6年前の
巨大地震の
影響で、
岩手県から
青森県の
沖合の「
三陸沖北部」では、
100年前後の
間隔で
繰り返し
起きているマグニチュード
8前後の
地震の
発生間隔が
短くなっている
可能性のあることが
専門家の
解析でわかりました。
専門家は、
巨大地震の
影響は
今も
続いていて、
引き続き
注意が
必要だとしています。
6年前の
巨大地震のあと、
震源域やその
周辺の
海底では、
地殻変動が
観測されていて、
巨大地震の
影響を
受けた
地下深くのマントルの
動きも
関わっていると
考えられています。
東北大学などの研究グループは、陸地や海底に設置されたGPSの観測装置や海底水圧計のデータをもとに、マントルの影響を取り除き、巨大地震後に震源域の周辺でプレート境界でどれだけ動いたかを詳しく解析しました。
その結果、巨大地震後の平成23年12月までのおよそ8か月間に、岩手県の沖合の海底では、プレート境界が40センチ以上ずれ動いた一方、そのすぐ北側にあたる「三陸沖北部」の海底では、プレート境界はほとんどずれ動かず、ひずみをため続けていると見られることがわかりました。
「三陸沖北部」では、過去に100年前後の間隔でマグニチュード8前後の地震が繰り返し起きていて、49年前の昭和43年にはマグニチュード7.9の地震が発生し、北海道と東北の沿岸で、高さ数メートルの津波が押し寄せ50人以上が死亡しています。
研究グループによりますと、三陸沖北部のプレート境界では、巨大地震の影響で今回解析したおよそ8か月間で5年分に相当するひずみがたまり、地震の発生間隔は4年以上短くなった可能性があるということです。
周辺の領域では、その後の観測でも同様の地殻変動が続いているとういことで、研究グループでは今後、さらに解析を進めることにしています。
日野教授は「巨大地震の影響は今も続いていて、特に震源域の北部では津波を伴う地震のリスクが高まっている可能性がある。日頃から地震や津波への備えを進めてほしい」と話しています。
三陸沖北部 過去の地震
政府の地震調査研究推進本部によりますと、岩手県から青森県の沖合の「三陸沖北部」のプレート境界では、過去およそ400年間にマグニチュード8前後の地震が100年前後の間隔で繰り返し発生しています。
このうち、昭和43年に発生したマグニチュード7.9の地震では北海道と東北の沿岸に高さ数メートルの津波が押し寄せ、合わせて50人以上が死亡しました。
また、江戸時代末期の1856年に発生したマグニチュード7.5と見られる地震では、北海道や東北の沿岸で津波によって建物が流されるなどの被害が出たほか、余震も多く発生したとされています。
昭和43年の地震からは50年近くが経過し、政府の地震調査委員会は、今後、30年以内に三陸沖北部でマグニチュード8前後の地震が発生する確率を最大で20%と評価しています。