感染対策と歌いやすさを両立させて、お年寄りの憩いの場を残そうと模索しています。
千葉県佐倉市ではことし7月、昼間にカラオケができる飲食店で、感染の確認が相次ぎ、市内5店舗の利用者など合わせて39人が感染しました。
複数の店を利用する客を通じて感染が広がったとみられ、いずれも「昼カラができる店」として、長年地域のお年寄りに親しまれていましたが、感染の発覚後に少なくとも2店舗は閉店したということです。
利用客など11人の感染が確認された「カラオケ喫茶トトロパート2」は、9月に再開しましたが、店主の萩谷繁夫さんによりますと、以前は「うまく歌いたい」という利用客にマスクの着用を無理強いすることはできなかったということです。
萩谷さんによりますと、マスクと唇がはりついてしまい、とりわけ母音が出しづらく、滑舌が悪くなってしまうといいます。
このため、マスクが唇にはりつくのを防ぐ市販のカバーをマスクの中に入れて歌ってもらうことにしました。
カバーを客に無料で配り、感染対策と歌いやすさを両立させようという試みです。
また完全予約制にして一度に店に入る人数を半分以下に制限するとともに、これまでは音が外にもれないようにしていましたが、歌の合間にこまめにドアを開けて換気を行うようにしました。
しかし客足は落ち込んでいて、常連客の中には家族に利用を止められる人も多いということです。
利用客の70代の男性は「この店はオアシスのような場所で、歌は下手でもみんなが拍手してくれると喜びを感じます。気心の知れたメンバーがいて長く続いてほしい」と話していました。
萩谷さんは「経営的には厳しいですが、歌を通して友人ができる憩いの場を作りたいという思いでやっています。楽しみにしてくれる人のためにできるだけ続けたい」と話していました。