小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントをめぐっては、摂取したあと、腎臓の病気を発症するなどして、全国で健康被害の訴えが相次いでいます。
この問題について、小林製薬がこれまで死亡した件数として公表していた5件のほかに、家族が死亡したという遺族からの問い合わせが170件寄せられ、このうち製品を摂取したことがあり、亡くなった76件について、因果関係を確認するため、サプリメントの摂取の時期や医師の診断内容などを調査していると、厚生労働省に報告があったということです。
また、小林製薬は、これまで公表していた5件の死亡事例のうち、1件については紅麹関連の製品を摂取していなかったと説明しているということです。
厚生労働省は、小林製薬からの報告に基づき、3月29日に死亡事例を5件と公表して以降、定期的に死亡者数などの被害状況を公表してきましたが、厚生労働省側が6月13日に会社に確認するまで、小林製薬側から死亡についての相談件数が大幅に増えていることは伝えられていなかったということです。
厚生労働省は、会社が報告をしなかったことは極めて遺憾だとして、小林製薬に対して、調査の進め方について指示するとともに、今後は進捗を管理していくことになりました。
武見厚労相「小林製薬に任せておくことできず」
武見厚生労働大臣は「本来ならばもっと早くこうした事例があれば報告が必要で、死亡事例について厚生労働省から問いただして、初めて報告があった。極めて遺憾で、これ以上小林製薬に任せておくことはできず、厚生労働省が直接、調査の進捗状況含めて管理することにした」と話していました。
林官房長官「詳細な件数報告せず 極めて遺憾」
林官房長官は午後の記者会見で「厚生労働省から小林製薬に対しては死亡者数などの情報について毎日報告を求めてきた。死亡者数が更新されないため、今月13日に確認を求めたことを受け、翌14日に調査中の事例があること自体は報告があったが、きょうに至るまで詳細な件数を報告しなかったことは極めて遺憾だ」と述べました。
その上で「調査への遺族の同意の取得や医療機関からの情報収集の進め方などについて、早急に計画を作成し、あすまでに報告するよう、小林製薬に指示した。今後、厚生労働省がしっかり進捗を管理しつつ、紅麹製品との因果関係に関する調査を小林製薬に行わせる方針だ」と述べました。
小林製薬 “76人の摂取と死亡との関係を調査” 発表
小林製薬は28日、製品の摂取と死亡との関係を調査中の事例について発表しました。
それによりますと、死亡に関する相談は170件寄せられ、このうち、製品を摂取していなかったと確認された91人と、医師の診断で因果関係がないとされた3人を除いた、76人について、摂取と死亡との関係を調べているということです。
この中には腎臓に関連する病気以外で亡くなった人もいるということです。
会社では、基礎疾患があったり高齢だったりする人などに間接的に健康被害を及ぼす可能性もあるとしていて、今後も調査の状況を公表するとしています。
また、170件の相談とは別に、会社はこれまで製品を摂取したあとに5人が死亡したと公表してきましたが、その後の調査の結果、このうち1人は製品を摂取していなかったことが確認されたほか、別の2人も主治医への聞き取りの結果などから製品との関係は不明とされたということです。
小林製薬は「健康被害の可能性が否定できないものは広く公表すべきと判断した。調査中の事例の中には事後に関連性が否定されるものが含まれている可能性があるほか、調査する人の数が増える可能性もある。今後、より精緻な把握と報告に努めたい」としています。