5日は、地元の子どもたちなどおよそ400人と震災の復興支援を続けている陸上男子ハンマー投げの金メダリスト、室伏広治さんが火をともす催しが開かれました。聖火台に火がともされて赤い炎が立ち上ると、会場から大きな拍手が起きていました。
また、5日は生ゴミなどから作り、環境にも優しいとされるバイオガスに火をともす、デモンストレーションも行われました。
宮城県内では、震災の教訓からバイオガスを利用する動きが広がっていて、東北大学の研究者が中心となって次の東京オリンピックの聖火の燃料にすることを提案しています。会場では用意された高さ20センチほどの聖火台のレプリカに火がともされていました。
小学4年生の男の子は「オリンピックという世界的な大舞台で、自分が作ったバイオガスがともればうれしい」と話していました。石巻市の46歳の男性は「前向きな気持ちになれた。オリンピックを被災地から盛り上げたい」と話していました。
復興五輪の聖火にバイオガスを
バイオガスの研究をしている東北大学の多田千佳准教授は、震災で宮城県大崎市にある大学の建物に避難した際、学生が寒さで震えているのを目の当たりにしました。そのとき、建物には大量のバイオガスが保管されていましたが、燃料にして暖まる設備がありませんでした。
多田准教授は「すごく悔しかった。バイオガスは作るだけでなく、使う手段を確保していないと意味がないと感じた」と話しています。
多田准教授は震災のあと、子どもたちに身近にある生ゴミからバイオガスを作る方法を教えてきたほか、大崎市の温泉街に設けられたカフェに、バイオガスを燃料にする装置を設置して生ゴミを入れた人には、コーヒーや紅茶を無料で出しています。
多田准教授は「復興五輪」を掲げている東京オリンピックの聖火にバイオガスを使えば「『復興の希望の炎』になる」と話しています。
東京オリンピックの大会の組織委員会は、ことし8月までに聖火についてのコンセプトをまとめ、どの燃料を使うか決めることにしています。