子どものころに
虐待を
受けた
経験が
ある高齢者は、
受けていない
人に
比べ、
年間の
医療費が11
万円余り高くなるという
調査結果を
東京医科歯科大学などの
研究グループがまとめ、
虐待を
防ぐことが
社会全体の
医療費抑制につながる
可能性があると
指摘しています。
高齢者の
健康問題について
研究している
東京医科歯科大学などの
グループは、65
歳から75
歳までの
高齢者およそ1000
人を
対象に、
子どものころの
虐待経験と
年間の
医療費との
関係について
統計学的に
分析しました。
その結果、18歳までに親から身体的な虐待やネグレクトなどの「虐待を受けた経験がある」と答えた高齢者は全体の18%いましたが、「経験がない」と答えた人たちに比べて、年間の医療費が11万6000円余り高かったということです。
研究グループによりますと、虐待の経験が高齢者の病気のリスクを高めることは従来の研究でも指摘されていましたが、医療費との関係が示唆されたのは初めてで、虐待の経験で生じる高齢者の年間の医療費は日本全体で3330億円にのぼるとも試算しています。
東京医科歯科大学の伊角彩特別研究員は「虐待が脳に影響を及ぼしストレスから慢性的な病気をひきおこすおそれもあると考えている。虐待を予防し早期に介入することが将来的な医療費抑制につながる可能性がある」と話しています。