パフォームは総額およそ2100億円で、今月25日に開幕する今シーズンから、10年間Jリーグの放映権を獲得し、配信サービス「DAZN」でJ1からJ3までのリーグ戦のすべての試合をインターネットで中継する予定です。
ほかにもアメリカの大リーグや、サッカードイツ1部リーグなど、国内外およそ130種類のスポーツの試合を配信しますが、両社の提携では、通常、月額1750円のところ、ドコモの利用者には980円で配信するということです。
ドコモとしては、スマートフォンの契約者数が伸び悩むなど事業環境が厳しくなる中で、顧客を囲い込む狙いがあり、パフォームはドコモの利用者を通じて加入者を広げる狙いがあります。
これに対し、去年、先行してスポーツ中継の配信サービスを始めたソフトバンクは8日、「フルHD」と呼ばれる高画質で視聴できるようにする新たなサービスを発表し、月額1480円のところ、ソフトバンクの利用者には980円で優遇するとし、競争が激しくなっています。
DAZNのCEO「加入者の伸び加速させたい」
都内で開かれた記者会見で、配信サービスDAZN(ダ・ゾーン)のジェームズ・ラシュトンCEOは「携帯電話市場で最大のシェアを持つドコモとの提携によって、より多くのファンにサービスを提供することが可能になる。ドコモが抱える顧客基盤や全国に展開する店舗を通じて、加入者数の伸びをさらに加速させたい」と述べました。
また、ドコモの吉澤和弘社長は「サッカーなどの人気スポーツだけでなく、一度も視聴したことがないスポーツまで、時間や場所を選ぶことなく、いつでもどこでも観戦できるようになり、スポーツ観戦をより身近なものにできる」と述べて、できるだけ早い時期に契約者数100万人を達成したいという考えを示しました。
ソフトバンク 孫社長「競争が業界発展」
NTTドコモがスポーツ中継の分野に参入することについて、ソフトバンクグループの孫正義社長は「さまざまな競争が業界を発展させていくと信じているので歓迎したい。われわれはどこよりも早く、通信のインフラとコンテンツのサービスを融合させることをやってきた。プロ野球や海外のサッカーなど、スポーツのライブ配信はみずからたくさんやってきたし、ノウハウが蓄積しているのがわれわれのグループだ」と述べ、自社のサービスに自信を示しました。
利用者の囲い込み競争が激化
スポーツ中継をめぐっては、大手通信会社の間で利用者の囲い込み競争がさらに激しくなりそうです。
NTTドコモに先行して、ソフトバンクは去年3月にスポーツ中継に参入しました。日本のプロ野球や大相撲、サッカー女子なでしこリーグ、それにサッカースペインリーグ「リーガ・エスパニョーラ」など、8種類のスポーツの試合を定額で配信しています。
また、8日に新たに「フルHD」と呼ばれる、高画質で視聴できるようにするサービスを打ち出し、月額1480円でソフトバンクの利用者は980円で配信すると発表しました。
価格に大きな差をつけているのが特徴で、今回、ドコモも自社の利用者を優遇する料金設定を行うことで、大手通信会社どうしの利用者の囲い込み競争はさらに激しくなりそうです。
通信各社は、通信のつながりやすさや料金が横並びとなり、最新のスマートフォンの実質0円販売や多額のキャッシュバックで顧客を取り合う競争を繰り返してきましたが、国はこうした販売方法をガイドラインで禁止する措置を講じました。
一方、割安な料金で通信サービスを提供する格安スマホ事業者もシェアを伸ばしています。このため、通信各社は新たな差別化戦略として、動画や音楽などの配信サービスを強化しています。
とりわけスポーツの分野は、生中継に大きな価値があるとされ、各社はスマホやタブレットなどで、いつでもどこでも見られるメリットをアピールして利用者を囲い込むとともに、通信料収入を増やそうという戦略を進めています。
一方、アメリカでは一足早くこうした競争が始まっていて、大手通信会社のベライゾン・コミュニケーションズのほか、IT企業のヤフーとツイッターなどがスポーツ中継に参入しています。