日本学術会議が
推薦した
会員候補6
人が
任命されなかったことを
巡って、
推薦の
責任者だった
山極壽一前会長が
初めて取材に
応じました。
今回の
件の2
年前にも
人事をめぐって
官邸から
難色が
示され、
理由について「
言うつもりはない」といった
回答しかなかったことを
明らかにする
などし、「
理由を
示さないことが
恐ろしく、
学術界の
自立性が
大きく
損なわれかねない」と
強い危機感を
示しました。
日本学術会議が
推薦した
会員候補6
人が
任命されなかったことを
受けて、
推薦の
責任者で、
先月まで
日本学術会議の
会長を
務めた
山極壽一さんが
初めてこの件について
インタビュー取材に
応じました。
この中では、今回の件よりも2年前、定年によって会員の補充が必要になった時に、学術会議側が検討していた候補の名前を伝えたところ、官邸から難色が示され、この時も理由が示されなかったということで、当時の経緯を詳細に語りました。
山極前会長は、「学術会議で議論をし直す場合は理由が必要なので、『理由を教えて下さい、そのために官邸に出向きます』と、杉田官房副長官に事務局を通じて何度も申し上げたが、『来る必要はない。理由も言うつもりはない』とそれ一辺倒なので非常に困りました」と語り、最終的には欠員とせざるを得なかった状況を語りました。
そして、今回の6人が任命されなかったことについては、任期がはじまる今月1日の直前に知らされたということで、「9月28日の晩に内閣府から内示があり、6人が任命されないことを知り大変驚いた。推薦したなかに官邸が渋っている人たちがいるとうわさはあったが、文書や電話での正式な連絡は一度もなかった。すぐに菅総理大臣に宛てて理由を尋ねたものの、まったく回答が得られなかった。理由があれば議論できるが、理由を示さないことが恐ろしいところだ。まずは理由を説明していただきたい」と話しました。
また、会員の任命をめぐって、今月開かれた野党の会合で、政府はおととしまとめた文書を提出し、その中で「内閣総理大臣に、会議の推薦通りに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる」などとする見解を示していて、この文書について山極前会長は「これまで説明は受けておらず、文書の存在すら知らされていなかった」と話しています。
その上で山極前会長は「さまざまなところで任命権者が理由なく人事を認めないことがまかり通るようにならないか心配している。国が人事にまで介入してくると、大学をはじめとする学術界全体の自立性が大きく損なわれかねない」と強い危機感を示していました。
坂井官房副長官「答えは差し控える」
日本学術会議の山極壽一前会長が、NHKの取材に対し、2年前の会員候補の人事で官邸から難色が示され、理由が示されなかったなどと話していることについて、坂井官房副長官は、記者会見で、「人事に関することなので、お答えは差し控えさせていただきたい」と述べました。