リトアニアで25日に発生した貨物機の墜落と炎上について、ドイツの指導者は破壊工作もしくはハイブリッド戦争の結果である可能性を指摘している。
貨物機はドイツのライプツィヒを出発。リトアニア首都にあるビリニュス空港に着陸する予定だったが、滑走路から数キロの場所に墜落した。リトアニア当局によると、航空機は数百メートル滑走した後、住宅に激突したという。
ドイツのショルツ首相は25日夜、墜落はハイブリッド戦争の結果かと聞かれ、公共放送ZDFに「この件を注視している。現時点では断言できないが、その可能性はある。我々がドイツ国内で目撃しているハイブリッド戦争には厄介な形態が多数ある」と答えた。
墜落原因については「徹底調査する必要がある」としつつも、「証明できるまで非難は控える」と述べた。
ロイター通信によると、これに先立ちドイツのベアボック外相も、主要7カ国首脳会議(G7サミット)で「これが果たして事故なのか、あるいは新たなハイブリッド戦争なのか、リトアニアやスペインのパートナーと共に真剣に自問しなければならないという事実は、我々がいかに不安定な時代に生きているかを示している。たとえ欧州の中心部であってもだ」と述べていた。
さらにベアボック氏は26日、最近発生した複数の事案について、ロシアによる「不安定化と分断」のパターンに当てはまると指摘。プロパガンダを発するボットや全地球測位システム(GPS)の信号の遮断、バルト海のデータケーブル切断に言及し、「全てが偶然の一致だとは考えられない」との見方を示した。
一方、リトアニア当局は不正行為の可能性を重く見ない姿勢を示し、破壊行為を示す証拠は今のところ見つかっていないと主張した。ロイター通信によると、リトアニア検察は26日の声明で「初期段階の我々の情報では、より深刻な行動について調査する必要はない」と述べた。
付近の監視カメラが捉えた映像には、航空機が降下し、建物の後ろに隠れて視界から消える様子が映っている。その直後、建物の裏から巨大な火の玉や黒い煙が立ち上っているのも見える。
墜落では乗員1人が死亡した。地元当局によると、パイロットを含む他の搭乗者3人は一命を取り留め、住宅内にいた12人も安全に避難した。