世界各国の
政治や
経済界のリーダーが
一堂に
会する
世界経済フォーラムの年次総会、いわゆるダボス
会議が
スイスで
開幕し、まもなく
就任する
アメリカのトランプ
次期大統領が、
世界経済や
国際情勢にどのような
影響を
与えるのかなどについて、
活発な
議論が
交わされています。スイス
東部のダボスで
17日に
始まったことしのダボス
会議には、
70か国以上の
政府首脳や
閣僚に
加え、およそ
1800人の
経済界のリーダーたちが
参加しています。
ことしは、就任式を3日後に控えたアメリカのトランプ次期大統領が、世界経済や国際情勢にどのような影響を与えるのかが最大のテーマとなっています。
初日の17日には中国の習近平国家主席が演説し、自由貿易を推進する立場をアピールすることで、保護主義的な発言を繰り返すトランプ次期大統領をけん制すると見られています。
また、19日にはイギリスのメイ首相も演説し、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の方針や、今後のアメリカとの関係などに言及すると見られるほか、ことし就任したばかりの国連のグテーレス事務総長も、国際社会の安定に向け、アメリカの新政権との協力を訴えるものと見られます。
一方、トランプ次期大統領の政権移行チームの幹部も討論に参加する予定で、政権の優先課題などに言及するのではないかと注目を集めています。
今回は、中国の習近平国家主席が初めて出席することもあって、会場周辺では例年以上に厳重な警備が敷かれていて、警備員が参加者の手荷物を入念にチェックしています。
ダボス会議は20日まで開かれ、世界に広がる大衆迎合的な政治の動きや、後を絶たないテロへの対策、人工知能の世界経済への影響など、幅広いテーマについて活発な議論が交わされます。
米新政権の出方注意深く見守る
ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長は、会議の開催を前にNHKとのインタビューに応じ、今週発足するアメリカのトランプ次期政権について、「新政権が実際にどんな政策をとるのか、就任後の一般教書演説の内容を見極める必要がある」と述べ、新政権の出方を注意深く見守る姿勢を示しました。
ただ、トランプ次期大統領が、すでに各国の自動車メーカーにアメリカ国内に投資をするよう圧力をかけていることについて、「自由貿易は双方の国に利益を生みだし、過去10年で自由貿易によって新興国を中心に何百万の雇用が生まれている。自国の利益を追求するのは当然だが、地球規模で何が利益となるかを包括的に考えるべきだ」と述べ、トランプ氏の保護主義的な姿勢をけん制しました。
そのうえでシュワブ会長は、世界各地でグローバル化に対する懸念が広がっていることについて、「私たちは互いにつながり、互いに必要な『地球』という1つの村に暮らしているのであり、グローバリズムと反グローバリズムをボタン一つで切り替えることはできない。グローバリズムのもたらすプラスの面を生かしつつ、全体を脅かすマイナスの面をしっかりと認識し、対処していくこと重要だ」と述べ、グローバル化がもたらした格差や不平等といった課題の解決に取り組むよう、各国の指導者に呼びかけました。