フィリピンの首都マニラの南、およそ60キロにあるルソン島のタール火山の火口付近で12日、水蒸気爆発とみられる大規模な噴火が起きました。
当局の観測では噴煙は最大で1万5000メートルの高さに達し、周辺の地域に大量の火山灰が降ったため、火山があるバタンガス州やカビテ州の避難所には多くの住民が詰めかけています。
フィリピン当局によりますと、避難者の数はこれまでに3万人以上にのぼり、避難所もおよそ120か所開設されています。
このうち火口から20キロ余り離れたバタンガス州の避難所には700人を超える住民が避難しています。
火山灰は避難所の周辺にも降り積もっていて、避難した人たちは屋内でもマスクを着用したうえで、床にシートを敷いて横たわるなどしていました。
中には火山灰の影響で目や呼吸器の健康被害を訴える人もいて、政府や地元当局の医療チームが診察などの対応にあたっていました。
火山のふもとの地域から避難してきたという男性は「自宅は灰にうずもれたかもしれない。いつ帰れるのかわからず不安だ」と話していました。
フィリピンの火山地震研究所は、数日以内にさらに大きな噴火が起きるおそれがあるとして、噴火の警戒レベルを上から2番目のレベル4に維持し、警戒を続けています。
14日も日本便含め欠航相次ぐ
タール火山の噴火の影響で、マニラ国際空港では14日も日本便を含めて欠航が相次いでいます。
空港によりますと、日本時間の14日午後6時現在、国内便と国際便合わせて76便が欠航したり、欠航が決まったりしていて、このうち日本便はマニラから成田や名古屋に向かう合わせて5便となっています。
フィリピンの航空当局は火山灰が旅客機のエンジンなどに影響を与えるおそれがあるなどとして、火山周辺を避けて飛行するようすべての航空会社に呼びかけるとともに、今後も空港での発着を見合わせる可能性もあるとしています。