将棋しょうぎ 藤井ふじい聡さとし太たい七なな冠かん「永世えいせい棋聖きせい」資格しかく獲得かくとく 53年ねんぶり最年少さいねんしょう記録きろく

「棋聖きせい戦せん」五ご番ばん勝負しょうぶはここまで藤井ふじい七なな冠かんが2勝しょうをあげ、タイトル防衛ぼうえいまであと1勝しょうに迫せまっていました。

第だい3局きょくは1日にちに名古屋なごや市しのお寺おてらで行おこなわれ、序盤じょばんは、互たがいに飛車ひしゃの前まえの歩ふを進すすめて戦たたかう「相あい掛かかり」の戦法せんぽうで小競り合こぜりあいが続つづきます。

後手ごての藤井ふじい七なな冠かんは、大だい駒こまの交換こうかんから相手あいての守もりを徐々じょじょに崩くずし、形勢けいせいを有利ゆうりにします。

山崎やまざき八はち段だんは持ち時間もちじかんをほぼ使い切つかいきりながらも粘ねばりを見みせますが、午後ごご6時じ46分ふん、100手てまでで投了とうりょう。

藤井ふじい七なな冠かんが3連勝れんしょうで制せいし、4年ねん前まえに初はじめて獲得かくとくして以来いらい、「棋聖きせい戦せん」を5連覇れんぱして「永世えいせい棋聖きせい」の資格しかくを得えました。

現在げんざい21歳さい11か月かげつの藤井ふじい七なな冠かんにとっては初はじめての永世えいせい称号しょうごうで、1971年ねんに中原なかはら誠まこと十じゅう六ろく世せい名人めいじん（76）が築きずいた最年少さいねんしょう記録きろく「23歳さい11か月かげつ」を53年ねんぶりに更新こうしんしました。

藤井ふじい七なな冠かんは去年きょねんタイトルを独占どくせんし「八はち冠かん」を維持いじしてきましたが、先月せんげつの「叡あきら王おう戦せん」で初はじめて防衛ぼうえいに失敗しっぱいし、「七なな冠かん」となっています。

一方いっぽう、山崎やまざき八はち段だんは、2009年ねんの「王座おうざ戦せん」以来いらい、15年ねんぶり2度目どめのタイトル挑戦ちょうせんでしたが、初はじめてのタイトル獲得かくとくはなりませんでした。

藤井ふじい七なな冠かんの次つぎの対局たいきょくは、今月こんげつ6日にちに名古屋なごや市しで開幕かいまくする「王位おうい戦せん」で渡辺わたなべ明あきら九きゅう段だん（40）の挑戦ちょうせんを受うけます。

藤井ふじい七なな冠かん「光栄こうえいだが今後こんごも活躍かつやくがより問とわれる」

対局たいきょくのあと、勝利しょうりした藤井ふじい聡さとし太たい七なな冠かんは「『銀ぎん』を活用かつようしていけるかがポイントになるかと思おもい序盤じょばんで『銀ぎん』を上あげたが、その辺あたりの判断はんだんが常つねに難むずかしいと思おもいながら指さしていた」と振り返ふりかえりました。

そして、「棋聖きせい戦せん」を5連覇れんぱして「永世えいせい棋聖きせい」の称号しょうごうを獲得かくとくしたことについては、「初はじめてタイトルを取とれたのが『棋聖きせい戦せん』で、いろいろ思い出おもいでも多おおいので、その棋聖きせい戦せんで今回こんかい、永世えいせい称号しょうごうを獲得かくとくできたことはうれしい。光栄こうえいなことだが、同時どうじに今後こんごも活躍かつやくがより問とわれるのかなと思おもっている」と話はなしていました。

一方いっぽう、敗やぶれた山崎やまざき隆之たかゆき八はち段だんは「少すこし力戦りきせん的てきな形かたちで動うごいたが、読よみ合あいで上回うわまわられてずっと苦くるしいと思おもっていた。さすがの指さし回まわしで最後さいごまでチャンスが回まわってこなかった。自分じぶんなりに集中しゅうちゅうしてふんばって指さしたところもあったが、シリーズを通をとおして完敗かんぱいだった」と話はなしていました。

その上うえで、今回こんかいが15年ねんぶりのタイトル挑戦ちょうせんとなったことについては「タイトル戦せんに出でられるということは本当ほんとうに幸しあわせなことで、指さしていて楽たのしかったが、もっと自分じぶんが強つよければその楽たのしさは無限むげんにあったのかなと改あらためて感かんじた」と話はなしていました。

藤井ふじい七なな冠かん 記者きしゃ会見かいけんで決意けついも

藤井ふじい聡さとし太たい七なな冠かんは感想かんそう戦せんを終おえたあと、記者きしゃ会見かいけんに臨のぞみました。

この中なかで、出身しゅっしん地ちの愛知あいち県けんでタイトル防衛ぼうえいを果はたしたことについて「地元じもとの方ほうにも多おおく見みていただける機会きかいになるので、いい将棋しょうぎを指さしたいという気持きもちは対局たいきょく前まえから強つよく持もっていました。この場所ばしょで結果けっかを出だすことができてすごくうれしく思おもっています」と喜よろこびを語かたりました。

また、先月せんげつ20日にちに行おこなわれた「叡あきら王おう戦せん」の最終さいしゅう局きょくで敗やぶれ、タイトルを失うしなったあとで1日にちの対局たいきょくに臨のぞんだ心境しんきょうについて、「基本きほん的てきには1局きょく1局きょくそれぞれ頑張がんばっていきたいと考かんがえていますし、本局ほんきょくにおいてもそういうふうに思おもって対局たいきょくしました。1局きょく通とおして集中しゅうちゅうして指さすことができたと思おもいます」と話はなしていました。

