世界せかい最小さいしょうクラスのミニロケット まもなく打ち上うちあげ

ＪＡＸＡによりますと、衛星えいせいを打ち上うちあげるものとしては世界せかいで公表こうひょうされているロケットの中なかでも最小さいしょうクラスだということです。現地げんちでは早朝そうちょうから発射はっしゃ台だいへの据え付すえつけが行おこなわれるなど、準備じゅんびが進すすめられています。

搭載とうさいされるのは高たかさ３さん５ごセンチ、重おもさが３さんキロの超ちょう小型こがた衛星えいせいで、地球ちきゅうの上空じょうくうを回まわる軌道きどうに投入とうにゅうして、地上ちじょうとのデータのやり取やりとりや地上ちじょうを撮影さつえいする実験じっけんが行おこなわれます。

ロケットと衛星えいせいのいずれにも、スマートフォン用ようのカメラや家電かでん製品せいひんに使つかわれる電子でんし部品ぶひんなど、一般いっぱんに広ひろく利用りようされている民生みんせい品ひんが使つかわれ、今回こんかいの開発かいはつと打ち上うちあげにかかる費用ひようはおよそ４よん億おく円えんと、ＪＡじぇいえいＸえっくすＡえいのほかの人工じんこう衛星えいせいの打ち上うちあげに比くらべて、数すう十じゅう分ぶんの１いちに抑おさえられています。

ミニロケットは天候てんこうに問題もんだいがなければ、鹿児島かごしま県けん肝付きもつき町まちの内之浦うちのうら宇宙うちゅう空間くうかん観測かんそく所しょから、午前ごぜん８はち時じ４よん８はち分ふんに打ち上うちあげられます。

超ちょう小型こがた衛星えいせいには通信つうしんや地球ちきゅう観測かんそくによる新あらたな宇宙うちゅうビジネスの市場しじょうを広ひろげると世界せかいで関心かんしんが高たかまっていて、ＪＡＸＡは今回こんかいの打ち上うちあげで得えられる技術ぎじゅつを民間みんかん企業きぎょうに積極せっきょく的てきに活用かつようしてほしいとしています。

ミニロケットの利点りてんは

現在げんざい、日本にっぽんで超ちょう小型こがた衛星えいせいを打ち上うちあげる場合ばあい、大型おおがたのロケット「Ｈ２えいちつ-Ａえい」や「Ｈ２えいちつ-Ｂび-」に相乗あいのりして打ち上うちあげられていますが、打ち上うちあげを計画けいかくしてから実際じっさいに打うち上あがるまでに数すう年ねんかかるなど、機動きどう性せいに欠かけることが課題かだいになっています。

超ちょう小型こがた衛星えいせいを「Ｈ２えいちつ-Ａえい」や「Ｈ２えいちつ-Ｂび-」で打ち上うちあげる場合ばあい、大型おおがたの人工じんこう衛星えいせいとともに打ち上うちあげるか、宇宙うちゅう輸送ゆそう船せん「こうのとり」に搭載とうさいして打ち上うちあげられています。大型おおがたの人工じんこう衛星えいせいとともに打ち上うちあげる場合ばあいは、大型おおがたの衛星えいせいの開発かいはつ者しゃなどとの交渉こうしょうや調整ちょうせいに時間じかんが必要ひつようで、打ち上うちあげを計画けいかくしてから実際じっさいに打うち上あがるまでに数すう年ねんかかるほか、大型おおがたの衛星えいせいの開発かいはつの遅おくれに左右さゆうされることもあります。

また、超ちょう小型こがた衛星えいせいを打ち上うちあげたい時期じきに打ち上うちあげられないほか、投入とうにゅうしたい軌道きどうを自由じゆうに選えらべないという制約せいやくもあります。

