“劇げき症しょう型がた溶連菌ようれんきん” コロナ5類るい移行いこう後ご再ふたたび 妊産婦にんさんぷ死亡しぼうの報告ほうこくも

そして新型しんがたコロナの5類るい移行いこう後ご、ことし3月つきまでの9か月かげつ間かんで、この感染かんせん症しょうによる妊産婦にんさんぷの死亡しぼうが、5人にん報告ほうこくされたことがわかりました。

新型しんがたコロナの5類るい移行いこう後ご妊産婦にんさんぷの死亡しぼう報告ほうこく

日本にっぽん産婦人科さんふじんか医い会かいの死亡しぼう症例しょうれいを検討けんとうする委員いいん会かいのメンバーの聖マリアンナ医科大学せいまりあんないかだいがくの長谷川はせがわ潤一じゅんいち教授きょうじゅなどのグループが、2010年ねん1月つきから2024年ねん3月つきまでに劇げき症しょう型がた溶連菌ようれんきん感染かんせん症しょうで死亡しぼうした妊産婦にんさんぷの症例しょうれいを分析ぶんせきしました。

それによりますと、新型しんがたコロナ前まえは毎年まいとし1人にんから5人にん程度ていどの死亡しぼうが報告ほうこくされていて、新型しんがたコロナの感染かんせん対策たいさくが取とられていた2020年ねんから2023年ねん6月つきまでのおよそ3年間ねんかんは、死亡しぼうの報告ほうこくはありませんでした。

しかし、新型しんがたコロナの5類るい移行いこうで感染かんせん対策たいさくが緩和かんわされたあと、2023年ねん7月つきからことし3月つきまでに妊産婦にんさんぷ5人にんの死亡しぼうが報告ほうこくされたということです。

感染かんせん経路けいろをみると、妊婦にんぷは7割わり以上いじょうが鼻はなやのどの「上気じょうき道どう」からの感染かんせんが推定すいていされ、長谷川はせがわ教授きょうじゅは新型しんがたコロナが感染かんせん拡大かくだいしていた期間きかんは、マスク着用ちゃくようや消毒しょうどく、手洗てあらいなどによって感染かんせんが抑おさえられていた可能かのう性せいがあり、感染かんせん対策たいさくの緩和かんわ後ごに死亡しぼう例れいの報告ほうこくが出でていると指摘してきしています。

長谷川はせがわ教授きょうじゅ

「劇げき症しょう化かになることはまれで過度かどにおそれることはないが、妊産婦にんさんぷ本人ほんにんはもちろん、同居どうきょする家族かぞくなどはマスクや手洗てあらいなどの感染かんせん対策たいさくをとってほしい。妊娠にんしん中ちゅうにのどの痛いたみや熱ねつなどの異変いへんがあったらすぐに医療いりょう機関きかんを受診じゅしんし、溶連菌ようれんきんに感染かんせんした家族かぞくがいる場合ばあいは医師いしに伝つたえてほしい」

また、医療いりょう機関きかんに対にたいしてはこう話はなしました。

「妊婦にんぷが発熱はつねつやのどの症状しょうじょうを訴うったえた場合ばあいには、救急きゅうきゅう外来がいらいなどでも溶連菌ようれんきんへの感染かんせんを疑うたがうべきだ。家族かぞくなど周囲しゅういに溶連菌ようれんきんによる咽頭いんとう炎えんなどがなかったかをたずねるほか、簡易かんい検査けんさキットで確認かくにんするなどして速すみやかに治療ちりょうにつなげてほしい」

過去かこ最多さいたの患者かんじゃ数すう

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、6月つき23日にちまでの1週間しゅうかんに報告ほうこくされた患者かんじゃ数すうは33人にんで、ことしに入はいってからの累計るいけいでは速報そくほう値ちで1101人にんとなっています。

現在げんざいの方法ほうほうで統計とうけいを取とり始はじめてから最もっとも患者かんじゃ数すうが多おおかった去年きょねんは1年間ねんかんで941人にんで、ことしは6月つき2日にちの時点じてんですでにこの数かずを超こえていて、過去かこ最多さいたとなっています。

