※打ち上うちあげの情報じょうほうについて随時ずいじ更新こうしんでお伝おつたえします

【ノーカット動画どうが】爆発ばくはつの瞬間しゅんかん ヘリ映像えいぞう

大手おおての精密せいみつ機器ききメーカーや建設けんせつ会社かいしゃなどが出資しゅっしする東京とうきょうのベンチャー企業きぎょう「スペースワン」が和歌山わかやま県けん串本くしもと町まちに整備せいびしたロケット発射はっしゃ場じょうで、13日にち午前ごぜん11時じすぎ独自どくじ開発かいはつした固体こたい燃料ねんりょう式しきの小型こがたロケット「カイロス」の初号しょごう機きが打ち上うちあげられました。

計画けいかくではおよそ50分ふん後ごに高度こうど500キロで地球ちきゅうを回まわる軌道きどうに衛星えいせいを投入とうにゅうする予定よていでしたが、数すう秒びょう後ごに爆発ばくはつし打ち上うちあげは失敗しっぱいしました。

企業きぎょうによりますと、飛行ひこうを中断ちゅうだんする措置そちがとられたということです。

何なんらかのトラブルが発生はっせいしたとみられ、現在げんざい、企業きぎょうが詳くわしい状況じょうきょうを調しらべています。

地元じもとの消防しょうぼうによりますと、発射はっしゃ場じょうの近ちかくには人ひとはおらず、けが人けがにんの情報じょうほうはないということです。

このロケットは情報じょうほう収集しゅうしゅうの実証じっしょう研究けんきゅうを行おこなう政府せいふの小型こがた衛星えいせいを搭載とうさいしていて軌道きどうへの投入とうにゅうが成功せいこうすれば民間みんかん単独たんどくとしては国内こくないで初はじめてとなるはずでした。

【記者きしゃ解説かいせつ】

内閣ないかく府ふ「異常いじょうを検知けんち 飛行ひこうの安全あんぜん確保かくほできないと判断はんだんし爆発ばくはつ」

ロケットの打ち上うちあげに関にかんする「宇宙うちゅう活動かつどう法ほう」を管轄かんかつする内閣ないかく府ふによりますと、今回こんかい打ち上うちあげをした「スペースワン」から、機体きたいが異常いじょうを検知けんちして飛行ひこうの安全あんぜんを確保かくほできないと判断はんだんしたため、爆発ばくはつをしたと報告ほうこくを受うけているということで、これまでの報告ほうこくでは、安全あんぜん確保かくほのために設もうけられている区域くいき内ないに落下らっかしたと想定そうていされているものの、被害ひがいの状況じょうきょうなどを詳くわしく調しらべているということです。

見学けんがく場じょうには大勢たいせいの人ひとが

和歌山わかやま県けん串本くしもと町まちにある、ロケットの発射はっしゃ場じょうからおよそ1.5キロ離はなれた町内ちょうないの海水浴かいすいよく場じょうに設もうけられた見学けんがく場じょうには、早朝そうちょうから大勢たいせいの人ひとたちが集あつまりました。

打ち上うちあげ失敗しっぱいについて「涙なみだが出でてしまう」などと落胆らくたんの声こえが聞きかれました。

午前ごぜん6時じ40分ふんごろ1番ばん乗のりで大阪おおさかから夫婦ふうふで訪おとずれた60代だいの男性だんせいは「家いえを3時じごろ出発しゅっぱつして来きました。前回ぜんかいは打ち上うちあげを見みられず残念ざんねんだったので、今回こんかいは絶対ぜったい見みたいです」話はなしていました。

そして、発射はっしゃ時刻じこくの10秒びょう前まえからカウントダウンが行おこなわれ、発射はっしゃの瞬間しゅんかんの音おとは会場かいじょうでも聞きこえました。直後ちょくごに白しろい煙けむりが見みえ、打ち上うちあげの失敗しっぱいが伝つたえられると会場かいじょうにいた人ひとたちからは落胆らくたんの声こえが聞きかれました。

