合わせてドローンの開発についての新たな指針をつくり、撮影した画像などのデータが流出するおそれがないこと、ハッキングによってドローンが乗っ取られることを防ぐセキュリティー対策を導入することなどを開発する企業に求めます。
ドローンは、物流や農業など幅広い分野でさらに活用が進むと期待されていますが、現在は中国メーカーが世界市場の7割を占め、圧倒的なシェアを握っています。
一方で、ドローンが得たデータの流出やハッキングによる悪用のおそれなども指摘されていて、政府としては安全保障の観点からも国内メーカーの育成を図りたいねらいがあります。
政府は、今月召集される通常国会で、新たな支援策を盛り込んだ法案を提出することにしています。
ドローンめぐる諸問題と支援の背景
政府が次世代のドローン開発の支援に乗り出した背景には、ドローンをめぐる安全保障上のリスクへの警戒感があります。
ドローンはもともと偵察機など軍事用に開発されましたが、民生用としても荷物の搬送や農薬・肥料の散布、さらには災害が起きた場所の被害の確認など、市場の拡大が見込まれています。
民生用ドローンの世界シェアは、アメリカの大手投資銀行ゴールドマン・サックスが行った調査によると、中国のDJIが70%を占め、アメリカやフランスのメーカーを大きく引き離しています。
日本にもドローン開発を手がけるベンチャー企業がありますが、価格が安く、性能もよい中国製品に太刀打ちできていないのが現状です。
一方、ドローンには位置情報を把握するためのGPSや通信機能を持つほか、高性能のカメラを搭載していることも多く、盗撮や監視などの悪用のおそれも指摘されています。
去年5月、アメリカの国土交通安全保障省は中国製ドローンが飛行で得たデータなどが、インターネットを通じて中国政府に流出するおそれがあるなどとして、アメリカ国内で業務でドローンを使う機関に警戒を求めました。
これに対して、中国のDJIは、技術の安全性は世界中で検証されていると反論しています。
日本政府としては、高速大容量の通信規格5Gと並んで、国内メーカーの育成を急ぐ必要があるとして、次世代のドローン開発の支援に乗り出すことにしたものです。