一方で、ワシントンをはじめ、東部のニューヨークやボストン、中西部のシカゴ、西部のロサンゼルスなど、全米各地で新大統領に反発するデモが行われ、参加者は合わせて数百万人に上ると見られています。
デモは当初、女性の権利を訴えるグループが呼びかけたものでしたが、その後、多くの若者や黒人や移民、性的マイノリティーの権利を求める人たちも加わり膨れ上がりました。
ワシントンでのデモには多くの著名人も参加していて、呼びかけ人の女優のアメリカ・フェレーラさんは「胸が締めつけられる思いです。ともに立ち上がらなければ、私たちの自由と安全が失われてしまうかもしれない」と述べ、トランプ新大統領に強い警戒感を示しました。
また、歌手のマドンナさんも、「変革はここから始まります。私たちが自由で平等であり続けるために闘いましょう」と訴えました。
新大統領の就任の翌日に、全米でこれほど大規模な抗議デモが行われるのは極めて異例で、選挙戦を通じて深まったアメリカ社会の分断が改めて浮き彫りになったかたちです。
首都ワシントンでは約50万人がデモ
トランプ大統領の就任から一夜明けた21日、首都ワシントンの中心部には、全米各地からおよそ50万人が結集して、中心部の広場や大通りを埋め尽くしデモを行いました。
デモは平和的に行われていますが、集まった人たちはトランプ大統領の「アメリカを再び偉大にする」というキャッチフレーズをもじった、「アメリカを再び優しくする」と書かれたプラカードを掲げたり、「トランプ大統領は出ていけ」などと、かけ声を上げて行進したりして、トランプ大統領のこれまでの女性やヒスパニック系などの少数派に対する差別的な言動に抗議の声を上げていました。
さらに、就任パレードが行われた大通りを行進し、通りに面しているトランプ大統領の名前がついたホテルの前にさしかかると、一斉に「恥を知れ」と大声で叫んだり、ブーイングしたりしていました。
デモに参加した女性は「トランプ大統領の就任演説を聴きましたが、歴代政権の功績を否定するような内容が嫌でした。彼は選挙に勝ってからも攻撃的な発言は変わらず、私の不安は消えていません」と話していました。
また、ワシントンから参加した女性は「こんなに大規模な抗議活動に参加したのは初めてです。それだけ多くの人たちがトランプ大統領に対して団結していることを示していると思います」と話していました。