大阪おおさかから訪おとずれた40代だいの女性じょせいは、「打ち上うちあげの失敗しっぱいはとても残念ざんねんです。次つぎはきれいに打うち上あがるところを見みたいです。このあとまっすぐ家いえに帰かえります」と話はなしていました。

和歌山わかやま県けん海南かいなん市しから孫まごと訪おとずれた60代だいの女性じょせいは、「昔むかしから漫画まんがの影響えいきょうでロケットに興味きょうみがあり、和歌山わかやま県けんで発射はっしゃの様子ようすを見みられるなんて夢ゆめのようだと思おもっていましたが打ち上うちあげ失敗しっぱいで涙なみだが出でてしまいました」と話はなしていました。

和歌山わかやま県けん広川ひろがわ町まちから母親ははおやと訪おとずれた小学しょうがく5年ねんの児童じどうは、「打ち上うちあげの失敗しっぱいはとても残念ざんねんです。次回じかいの打ち上うちあげは絶対ぜったいに見みに来きたい」と話はなしていました。

串本くしもと町長ちょうちょう「必かならずやロケットの打ち上うちあげを成功せいこうさせたい」

和歌山わかやま県けん串本くしもと町まちにある発射はっしゃ場じょうで行おこなわれたロケットの打ち上うちあげが失敗しっぱいしたことについて地元じもと、串本くしもと町まちの田嶋たじま勝正かつまさ町長ちょうちょうは、「町まちとしては、ロケットと一体いったいで町まちづくりを進すすめている。引き続ひきつづきベンチャー企業きぎょうを全面ぜんめん的てきにバックアップしていきたい。今回こんかいは、残念ざんねんな結果けっかになったが必かならずやロケットの打ち上うちあげを成功せいこうさせたい」と話はなしていました。

専門せんもん家か「『イプシロンS』の爆発ばくはつ事故じこにそっくり」

宇宙うちゅう工学こうがくに詳くわしい大同だいどう大学だいがくの澤さわ岡おか昭あきら 名誉めいよ学長がくちょうは「去年きょねん7月つきに秋田あきた県けんのJAXAの実験じっけん場じょうで起おきた、固体こたい燃料ねんりょう式しきの小型こがたロケット、『イプシロンS』のエンジン部分ぶぶんの燃焼ねんしょう試験しけん中ちゅうの爆発ばくはつ事故じこにそっくりだと感かんじた。そのときは機体きたいの点火てんか装置そうちに異常いじょうが起おきて爆発ばくはつが起おきた。詳くわしいことは分わからないが、固体こたいロケット特有とくゆうのものだと考かんがえられる」と話はなしていました。

けが人けがにんの情報じょうほうなし 消防しょうぼう

和歌山わかやま県けん串本くしもと町まちの消防しょうぼうによりますと、発射はっしゃ場じょうの近ちかくには人ひとはおらず、けが人けがにんの情報じょうほうは

ないということです。

機体きたいの一部いちぶか 周辺しゅうへんに散乱さんらん

ロケットが爆発ばくはつしてからおよそ15分ふん後ごの午前ごぜん11時じ15分ふんごろの映像えいぞうでは、発射はっしゃ場じょうの周辺しゅうへんに機体きたいの一部いちぶとみられるものが散ちらばっている様子ようすが確認かくにんできます。煙けむりもくすぶっています。周辺しゅうへんの炎ほのおの勢いきおいは弱よわまっていますが、一部いちぶではまだ木きが燃もえている様子ようすも見みえます。

