去年きょねん12月つき発売はつばいの週刊しゅうかん文春ぶんしゅんは、9年ねん前まえに松本まつもと人志ひとしさんから都内とないのホテルで性的せいてきな被害ひがいを受うけたとする女性じょせい2人にんの証言しょうげんを報ほうじました。

これに対にたいし松本まつもとさんは「性的せいてき行為こういを強要きょうようしたという客観きゃっかん的てき証拠しょうこは存在そんざいしないのに、記事きじで名誉めいよを傷きずつけられた」として発行はっこう元もとの文藝ぶんげい春秋しゅんじゅうと編集へんしゅう長ちょうに慰謝いしゃ料りょうなどとして5億おく5000万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうと記事きじの訂正ていせいを求もとめる訴うったえを起おこしています。

この裁判さいばんが28日にち、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょで始はじまり、文藝ぶんげい春秋しゅんじゅう側がわは「女性じょせいに対にたいして複数ふくすう回かいの取材しゅざいを重かさね証言しょうげんの信用しんよう性せいについて慎重しんちょうに検討けんとうしたうえで松本まつもとさんに対にたいする取材しゅざいも経へて確信かくしんした。同意どういのない性的せいてき行為こういは真実しんじつだ」などと訴うったえを退しりぞけるよう求もとめ、全面ぜんめん的てきに争あらそう姿勢しせいを見みせました。

松本まつもとさん側がわが、具体ぐたい的てきな主張しゅちょうをするために女性じょせいの名前なまえや住所じゅうしょ、本人ほんにんの写真しゃしんを求もとめたのに対にたいし、文藝ぶんげい春秋しゅんじゅう側がわは、「女性じょせいは、SNS上じょうで嫌いやがらせを受うけている」などとして回答かいとうできないと答こたえました。

松本まつもとさんは裁判さいばんに注力ちゅうりょくしたいとしてことし1月つき上旬じょうじゅんから芸能げいのう活動かつどうを休止きゅうししていて、28日にちは法廷ほうていには来きませんでしたが、代理人だいりにんの弁護士べんごしは「本人ほんにん尋問じんもんが行おこなわれることになれば、出廷しゅっていを拒否きょひすることはない」と話はなしています。

傍聴ぼうちょう希望きぼう691人にん 倍率ばいりつは約やく36倍ばい

東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょによりますと、28日にちの裁判さいばんには19席せきの傍聴ぼうちょう席せきに対にたいして691人にんが訪おとずれ、倍率ばいりつはおよそ36倍ばいでした。

東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょでは28日にち午前ごぜん、受付うけつけの開始かいし前まえから長ながい行列ぎょうれつができていました。

東京とうきょう都との40代だいの男性だんせいは「松本まつもとさんの番組ばんぐみを見みて育そだった世代せだいで、応援おうえんしていたので早はやく復帰ふっきしてほしい。報道ほうどうが事実じじつなら悪わるいことだと思おもうが、分わからないことが多おおいので実際じっさいに傍聴ぼうちょうして真実しんじつを知しりたい」と話はなしていました。

東京とうきょう都との20代だいの女性じょせいは「被害ひがい者しゃの女性じょせいが声こえをあげたことはすばらしいことだが、お互おたがいの言い分いいぶんがあり、本人ほんにんたちしか知しりえないこともあると思おもうので、裁判さいばんを通をとおして明あきらかになってほしい」と話はなしていました。裁判さいばんは午後ごご2時半じはんに開ひらかれます。

松本まつもとさん側がわ「本人ほんにんが出廷しゅっていを拒否きょひすることはない」

松本まつもとさんの代理人だいりにんの弁護士べんごしは裁判さいばんのあと、報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに対にたいし、「相手あいてが誰だれであろうと強制きょうせい的てきな性せい加害かがいはない。どこかの段階だんかいで松本まつもとさん本人ほんにんの尋問じんもんが行おこなわれることになれば、本人ほんにんが出廷しゅっていを拒否きょひすることはないと思おもう」と述のべました。

また記事きじに記載きさいされているほかのお笑おわらい芸人げいにんについても「立証りっしょうに必要ひつようであれば証人しょうにんとしての出廷しゅっていをお願おねがいする可能かのう性せいはある」と述のべました。

文藝ぶんげい春秋しゅんじゅう側がわ「こちらで全部ぜんぶ立証りっしょうする」

文藝ぶんげい春秋しゅんじゅうの代理人だいりにんの弁護士べんごしは裁判さいばんのあと、報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに対にたいし、「やったことがないならばうそだと主張しゅちょうすればいい。記事きじの認否にんぴについて明あきらかにしないのであればこちらで全部ぜんぶ立証りっしょうする」と述のべました。また被害ひがいを訴うったえている女性じょせいについて、「本人ほんにんを特定とくていしたことをにおわせる嫌いやがらせがあったり金きむ目当めあてではないかと言いわれたりしている」と述のべたうえで、個人こじん情報じょうほうが分わからなくても認否にんぴを主張しゅちょうできるはずだと主張しゅちょうしました。

