アメリカのバイデン大統領だいとうりょうが国賓こくひんとして招まねいた首脳しゅのうとしてはフランス、韓国かんこくに次ついで3人にん目めで、インドの首相しゅしょうとしては2009年ねん以来いらい14年ねんぶりとなります。

両りょう首脳しゅのうは22日にち午前ごぜん、日本にっぽん時間じかんの22日にち夜よる、ホワイトハウスで会談かいだんを行おこないます。

インドにこれまで多おおくの兵器へいきを供給きょうきゅうしてきたのはロシアですが、バイデン政権せいけんの高官こうかんによりますと、両りょう首脳しゅのうは▽アメリカが開発かいはつした戦闘せんとう機き用ようのエンジンをインド国内こくないで共同きょうどうで生産せいさんすることや、▽インド政府せいふがアメリカ製せいの攻撃こうげき用よう無人むじん機きを購入こうにゅうすることなどで合意ごういする見通みとおしです。

また、先端せんたん技術ぎじゅつ分野ぶんやでの協力きょうりょくとして、▽アメリカ半導体はんどうたい大手おおてによるインド国内こくないへの投資とうしのほか、▽宇宙うちゅうやクリーンエネルギー分野ぶんやでの戦略せんりゃく的てき技術ぎじゅつパートナーシップを深化しんかさせるとしています。

中国ちゅうごくが覇権はけん主義しゅぎ的てきな行動こうどうを強つよめる中なか、アメリカとインドは、先月せんげつ、G7広島ひろしまサミットにあわせて行いった日本にっぽんとオーストラリアを含ふくむ4か国かこくの枠組わくぐみ「クアッド」の首脳しゅのう会合かいごうでも連携れんけいを確認かくにんしていて、今回こんかいの会談かいだんを通をつうじて一層いっそうの関係かんけい強化きょうかを図はかる見通みとおしです。

また、ロシアから多おおくの兵器へいきを購入こうにゅうしてきたインドと軍事ぐんじ・安全あんぜん保障ほしょう面めんで関係かんけいを深ふかめることは、ウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづけるロシアへの圧力あつりょくを強つよめるうえでも有効ゆうこうだという考かんがえがあります。

伝統でんとう的てきに非ひ同盟どうめい主義しゅぎをとってきたインドに接近せっきんするうえで、バイデン政権せいけんは、インド固有こゆうの立場たちばにさまざまな配慮はいりょを示しめしてきました。

さらに、欧米おうべいなどがロシア産さん原油げんゆの国際こくさい的てきな取り引とりひきに上限じょうげん価格かかくを設定せっていする制裁せいさいを科かす中なか、インドが一定いっていの条件じょうけんのもとでロシアからの輸入ゆにゅうを続つづけていることについても強つよくは反対はんたいしてきませんでした。

今回こんかいの首脳しゅのう会談かいだんでバイデン大統領だいとうりょうは、中国ちゅうごくが覇権はけん主義しゅぎ的てきな行動こうどうを強つよめる中なか、民主みんしゅ主義しゅぎという価値かち観かんを共有きょうゆうするインドと、軍事ぐんじ、先端せんたん技術ぎじゅつ、宇宙うちゅうなど幅広はばひろい分野ぶんやでの協力きょうりょくを確実かくじつに深ふかめ、インドをさらに自じ陣営じんえいに引き寄ひきよせたい考かんがえです。

モディ首相しゅしょうの訪問ほうもんを前まえに、ホワイトハウスのカービー戦略せんりゃく広報こうほう調整ちょうせい官かんは「インドはアメリカにとってインド太平洋たいへいよう地域ちいきだけでなく地球ちきゅう規模きぼでの重要じゅうようなパートナーだ。今後こんご、両国りょうこくの関係かんけいは決定けってい的てきなもののひとつになる」と述のべ、訪問ほうもんが極きわめて重要じゅうようなものになると強調きょうちょうしています。

先月せんげつ、G7広島ひろしまサミットにあわせて開ひらかれた日本にっぽんとアメリカ、オーストラリアとの4か国かこくの枠組わくぐみ「クアッド」の首脳しゅのう会合かいごうでは、他たの首脳しゅのうらとともに「力ちからや強制きょうせいによって現状げんじょうを変更へんこうしようとする不安定ふあんてい化かまたは一方いっぽう的てきな行動こうどうに強つよく反対はんたいする」などという共同きょうどう声明せいめいをまとめ、名指なざしは避さけつつも、「世界せかい最大さいだいの民主みんしゅ主義しゅぎ国こく」として連携れんけいして中国ちゅうごくをけん制けんせいする姿勢しせいを改あらためて示しめしました。

また、その直後ちょくごには南太平洋みなみたいへいようのパプアニューギニアを初はじめて訪おとずれて、島とうしょ国こく14か国かこくの首脳しゅのうらとの会合かいごうを開催かいさい。

インド洋いんどようだけではなく、中国ちゅうごくが影響えいきょう力りょくを強つよめる南みなみ太平洋たいへいようにも積極せっきょく的てきに関与かんよしていく姿勢しせいを鮮明せんめいにしました。

人口じんこうが14億おくを超こえ、まもなく中国ちゅうごくを上回うわまわり世界一せかいいちになるとみられるインド。

経済けいざい面めんでもGDP＝国内こくない総そう生産せいさんはおととし、宗主そうしゅ国こくだったイギリスを抜ぬいて世界せかい5位いとなりましたが、アジアの大国たいこくを自負じふするインドには、国際こくさい社会しゃかいでふさわしい地位ちいと権限けんげんが与あたえられていないという思おもいがあります。

伝統でんとう的てきな友好国ゆうこうこくであるロシアとの関係かんけいを維持いじしつつも、アメリカにも接近せっきんする背景はいけいには、名実めいじつともに大国たいこくの仲間入なかまいりを果はたすにはロシアだけではなく、アメリカの協力きょうりょくが不可欠ふかけつだという認識にんしきがあるとみられます。

両国りょうこくの間までは首脳しゅのう会談かいだんに向むけた、いわゆる「地じならし」が続つづけられてきて、今月こんげつ5日にちにはアメリカのオースティン国防こくぼう長官ちょうかんが訪問ほうもん先さきのニューデリーでインドのシン国防こくぼう相しょうと会談かいだんし、両国りょうこくが新しん技術ぎじゅつの共同きょうどう開発かいはつや共同きょうどう生産せいさんなど防衛ぼうえい分野ぶんやでの協力きょうりょくを強化きょうかしていくことで一致いっちしました。