2024年ねん3月つき13日にち 11時じ24分ふん　更新こうしん

消火しょうか活動かつどう 落下らっか場所ばしょの周辺しゅうへんでは炎ほのおと煙けむり

ロケットは発射はっしゃから数すう秒びょう後ごに爆発ばくはつし、周囲しゅういには多数たすうの破片はへんが飛び散とびちりました。

機体きたいの一部いちぶとみられるものが落下らっかし、周囲しゅういには白しろい煙けむりとオレンジ色しょくの炎ほのおが上あがりました。

落下らっかした場所ばしょの周辺しゅうへんでは炎ほのおと煙けむりが上あがっていて、木きが黒くろく焼やけ焦こげている様子ようすも確認かくにんできます。

午前ごぜん11時じ10分ふん現在げんざい、消火しょうか活動かつどうが行おこなわれています。

2024年ねん3月つき13日にち 11時じ10分ふん　更新こうしん

「打ち上うちあげ可能かのう」

固体こたい燃料ねんりょう式しきの小型こがたロケット「カイロス」初号しょごう機きについて、企業きぎょうは、午前ごぜん11時じ1分ふん12秒びょうの打ち上うちあげに向むけて、最終さいしゅう判断はんだんの結果けっか、「打ち上うちあげ可能かのう」と判断はんだんしたと発表はっぴょうしました。

2024年ねん3月つき13日にち 11時じ01分ふん　更新こうしん

ロケット「カイロス」とは

「カイロス」は、全長ぜんちょうおよそ18メートル、重おもさおよそ23トンの固体こたい燃料ねんりょう式しきの小型こがたロケットです。

同おなじ固体こたい燃料ねんりょう式しきの次期じき主力しゅりょくロケット「イプシロンS」よりひとまわり小ちいさく、運はこべる荷物にもつの重おもさも4分ぶんの1程度ていどですが、その分ぶんコストを下さげられる上うえ短期間たんきかんで打ち上うちあげることができるとしています。

燃焼ねんしょうを終おえると順次じゅんじ切り離きりはなす4段式だんしきの機体きたいには、これまで日本にっぽんで運用うんようされてきた固体こたい燃料ねんりょうロケットの技術ぎじゅつが使つかわれています。

具体ぐたい的てきには、

▼1段だん目めから3段だん目めには燃焼ねんしょうガスが吹き出ふきでる方向ほうこうを変かえることでロケットの向むきや姿勢しせいを制御せいぎょする装置そうちを備そなえているほか、

▼人工じんこう衛星えいせいを切り離きりはなす最後さいごの4段だん目めには、目標もくひょうとする軌道きどうとの誤差ごさを修正しゅうせいするための小型こがたの液体えきたい燃料ねんりょうエンジンも搭載とうさいされています。

打ち上うちあげ時じの作業さぎょうの多おおくは自動じどう化かされていて、管制かんせい室しつで対応たいおうにあたるのは10数すう人にんで済すむほか、飛行ひこう中ちゅうに不ふ具合ぐあいが起おきた場合ばあいも地上ちじょうから操作そうさするのではなく、自動じどうで機体きたいを破壊はかいし飛行ひこうを中断ちゅうだんする機能きのうを備そなえています。

「カイロス」の飛行ひこう手順てじゅん

▼1段だん目めを1分ふん30秒びょうほど燃焼ねんしょうさせる

▼打ち上うちあげからおよそ2分ふん10秒びょう後ごに1段だん目めと2段だん目めを切り離きりはなす

▼「フェアリング」と呼よばれる人工じんこう衛星えいせいを覆おおうカバーを切り離きりはなす

▼2段だん目めの燃焼ねんしょう後ご、打ち上うちあげからおよそ4分ふん40秒びょう後ごには2段だん目めと3段だん目めを切り離きりはなす

▼さらに打ち上うちあげからおよそ8分ふん後ごに3段だん目めも切り離きりはなす

▼最後さいごの4段だん目めの小型こがたの液体えきたい燃料ねんりょうエンジンを燃焼ねんしょうさせ、目標もくひょうの軌道きどうとの誤差ごさを修正しゅうせい

▼打ち上うちあげからおよそ51分ふん40秒びょう後ごに高度こうどおよそ500キロで人工じんこう衛星えいせいを投入とうにゅう

小型こがた衛星えいせいとは

投入とうにゅうされるのは「短期たんき打上うちあげ型がた小型こがた衛星えいせい」と呼よばれる内閣ないかく衛星えいせい情報じょうほうセンターの重おもさ100キロほどの小型こがた衛星えいせいです。

