また政府は、26日朝、北朝鮮から少なくとも1発の弾道ミサイルが発射され、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられると発表しました。これまでに被害の情報は入っていないということで、北朝鮮に厳重に抗議するとともに、引き続き、警戒・監視に全力をあげることにしています。
韓国軍合同参謀本部の発表によりますと、北朝鮮は26日午前5時半ごろ、首都ピョンヤン付近から日本海に向けて弾道ミサイルを発射したものの、失敗したと推定されるということです。
北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、5月30日以来で、韓国軍はアメリカ軍とともにミサイルの種類や飛行距離などの詳しい分析を進めています。
韓国の通信社、連合ニュースは軍関係者の話として「ミサイルは250キロ余り飛行し、極超音速ミサイルの発射実験を試みて失敗したとみられる」と伝えています。
韓国では、近く実施される日米韓3か国の新たな共同訓練「フリーダム・エッジ」に参加するアメリカ海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」が南東部のプサン(釜山)に入港していて、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が朝鮮戦争の勃発から74年となった25日に視察に訪れていました。
一方、北朝鮮の国防次官は24日、アメリカ軍の空母の韓国入港に反発する談話を出し「圧倒的かつ新たな抑止力を見せつける可能性がある」として、米韓両国への対抗措置を示唆していました。
防衛省などによりますと、26日午前5時28分ごろ北朝鮮の内陸部から少なくとも1発の弾道ミサイルが東の方向に発射されました。
詳細はアメリカや韓国と分析中としていますが、最高高度はおよそ100キロで、200キロ以上飛しょうしたと推定しています。
落下したのは朝鮮半島東岸付近の日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海と推定され、これまでに被害の情報は入っていないということです。
北朝鮮が弾道ミサイルや、弾道ミサイルの可能性があるものなどを発射したのは、5月30日以来でことし8回目です。
政府は「北朝鮮の行動は、わが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもので、安保理決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だ」として北朝鮮に対し厳重に抗議し、強く非難したとしています。
その上で「国民の生命・財産を守り抜くため、引き続きアメリカや韓国などと緊密に連携し、情報の収集・分析および警戒・監視に全力をあげる」としています。
米国務省報道担当者「国連安保理決議に違反」と非難
アメリカ国務省の報道担当者は25日、NHKの取材に対し「今回の発射は、近年のほかの弾道ミサイルの発射同様、国連安全保障理事会の複数の決議に違反している。こうした発射は、北朝鮮の近隣諸国に脅威をもたらし、地域の安全を損なうものだ」と非難しました。
その上で「われわれは外交的なアプローチを続け、北朝鮮に対し、対話に応じるよう求める」としています。
北朝鮮による今回の発射を受けて、岸田総理大臣は、午前5時33分、情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え万全の態勢をとることを指示しました。
政府関係者によりますと、岸田総理大臣は、総理大臣官邸に隣接する公邸にいて、防衛省の担当者などから今回の発射に関する最新情報の報告を受け、対応を協議しました。