名誉めいよ毀損きそんの裁判さいばんのポイントは？

名誉めいよ毀損きそんの裁判さいばんに詳くわしい佃つくだ克彦かつひこ弁護士べんごしは、松本まつもとさんや被害ひがい者しゃとされる女性じょせいが法廷ほうていでみずから説明せつめいするかどうかなどが裁判さいばんのポイントになると話はなしています。

佃つくだ弁護士べんごしは裁判さいばんの争点そうてんについて、「99％、書かかれた記事きじの真実しんじつ性せい、または真実しんじつ相当そうとう性せいになる」と話はなします。週刊しゅうかん文春ぶんしゅんの記事きじが真実しんじつかどうか、または真実しんじつだと信しんじるような相当そうとうな理由りゆうがあったかどうか、という意味いみです。

佃つくだ弁護士べんごしは松本まつもとさん側がわの今後こんごの主張しゅちょうについて「記事きじで書かかれた食事しょくじ会かいがあったかどうかを争あらそうのか、それともそこで行おこなわれた行為こういを争あらそうのかによって立証りっしょうのしかたが変かわる。行為こういが争点そうてんの場合ばあい、松本まつもとさん本人ほんにんの供述きょうじゅつは重要じゅうようになる」と述のべています。

松本まつもとさんが法廷ほうていで証言しょうげんする可能かのう性せいについては「厳きびしい質問しつもんも予想よそうされるので松本まつもとさん側がわからは申請しんせいしないと思おもうが、文藝ぶんげい春秋しゅんじゅう側がわが申請しんせいして裁判所さいばんしょが認みとめる可能かのう性せいはある」と話はなします。

一方いっぽう、文藝ぶんげい春秋しゅんじゅう側がわについては「可能かのうな限かぎりの取材しゅざいを尽つくして、集あつめた資料しりょうに照てらして記事きじが合理ごうり的てきな内容ないようであれば真実しんじつ相当そうとう性せいがあるとされ、違法いほうとはならない」と指摘してきします。

今後こんごの立証りっしょうについて、「取材しゅざい源げんを表ひょうに出だすことは難むずかしいと思おもうが、被害ひがい者しゃとされた女性じょせいが証人しょうにんとして出でるかどうかが大おおきく影響えいきょうする。当事者とうじしゃどうしのLINEのやり取やりとりなど、被害ひがい者しゃの話はなしを支ささえる客観きゃっかん的てきな証拠しょうこが出でてくるかも重要じゅうようだ」と話はなしています。

裁判さいばんにかかる期間きかんについては、このような名誉めいよ毀損きそん訴訟そしょうの場合ばあい、一般いっぱん的てきには1年ねん半はんから2年ねんぐらいはかかると話はなしていました。

＜裁判さいばんを前まえに…＞

松本まつもと人志ひとしさん「世間せけんに真実しんじつが伝つたわり、一いち日にちも早はやくお笑おわらいがしたい」

裁判さいばんが始はじまるのを前まえに、松本まつもと人志ひとしさんは「人ひとを笑わらわせることを志こころざしてきました。たくさんの人ひとが自分じぶんの事ことで笑わらえなくなり、何なにひとつ罪ざいの無ない後輩こうはいたちが巻き込まきこまれ、自分じぶんの主張しゅちょうはかき消かきけされ受け入うけいれられない不条理ふじょうりに、ただただ困惑こんわくし、悔くやしく悲かなしいです。世間せけんに真実しんじつが伝つたわり、一いち日にちも早はやく、お笑おわらいがしたいです。」と弁護士べんごしを通をつうじてコメントを発表はっぴょうしました。

週刊しゅうかん文春ぶんしゅん「今後こんごの報道ほうどうと法廷ほうていで事実じじつを明あきらかにしていきます」

一方いっぽう、週刊しゅうかん文春ぶんしゅんの編集へんしゅう部ぶは「記事きじには十分じゅうぶんな自信じしんを持もっています。今後こんごの報道ほうどうと法廷ほうていで事実じじつを明あきらかにしていきます」とコメントしています。

これまでの経緯けいい

発端ほったんは、去年きょねん12月つきに発売はつばいされた週刊しゅうかん文春ぶんしゅんの記事きじでした。

9年ねん前まえに松本まつもとさんから性的せいてき被害ひがいを受うけたと訴うったえる2人にんの女性じょせいの証言しょうげんを報ほうじました。

記事きじによりますと、2人にんはいずれもお笑おわらいコンビ「スピードワゴン」の小沢おざわ一敬かずたかさんに誘さそわれて都内とないのホテルで開ひらかれた飲のみ会かいに参加さんかし、途中とちゅうからゲームなどとして松本まつもとさんと寝室しんしつに2人にんきりにさせられ、同意どういなしで性的せいてき行為こういをされたとしています。

この報道ほうどうを受うけて、松本まつもとさんはことし1月つき8日にち、裁判さいばんに注力ちゅうりょくしたいとして所属しょぞく事務所じむしょを通をつうじて芸能げいのう活動かつどうを休止きゅうしすると発表はっぴょうし、自身じしんのSNSで「事実じじつ無根むこんなので闘たたかう」と投稿とうこう。その2週間しゅうかん後ごに裁判さいばんを起おこしました。

小沢おざわさんも1月つきに芸能げいのう活動かつどうを当面とうめん、自粛じしゅくすると発表はっぴょうしました。