北朝鮮きたちょうせんのミサイル発射はっしゃ施設しせつの動向どうこうや災害さいがい時じの被害ひがいの把握はあくなどを行おこなう日本にっぽんの情報じょうほう収集しゅうしゅう衛星えいせいに不ふ具合ぐあいが起おきたとき代かわりの衛星えいせいとして役割やくわりを果はたせるか確認かくにんする目的もくてきです。

日本にっぽん政府せいふはこの衛星えいせいが軌道きどうに投入とうにゅうされたあと実際じっさいに地上ちじょうを撮影さつえいし、解像度かいぞうどなどを確認かくにんする予定よていです。

内閣ないかく衛星えいせい情報じょうほうセンターによりますと、衛星えいせいの開発かいはつ費ひはおよそ11億おく円えんで、打ち上うちあげ費用ひようとしておよそ10億おく円えんを企業きぎょうに支払しはらう予定よていだということです。

目標もくひょうは「宇宙うちゅう宅配たくはい便びん」

「スペースワン」は、世界せかい的てきに市場しじょうの拡大かくだいが見込みこまれている小型こがた衛星えいせいの打ち上うちあげビジネスへの参入さんにゅうを目指めざし、2018年ねんの7月つきに設立せつりつされた東京とうきょうのベンチャー企業きぎょうです。

この企業きぎょうには大手おおて精密せいみつ機器ききメーカーの「キヤノン電子きやのんでんし」や、大手おおて建設けんせつ会社かいしゃの清水しみず建設けんせつなど4社しゃが出資しゅっしし、国くにの固体こたい燃料ねんりょうロケットの開発かいはつの実績じっせきがある「IHIエアロスペース」のエンジニアの協力きょうりょくも得えて設立せつりつから6年ねんで初はつの打ち上うちあげにこぎ着こぎつけました。

目指めざすのは、ロケットで顧客こきゃくの荷物にもつを宇宙うちゅうに運はこぶ「宇宙うちゅう宅配たくはい便びん」というサービスです。

鍵かぎとなるのが、この企業きぎょうが和歌山わかやま県けん串本くしもと町まちに整備せいびしたロケット発射はっしゃ場じょう「スペースポート紀伊きい」と、独自どくじに開発かいはつした「カイロス」です。

専用せんようの発射はっしゃ場じょうを持もつことで依頼いらいを受うけてから打ち上うちあげを行おこなうまでの準備じゅんびに柔軟じゅうなんに対応たいおうできることや、液体えきたい燃料ねんりょうのロケットに比くらべて短みじかい準備じゅんび期間きかんで打ち上うちあげられる固体こたい燃料ねんりょうロケットの特徴とくちょうを生いかして、低ひくいコストで宇宙うちゅうへ運はこぶ「宅配たくはい便びん」のような輸送ゆそうサービスを提供ていきょうするとしています。

こうした企業きぎょう戦略せんりゃくの背景はいけいには、商業しょうぎょう衛星えいせいの打ち上うちあげの需要じゅようが世界せかい的てきに高たかまっていることがあります。

通信つうしん分野ぶんやを中心ちゅうしんに小型こがた衛星えいせいなどの人工じんこう衛星えいせいを1度どに複数ふくすう打ち上うちあげて一体いったい的てきに運用うんようする「コンステレーション」と呼よばれるシステムに注目ちゅうもくが集あつまっていて、次々つぎつぎに小型こがたの衛星えいせいが打ち上うちあげられています。

こうした小型こがた衛星えいせいの打ち上うちあげ需要じゅようの高たかまりを受うけ、アメリカや日本にっぽん、中国ちゅうごく、それに、ヨーロッパの国々くにぐにでは複数ふくすうの民間みんかん企業きぎょうが小型こがたロケットの開発かいはつを競い合きそいあっています。

「スペースワン」には今回こんかいの打ち上うちあげを含ふくめて3号機ごうきまでの打ち上うちあげの依頼いらいがすでに入はいっているということで、今後こんご、実績じっせきを重かさねて国内こくない外がいで新あらたな需要じゅようの開拓かいたくを進すすめることができるか注目ちゅうもくされています。