そして、史上しじょう最年少さいねんしょうで永世えいせい称号しょうごう「永世えいせい棋聖きせい」を獲得かくとくしたことについて、「まだ実感じっかんはそれほどないですが、『永世えいせい称号しょうごう』は時代じだいを築きずいた棋士きしが取とるものというイメージがあったので、うれしく思おもうとともに、今後こんごも長期ちょうき間かんにわたって活躍かつやくできるように取り組とりくんでいかなくてはいけないと思おもっています」と決意けついを語かたっていました。

《羽生はぶ善治よしはる会長かいちょう 中原なかはら誠まこと十じゅう六ろく世せい名人めいじんがコメント》

日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい 羽生はぶ善治よしはる会長かいちょう

「永世えいせい棋聖きせいの称号しょうごう獲得かくとく、誠まことにおめでとうございます。初はつタイトルを奪取だっしゅした時ときから安定あんていした指さし回まわしでその地位ちいにふさわしい内容ないようだと思おもいました。スタイルの違ちがう相手あいてとのタイトル戦せんの連戦れんせんは想像そうぞう以上いじょうの大変たいへんさだと思おもいますが、いつも周到しゅうとうな準備じゅんびと研究けんきゅうを披露ひろうされています。今後こんごの益々ますますの御ご活躍かつやくを期待きたいしております」

これまで最年少さいねんしょう記録きろくを保持ほじしていた中原なかはら誠まこと十じゅう六ろく世せい名人めいじん

「永世えいせい棋聖きせいおめでとうございます。17歳さいで棋聖きせい獲得かくとく、それからの五ご連覇れんぱはお見事みごとです。防衛ぼうえい力りょくの強つよさに感心かんしんしました。これからも尚なお一層いっそうのご活躍かつやくをお祈おいのりいたします」

「永世えいせい称号しょうごう」とは

「永世えいせい称号しょうごう」は将棋しょうぎのタイトルを一定いっていの回数かいすう獲得かくとくすると与あたえられる呼び名よびなで、タイトル戦せんにおける“殿堂でんどう入いり”とも言いわれます。

棋士きしにとってタイトルは1つでも獲得かくとくすれば“その時代じだいを代表だいひょうする棋士きし”となりますが、永世えいせい称号しょうごうはいわば、“歴史れきしに名なを残のこす名めい棋士きし”の証あかしとなっています。

《将棋しょうぎの八はち大だいタイトルについての永世えいせい称号しょうごう》

▽永世えいせい竜王りゅうおう

▽永世えいせい名人めいじん

▽永世えいせい王位おうい

▽永世えいせい叡あきら王おう

▽名誉めいよ王座おうざ

▽永世えいせい棋王きおう

▽永世えいせい王将おうしょう

▽永世えいせい棋聖きせい

「王座おうざ」のみ、囲碁いごと同おなじ名前なまえの「名誉めいよ王座おうざ」となっています。

称号しょうごうが与あたえられる条件じょうけんは、タイトル獲得かくとくが「連続れんぞく5期き」や「通算つうさん5期き」、「通算つうさん10期き」などとタイトルによって異ことなります。

また、称号しょうごうを名乗なのる時期じきについては、原則げんそく、引退いんたい後ごですが、60歳さいを迎むかえるころから名乗なのる棋士きしもいます。

永世えいせい称号しょうごうを獲得かくとくした棋士きしは藤井ふじい聡さとし太たい七なな冠かん（21）が11人にん目めで、今回こんかい「永世えいせい棋聖きせい」を21歳さい11か月かげつで獲得かくとくし、最年少さいねんしょう記録きろくを更新こうしんしました。「永世えいせい棋聖きせい」の獲得かくとくとしては6人にん目めとなります。

永世えいせい称号しょうごうの最年少さいねんしょう記録きろく

これまでの永世えいせい称号しょうごうの最年少さいねんしょう記録きろくは、

▽中原なかはら誠まこと十じゅう六ろく世せい名人めいじん（76）が1971年ねんに「永世えいせい棋聖きせい」を獲得かくとくした23歳さい11か月かげつ、

▽羽生はぶ善治よしはる九きゅう段だん（53）が1995年ねんに「永世えいせい棋王きおう」を24歳さい5か月かげつ、

▽渡辺わたなべ明あきら九きゅう段だん（40）が2008年ねんに「永世えいせい竜王りゅうおう」を24歳さい7か月かげつ、

▽大山おおやま康晴やすはる十じゅう五ご世せい名人めいじんが1956年ねんに「永世えいせい名人めいじん」を33歳さい3か月かげつで獲得かくとくしています。

また、永世えいせい称号しょうごうを複数ふくすう獲得かくとくしている棋士きしもいて、羽生はぶ九きゅう段だんは、最もっとも新あたらしいタイトルの「叡あきら王おう」を除のぞく7つのタイトルで永世えいせい称号しょうごうを獲得かくとくし、ただ1人にん、「永世えいせい七なな冠かん」の資格しかくを得えています。

藤井ふじい七なな冠かんは、今月こんげつ6日にちに開幕かいまくする「王位おうい戦せん」七なな番ばん勝負しょうぶで渡辺わたなべ九きゅう段だんの挑戦ちょうせんを受うけ、防衛ぼうえいに成功せいこうして5連覇れんぱすると、2つめの永世えいせい称号しょうごうとなる「永世えいせい王位おうい」の資格しかくを得えます。