原告の弁護士は「性被害は長期間苦しむもので、訴えること自体が非常に難しく自尊心が踏みにじられる経験だ。世の中には声をあげられない被害者がたくさんいて、今回の原告のように何とか立ち上がって苦しみの原因と戦っても法律の壁がある。社会的に性被害の実態がきちんと理解されていないということだと思う」と述べ、控訴する考えを明らかにしました。
また、性犯罪の実態に合わせて刑法の規定を改正する動きが出ていることについて、原告の女性は「性被害はなかなか言い出せないから制度も変わらず、納得がいくような法律もないように思います。声を上げられる社会にするために声をあげましたが、取り上げられるのも怖いような矛盾した気持ちです」と複雑な胸の内を語りました。
実の父親を相手に裁判を起こした原告の女性のことばです。 父親から性的虐待を受けてきたといいます。 おぼろげに記憶しているのは保育園に通っていたころ父親のひざの上でアダルトビデオを見せられ、体を触られていたことです。 父親は徐々にエスカレートし、小学4年生のころには性行為を強いられたといいます。 違和感や嫌悪感を感じながらも、自分のされていることの意味を理解できませんでした。 「なんかおかしいなっていうのはわかるけど、幼くて考えられない」 女性は中学2年になって、やっと父親を拒否するようになりました。 しかし、母親は病気がちで頼ることはできず、周りに被害を訴えることもできなかったといいます。 40代になり、被害の記憶がフラッシュバックし、生活や仕事に支障を来すようになりました。 「思いだして、その悔しさ、怒りとかで、じっとしていられないんですね。このつらさが我慢できなくて、もう、このままじゃ生きていけないなって思ったんですよ」 性的虐待をめぐって娘が父親を訴えた異例の裁判。 女性は父親に心からの反省を求めるとともに被害の苦しみを社会に知ってもらいたいと提訴した思いを語っています。 「同じようなことを受けて声を上げられない人、たくさんいるので、それを変えていかないと」
原告の女性の思い