじつた関係かんけいにある量子りょうし連続れんぞくして作り出つくりだせるかず限度げんどがあることが課題かだいになっていましたが、今回こんかい重要じゅうよう成果せいかによって、量子りょうしコンピューターの実現じつげんけたおおきなかべひとつが取り払とりはらわれたことになります。

たとえば、いちぜろぜろおくとおりの組み合くみあわせがある問題もんだい場合ばあい現代げんだいのコンピューターはすくなくともいちぜろぜろおくかい計算けいさん繰り返くりかえ必要ひつようがありますが、量子りょうしテレポーテーションの技術ぎじゅつ使つかえば、同時どうじ並行へいこういちぜろぜろおくとおりの計算けいさんおこなえる可能かのうせいがあるということです。

グループでは実験じっけん成功せいこうしたあらたな技術ぎじゅつ使つかって、ことしからだい規模きぼ計算けいさん精度せいどたかおこなうための研究けんきゅう本格ほんかくさせることにしています。

古澤ふるさわ教授きょうじゅは「将来しょうらい量子りょうしコンピューターの基盤きばんとなる技術ぎじゅつに、めどをつけることができたとえるくらいのおおきなブレークスルーだと手応てごたえをかんじている。まだまだ乗り越のりこえるかべおおいが、ぜろねんには実用じつようできるよう、さらに研究けんきゅう推し進おしすすめていきたい」とはなしています。

量子りょうしテレポーテーション応用おうようみちける

はなれた量子りょうし量子りょうし情報じょうほう瞬時しゅんじつたえる量子りょうしテレポーテーションは、量子りょうしどうしが、兄弟きょうだいのような関係かんけいにある場合ばあい人工じんこうてきこせる現象げんしょうです。

ひとつの量子りょうし特殊とくしゅ装置そうち複数ふくすうけた場合ばあい量子りょうしどうしがはなれていても、お互おたがいに影響えいきょう兄弟きょうだいのような不思議ふしぎ関係かんけいまれます。

古澤ふるさわ教授きょうじゅいちきゅうきゅうはちねん世界せかいはじめて、この現象げんしょうこしたときには、ふたつの量子りょうし情報じょうほうつたえただけでした。その後そのご兄弟きょうだいのような関係かんけいにある量子りょうしすこしずつ、やすことに成功せいこうしましたが、そのかず最大さいだいでも、およそいちまんろくぜろぜろぜろにとどまり、やせる量子りょうしかず限度げんどがあることが、量子りょうしコンピューターへの応用おうようけておおきなかべとなっていました。

それが今回こんかい研究けんきゅう成果せいかによって、兄弟きょうだいのような関係かんけいにある量子りょうし無制限むせいげん作り出つくりだすことができるようになり、量子りょうしコンピューターへの応用おうようみちおおきくけることになりました。

量子りょうしコンピューター なに使つかう?

量子りょうしコンピューターは、膨大ぼうだい組み合くみあわせがある計算けいさん同時どうじ並行へいこう素早すばやくことができることから、あらたな医薬品いやくひん開発かいはつや、高度こうど画像がぞう診断しんだんによる病気びょうき早期そうき発見はっけん家庭かてい電化でんか製品せいひんなどからあつまるビッグデータの活用かつようなどに応用おうようできると期待きたいされています。

たとえば、あたらしいがん治療ちりょうやく開発かいはつする場合ばあい現在げんざいかんがえられる物質ぶっしつ組み合くみあわせについて、いちぜろぜろぜろちょうかいいちぜろばいであるいちきょうかいの、さらにいちぜろぜろまんばいくらいという天文学てんもんがくてき回数かいすう計算けいさんなが時間じかんをかけてっていますが、量子りょうしコンピューターが実現じつげんすれば、こうした計算けいさん短時間たんじかんでできる可能かのうせいがあります。

また、からだたてやすし状態じょうたい画像がぞう診断しんだん調しらべる場合ばあいも、人工じんこう知能ちのう量子りょうしコンピューターが導入どうにゅうされれば、画像がぞう認識にんしき精度せいど飛躍ひやくてきたかまり、病気びょうきなどの兆候ちょうこうをよりはやつけられるようになる可能かのうせいがあります。

さらに今後こんご家庭かていにある冷蔵庫れいぞうこやエアコン、テレビなどさまざまな電化でんか製品せいひんインターネットにつながる時代じだいになると、膨大ぼうだいあつまるビッグデータを使つかって、市場しじょう予測よそくいちにんいちにん健康けんこう管理かんりなどに活用かつようできる可能かのうせいがあります。

一方いっぽうで、現在げんざいのコンピューターによる暗号あんごう量子りょうしコンピューターでは簡単かんたんけてしまう可能かのうせいがあり、より複雑ふくざつ暗号あんごう技術ぎじゅつ開発かいはつ必要ひつようになるとかんがえられています。

企業きぎょう実用じつよう期待きたい

量子りょうしコンピューターの実現じつげんけては、はなれている量子りょうし量子りょうし情報じょうほう瞬時しゅんじつたえる量子りょうしテレポーテーションとばれる現象げんしょうを、小型こがた装置そうちなか実現じつげんすることが必要ひつようで、古澤ふるさわ教授きょうじゅ研究けんきゅうにはNTTえぬてぃ-てぃ-参加さんかし、小型こがた装置そうち開発かいはつすすめています。

古澤ふるさわ教授きょうじゅによる量子りょうしテレポーテーションの実験じっけんはばよんメートル、奥行おくゆいちメートルのだいうえに、かがみやレンズぜろぜろまいあま設置せっちしたおおがかりな装置そうち使つかっておこなわれています。

量子りょうしコンピューターの実現じつげんけては、量子りょうしテレポーテーションを小型こがた装置そうちなか実現じつげんすることが必要ひつようで、古澤ふるさわ教授きょうじゅ研究けんきゅうNTTえぬてぃ-てぃ-参加さんかし、装置そうち開発かいはつすすめています。

これまでに、NTTえぬてぃ-てぃ-では微細びさい加工かこう技術ぎじゅつによって、実験じっけん装置そうち一部いちぶおおきさろくセンチほどのちいさなチップじょう再現さいげんし、量子りょうしテレポーテーションを単発たんぱつ発生はっせいさせることに成功せいこうしています。

NTTえぬてぃ-てぃ-では今後こんご量子りょうしテレポーテーションを繰り返くりかえすことができる小型こがた装置そうち開発かいはつ取り組とりくみ、量子りょうしコンピューターの実現じつげんにつなげたいとしています。

NTTえぬてぃ-てぃ-先端せんたん集積しゅうせきデバイス研究所けんきゅうじょ橋本はしもと俊和としかず主幹しゅかん研究けんきゅういんは「これまで量子りょうしテレポーテーションは、その現象げんしょうこせる回数かいすう限度げんどがあり、量子りょうしコンピューターへの応用おうようけておおきなあしかせになっていましたが、今回こんかい古澤ふるさわ教授きょうじゅ研究けんきゅうによってその限度げんどがなくなり、量子りょうしコンピューターの実現じつげんけた土台どだいができたとおもっています。わたしたちが長年ながねんつちかってきたちょう小型こがた半導体はんどうたい開発かいはつする技術ぎじゅつつよみをかし、量子りょうしコンピューターの実現じつげん貢献こうけんしたい」とはなしています。

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