週末のニューヨーク市場でハイテク関連の銘柄が大きく値下がりしたことや、アメリカで年内に利下げが行われるという観測から外国為替市場で1ドル=146円台後半まで円高が進んでいることを受けて、取り引き開始直後から半導体関連や、自動車など輸出関連の銘柄に売り注文が広がっています。
株価急落の背景に円高の進行
株価の急落の背景にあるのが円高の進行です。
外国為替市場では日米の金融政策の先行きへの思惑から、このところ円を買ってドルを売る動きが強まっています。
アメリカでは、今月8日に発表された雇用統計で失業率が悪化したことを受けて、インフレの要因となってきた人手不足の緩和が意識され、FRB=連邦準備制度理事会が年内に利下げを行うという観測が強まっています。
一方、日本では、日銀が政策転換の前提とする2%の物価安定目標について、今月7日、▽日銀の審議委員が講演で「実現に向けて着実に歩みを進めている」と発言したほか、▽植田総裁が国会で「実現する確度が少しずつ高まっている」という認識を改めて示しました。
こうした発言を受けて、市場では、日銀が早ければ今月18日から開く金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決めるのではないかという見方が出ています。
このため、日米の金利差の縮小が意識され、11日の東京外国為替市場では、一時1ドル=146円台後半まで円高ドル安が進み、株価を押し下げています。
市場関係者は「金融政策決定会合を来週に控え、市場では日銀が政策転換に踏み切るという見方が強まっていて、13日に集中回答日を迎えることしの春闘で、去年を上回る高い賃上げ率が確認できるかに関心が集まっている」と話しています。