これに対し、安倍総理大臣は「妻が学校法人で講演する際、待合室で『名誉校長になってください』と頼まれて断ったが、その後、突然、籠池理事長から講演の場で紹介されて拍手され、『引き受けてもらわないと困ります』と言われて、最終的には受けることになった」と経緯を説明しました。
そのうえで、安倍総理大臣は「妻としては名誉校長を引き受けていることで、子どもたちや両親にかえって迷惑をかけるので辞任させていただくと先方に申し入れた。今回、さまざまな出来事があり、妻とも話して名誉校長の座を退くことになった。こうした出来事があっても、先方から何ら説明もなく、家内から最終的に連絡を取った段階で、『教育者としていかがなものか』と伝えた。先方のホームページには妻が名誉校長ということで載っていたが、こちらの申し出に従って削除したということではないか」と述べました。
また、安倍総理大臣は、学校法人側から小学校名にみずからの氏名を使用したいと申し出があったが、繰り返し断っていたと説明したうえで、「寄付を募る紙に『安倍晋三小学校』とあったのを見て驚がくした。寄付金集めに名前が使われたことは本当に遺憾で抗議し、先方から謝罪があった」と述べました。
一方、安倍総理大臣は学校法人の籠池理事長との関係を問われ、「1対1でお目にかかった記憶はなく、講演をお断りする際に電話で申し上げた。学校法人が運営する幼稚園にもお伺いしていない」と述べるとともに、パーティー券を購入してもらったり、政治献金を受けたりしたことも無いと説明しました。
そのうえで、国有地の売却などをめぐり、「政治家の口利きは無かったのか」と問われたのに対し、「売却、認可の問題に、私と家内あるいは事務所も一切関わっていない。もし関わっているということであれば、私は政治家として責任を取ると明言している。ただ、ほかの政治家が関わっていたかどうかは、私は当然答えられない」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、今回の売却は適法だとするとともに、今後の会計検査院による検査を見守る考えを示しました。
このほか、安倍総理大臣は、学校法人が運営する幼稚園をめぐり、「教育方針などに問題があるのではないか」と指摘されたのに対し、「どういう教育かは文部科学省が責任ある官庁として判断し、認可は大阪府が判断すべきだ。国政の長である私がコメントすることは不適切だ」と述べました。
一方、財務省の佐川理財局長は、近畿財務局と土地を所有する大阪航空局、それに土地を工事する業者の交渉記録について、売買契約が締結されたことを受け、廃棄したことを明らかにしました。
菅官房長官「私の立場でコメントすべきじゃない」
菅官房長官は閣議の後の記者会見で、「総理夫人が個人として何をされるかについて政府として把握するものではないし、私自身も直接うかがっていない。承知をしていないので私の立場でコメントはすべきじゃない」と述べました。
石井国土交通相「適正に業務執行と認識」
石井国土交通大臣は24日の閣議の後の会見で、「地下の埋設物の処分・撤去費用は大阪航空局が近畿財務局から依頼を受け、見積もりを行った。想定しておくべき費用を見積もったもので、適正に業務が執行されたと認識している。国会でも取り上げられているので、引き続き説明していきたい」と述べました。
自民 下村幹事長代行「審議を見守りたい」
自民党の下村幹事長代行は記者会見で、「安倍総理大臣も麻生副総理兼財務大臣もきちんと答弁しており、与党としては予算委員会での審議を見守っていきたい。また、安倍総理大臣の昭恵夫人が小学校の名誉校長を辞任することについては、民間の方でもあるのでコメントすることはない」と述べました。
公明 井上幹事長「国民には率直な疑問がある」
公明党の井上幹事長は記者会見で、大阪・豊中市の国有地が学校法人に鑑定価格より低く売却されたことについて、「国民には率直な疑問がある」として、疑問を解消できるよう、政府は丁寧に説明すべきだという考えを示しました。
この中で公明党の井上幹事長は、大阪・豊中市の国有地が学校法人に鑑定価格より低く売却されたことについて、「政府側は『法令にしたがって適切に処理されている』と答弁しているが、国民には率直な疑問があるので、きちんと積極的に答えていくことが大事だ」と述べ、疑問を解消できるよう、政府は丁寧に説明すべきだという考えを示しました。
また、井上氏は、「共謀罪」の構成要件を厳しくして「テロ等準備罪」を新設する法案について、「国民から懸念を持たれないようにしなければならず、政府から法案が示されれば、提出時期ありきではなく党内で慎重に議論して結論を出したい」と述べ、閣議決定の時期にはこだわらず党内で十分に議論したいという考えを示しました。
民進 辻元氏「被害者は首相でなく国民」
現地での調査にも参加した民進党の辻元前役員室長は記者会見で、「国有地をただ同然で売り払われた被害者は国民であって、安倍総理大臣や妻ではない。安倍総理大臣は、『自分も被害者だ』という雰囲気を醸し出し、幕引きしようとしているのではないかと心配している。『自分たちの関与がないことを含めて、調査をしっかりします』と言うのが普通の対応なのに、頑としていわなかった。引き続き調査するよう求めていく」と述べました。