この大会は全国の700余りのチームが加盟している小中学生の硬式野球の団体「日本少年野球連盟」の東日本大会で、13日から埼玉県本庄市で始まりました。
「日本少年野球連盟」では医師に依頼して選手の体の状態を調査し、トップクラスの選手49人のうち4人中3人にあたる75%でひじの障害が出ていたことがわかりました。
このため東日本の大会からは、新たに球数制限をのルールを導入しました。新たなルールではピッチャーの負担を軽くするため、1人の投球数を小学生は1日65球以内、中学生は1日80球以内と定めています。
13日は開幕式のあと、中学生の試合で運営スタッフが球数を記録していました。そして、イニングが終わるたびに合計の球数がアナウンスされるなか、両チームの監督は球数を気にしながら投手の交代を考えていました。
日本少年野球連盟の高浦健特別顧問は「調査結果から子どもたちに深刻な実態がみられたので球数制限を導入しました。現場の監督や選手には目の前の勝利とのあいだで葛藤があるとは思いますが、子どもたちの将来を最優先に少しでも長く野球を続けられるよう改革を続けていきたい」と話していました。
指導者には戸惑いも
新たに球数制限のルールが導入されたことについて、指導者からはさまざまな意見や戸惑いの声が聞かれました。
東京・府中市の中学生チームの監督は「自分自身、中学生時代の練習の影響でひじを手術しました。それを考えると、子どもたちの将来を犠牲にしてはいけないという思いでルール導入前から球数を気にして継投などで工夫してきたつもりです。ルールを導入することは子どもの将来を考え、少しでも負担を減らすためにはいいことだと思います」と話していました。
一方、ほかのチームの監督からは「勝つことを考えればエースが投げるのが当然だが、ルールだからしょうがない」といった感想や「選手が少ないチームにとっては不利なルールなので、もっと平等な形で進めてもらいたい」といった意見も聞かれました。
また「負けたら終わりのトーナメント戦を見直すことも必要ではないか」といった大会の運営方法に関する意見も聞かれました。
球児の親は歓迎
中学生の選手の親からは新たなルールを歓迎する声が聞かれました。
中学3年生のピッチャーの母親は「投げすぎによる肩やひじの故障は親として不安でした。これから高校生になっても野球を長く続けていってほしいので、子どもの将来を考えて球数を制限するルールを導入することは安心できていいことだと思います」と話していました。
また、中学3年生の野手の父親は「時代の流れとして球数を制限するルールは必要なことだと思います。目の前の勝利を目指すより、長い選手生命を考えて野球を続けてもらうことが親の望みでもあります」と話していました。