推定すいていされる感染かんせん経路けいろは

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、これまでに報告ほうこくされている「A群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん」による「劇げき症しょう型がた」の患者かんじゃ650人にんあまりでは、推定すいていされる感染かんせん経路けいろは、傷口きずぐちなどからの感染かんせんが44％と最もっとも多おおく、次ついで感染かんせん経路けいろ不明ふめいが35％、また9％が飛ひまつによる感染かんせんとみられるということです。

入院にゅういんが必要ひつようになる子こどもも

主おもに子こどもがかかる病気びょうきで同おなじ「A群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん」に感染かんせんして発熱はつねつやのどの痛いたみなどが出でる咽頭いんとう炎えんについても、去年きょねん夏なつ以降いこう、患者かんじゃ数すうが多おおい状態じょうたいが続つづいています。

6月つき23日にちまでの1週間しゅうかんに全国ぜんこくおよそ3000の小児しょうに科かの医療いりょう機関きかんから報告ほうこくされた患者かんじゃ数すうは、1医療いりょう機関きかんあたり4.05人にんで、前まえの週しゅうよりも0.41人にん減へったものの6週しゅう連続れんぞくで4人にんを超こえています。

「A群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん」は、主おもに子こどもの咽頭いんとう炎えんの原因げんいんとなる菌きんで多おおくの場合ばあいは軽症けいしょうで済すみますが、まれに「侵襲かさね性せいA群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん感染かんせん症しょう」と呼よばれる症状しょうじょうで入院にゅういんが必要ひつようになることがあります。

「侵襲かさね性せいA群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん感染かんせん症しょう」は、急激きゅうげきに悪化あっかする「劇げき症しょう型がた」のようにショック症状しょうじょうなどはないものの、重おもい肺炎はいえんや関節かんせつ炎えん、骨髄こつづい炎えんなどの症状しょうじょうが出でるということで入院にゅういんが必要ひつようになるということです。

東京とうきょう都立とりつ小児しょうに総合そうごう医療いりょうセンターでは、「侵襲かさね性せい」と診断しんだんされ入院にゅういんする子こどもが、去年きょねんの秋あき以降いこう、増ふえる傾向けいこうにあるということです。

この病院びょういんでは、新型しんがたコロナウイルスが流行りゅうこうした2020年ねんから3年間ねんかんは「侵襲かさね性せい」の患者かんじゃは1人にんもいませんでしたが、「A群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん咽頭いんとう炎えん」が流行りゅうこうした去年きょねん12月つきからことし5月つきまでの半年はんとし間かんで4人にんが入院にゅういんしたということです。

このうち、ことし5月つきに入院にゅういんした7歳さいの男の子おとこのこは重おもい肺炎はいえんを起おこし、すぐに肺はいにたまったうみを取り除とりのぞく手術しゅじゅつを行おこなったということで、現在げんざいは回復かいふくして退院たいいんしているということです。

この病院びょういんでは「侵襲かさね性せい」の患者かんじゃはコロナ禍か前まえは、多おおい年としでも5人にん程度ていどだったということですが、「劇げき症しょう型がた」とは違ちがって国くにへの報告ほうこくの制度せいどなどがなく、国内こくない全体ぜんたいの患者かんじゃ数すうなどは分わからないということです。

東京とうきょう都立とりつ小児しょうに総合そうごう医療いりょうセンター感染かんせん症しょう科か 堀越ほりこし裕ひろし歩ふ 部長ぶちょう

「軽症けいしょうの咽頭いんとう炎えんの患者かんじゃがものすごく増ふえてすそ野すそのが広ひろがった分ぶん、重症じゅうしょう化かする患者かんじゃも増ふえているとみられる。ありふれた菌きんなので過度かどに恐おそれることはないが、手洗てあらいなどの予防よぼう対策たいさくは取とってほしい。子こどもの侵襲かさね性せいA群ぐん溶血ようけつ性せいレンサ球菌きゅうきん感染かんせん症しょうは全体ぜんたい像ぞうが分わからないので、特定とくていの医療いりょう機関きかんに絞しぼって調査ちょうさを行おこなうなど感染かんせん状況じょうきょうを把握はあくする方法ほうほうを検討けんとうしてもよいのではないか」

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょでは、手洗てあらいやせきエチケット、それにすり傷きずなどけがをした際さいに傷口きずぐちを消毒しょうどくするなど感染かんせん予防よぼう策さくを呼よびかけています。