男性はカルロス・ロドリゲスさん(28)。33歳の妻と9歳、5歳、1歳の女の子3人の家族5人で、8日前にホンジュラスを出発しました。
グアテマラからボートに乗って川を渡り、メキシコに到着したといいます。
ロドリゲスさんは、アメリカを目指す理由について「ホンジュラスでは十分な給料をもらえず、子どもたちを養うことはできない」と話します
NHKの取材班は、グアテマラとメキシコの国境からおよそ10キロほど離れた路上で大勢の人たちの中で幼い子どもを乗せてベビーカーを押す男性と出会いました。
男性はカルロス・ロドリゲスさん(28)。33歳の妻と9歳、5歳、1歳の女の子3人の家族5人で、8日前にホンジュラスを出発しました。
グアテマラからボートに乗って川を渡り、メキシコに到着したといいます。
ロドリゲスさんは、アメリカを目指す理由について「ホンジュラスでは十分な給料をもらえず、子どもたちを養うことはできない」と話します
妻のローザさんは、「私は人生を空き瓶を拾い集めて売ることに費やしてきた。少しでも夫の収入のたしになればと思って」と補いました。
その規模を膨らませながらアメリカ国境を主に歩いて目指す中南米の人たちについてトランプ大統領は「ギャング集団が紛れ込んでいる」と主張しています。
そのことについてロドリゲスさんはきっぱりとこう反論します。「うそだ。そんな危険な集団だったら子どもたちを連れてくることはない。トランプ大統領にはこの子どもたちに寛大さを見せてほしい。われわれは危険ではないし、働いて、子どもたちを育てる場所を求めているだけだ。私たちは同じ人間だ」と反論しました。
家族には1歳の妹の面倒を見る女の子の姿がありました。
ロドリゲスさんの長女リディアさん(9)です。
リディアさんは、母親に寄り添いながら疲れた表情でひたすら歩みを進めていました。
-今、何をしたい?おもちゃで遊びたい?
「食べたい」。
聞くと、きのうが最後の食事で、きょうは朝から何も食べていないといいます。
「少しだけでも食べられたらいいな。ご飯を買うお金を持ってきてないから」。
集団は、行く先々で地元のメキシコ人や支援団体から水や食料を受け取り、空腹をしのいでいます。
「とっておこうと思って」。
リディアさんは、受け取った食料を妹たちに与え、やっと手にしたお菓子3つのうち2つをリュックの中にしまいました。
母親のローザさんが故郷のホンジュラスで撮影した家族の写真を見せてくれました。
その中には、リディアさんが去年、小学校で撮影した写真がありました。
撮影された日はホンジュラスの独立記念日。
学校でお祭りがあり、リディアさんは黒と赤のドレスに白いはちまきをして「グアテマラ」と書かれたたすきをかけていました。
グアテマラで生まれたためホンジュラスとグアテマラの両方の国籍を持つリディアさんは、お祭りにグアテマラ代表として参加したのだそうです。
写真に収まったリディアさんの表情は誇らしげでした。
リディアさんの先には何が待っているのでしょうか。
別れ際にききました。
ーアメリカに着いたら何をしたい?
「英語を勉強する。そして働くの」。
ー将来の夢は?
「偉い人になる。貧しかったり、家がなかったりする人たちを助けたいです」。
ロドリゲスさん一家はこれからアメリカを目指します。
ここからいちばん近いアメリカ南部テキサス州の国境の街まで直線距離でも1400キロ余り。
気が遠くなるような道のりです。