一方いっぽう、宇宙うちゅう輸送ゆそう船せん「こうのとり」で打ち上うちあげる場合ばあいも、国際こくさい宇宙うちゅうステーションから宇宙うちゅう飛行ひこう士しに放出ほうしゅつしてもらうために、ＮＡＳＡなさなどとの国際こくさい調整ちょうせいに時間じかんがかかるほか、国際こくさい宇宙うちゅうステーションが飛行ひこうしている軌道きどうにしか投入とうにゅうできないという制約せいやくがあります。

このため、超ちょう小型こがた衛星えいせいを専用せんように打ち上うちあげるミニロケットが開発かいはつされれば、打ち上うちあげを計画けいかくしてから実際じっさいに打うち上あがるまでの期間きかんを短縮たんしゅくできるほか、都合つごうのよい時期じきに、投入とうにゅうしたい軌道きどうに打ち上うちあげられるなど、自由じゆう度どが高たかまると期待きたいされています。

開発かいはつ費用ひようは約やく４よん億おく円えん 安やすさの理由りゆうは

今回こんかい打ち上うちあげられる世界せかい最小さいしょうクラスのミニロケットは、開発かいはつ費用ひようが衛星えいせいを含ふくめてもおよそ４よん億おく円えんと、ＪＡじぇいえいＸえっくすＡえいのほかの人工じんこう衛星えいせいの打ち上うちあげに比くらべて、数すう十じゅう分ぶんの１いちに抑おさえられています。

安やすさの理由りゆうの１ひとつは、ロケットの下したの部分ぶぶんに取り付とりつけられた４よん枚まいの羽根はねです。羽根はねの一いち枚まい一いち枚まいには０ぜろ．２に度どという、ごくわずかな傾かたむきがつけられています。

ロケットが飛行ひこうする際さい、この羽根はねが風かぜを受うけることで機体きたいが時計とけい回まわりに１いち秒間びょうかんに２に回転かいてんし、回転かいてんしながら飛行ひこうすることで機体きたいのバランスを維持いじする仕組しくみになっています。

大型おおがたロケットのＨ２えいちつ-Ａえいでは飛行ひこう中ちゅう、内部ないぶのコンピューターが機体きたいの位置いちや進行しんこう方向ほうこう、速度そくどを細こまかく計算けいさんしながらメインエンジンの向むきを微妙びみょうに変化へんかさせて機体きたいのバランスを整ととのえていますが、このミニロケットでは、そうした微び調整ちょうせいを行おこなう高価こうかな機器ききが不要ふようになっています。

安やすさの理由りゆうの２ふたつ目めは発射はっしゃ台だいです。発射はっしゃ台だいは打ち上うちあげの角度かくどが自由じゆうに調整ちょうせいできるようになっていて、実際じっさいに打ち上うちあげる角度かくどは当日とうじつの風かぜの強つよさや向むきを踏ふまえて１いち０ぜろ分ふん前まえに決きまります。

これによって、ロケットの進行しんこう方向ほうこうを調整ちょうせいするための高価こうかな機能きのうも搭載とうさいしなくてすむようになっています。

安やすさの理由りゆうの３みっつ目めは、ロケットを横倒よこだおしの状態じょうたいにして待機たいきする際さいに機体きたいを覆おおうテントで、これで雨あめをしのぐことで発射はっしゃ台だい全体ぜんたいを覆おおうドームなどを建設けんせつせずに済すみました。

このほか、ロケットの部品ぶひんには家電かでん製品せいひんに使つかわれている民生みんせい用ようの電子でんし部品ぶひんなどが使つかわれ、こうした工夫くふうによってコストを大幅おおはばに削減さくげんしています。

ミニロケットの打ち上うちあげ責任せきにん者しゃを務つとめるＪＡＸＡの羽生はぶ宏人ひろと准じゅん教授きょうじゅは「宇宙うちゅう開発かいはつのすそ野すそのを広ひろげるためには、コストを下さげることが必須ひっすだ。高価こうかな機器ききを使つかわない小ちいさなロケットでも超ちょう小型こがた衛星えいせいを打ち上うちあげられるということを、今回こんかいの実験じっけんの成功せいこうを通をつうじて示しめしたい」と話はなしています。