アメリカの複数のメディアは9日、旅客機はイランによって誤って撃墜された可能性が高いとする、アメリカ政府関係者の見方を伝えました。
CBSテレビによりますと、イランから2発の地対空ミサイルが発射されたことをアメリカの衛星が探知し、その直後に旅客機が爆発したということです。
旅客機の墜落は、イランがアメリカ軍の拠点に対し軍事攻撃を行った後で、アメリカ政府関係者は、旅客機は、誤ってイランの防空システムの標的となったと見ているということです。
アメリカのトランプ大統領は9日、ホワイトハウスで記者団に「機体の問題だとは思わない。誰かが間違いをした可能性がある」と述べ、撃墜された可能性を示唆しました。
イラン「筋の通らないうわさにすぎない」
イランのメディアによりますと、これについてイラン当局の責任者は、「この空域は、国際便や国内便が行き交っており、そうした場所でミサイルを発射するなどありえないことだ。筋の通らないうわさにすぎない」と述べ、強く否定しています。
ウクライナ国際航空の旅客機の墜落について、イラン当局の責任者はこれまで、旅客機が首都テヘラン郊外の国際空港から離陸したあと、機体のジェットエンジンから火が出たとしていて、技術的なトラブルが原因だとしています。
一方、機体が墜落したのは8日午前6時すぎで、同じ日の午前2時ごろにイランがアメリカ軍に対し軍事攻撃を行っていたことから、何らかの軍事行動に巻き込まれたのではないかという臆測も上がっていましたが、イラン軍の広報官は「ばかげたプロパガンダだ」などと、強く否定してきました。
また操縦席の会話などが録音されるブラックボックスについて、イラン当局の責任者は、航空機のメーカーであるボーイング社や、アメリカ側に提供することに否定的ですが、墜落によって犠牲者が出たウクライナやカナダなどの関係国については、原因調査に参加することに前向きな姿勢を示しています。
イラン大統領府によりますと、ロウハニ大統領は9日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、犠牲者への哀悼の意を示したうえで、原因の究明に向け、両国が全面的に協力していくことを確認したということです。