会議は、22日午前中、東京・港区にある外務省の飯倉公館で開かれ、岩屋外務大臣と、中国の王毅外相、韓国のチョ・テヨル(趙兌烈)外相が出席しました。
岩屋大臣は「3か国は隣国として難しい問題に直面することもあるが、率直な対話を行うとともに、未来志向の交流と協力を推進することは、3か国共通の利益で、地域、国際社会の平和と繁栄にとっても極めて重要だ」と述べました。
そして、未来志向で、人的交流を通じた相互理解を促進し、経済や防災協力を強化していくのに加え、少子高齢化といった共通の課題での協力を推進していくことで一致しました。
また、岩屋大臣は、北朝鮮による核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力の進展に懸念を表明し、国連安保理決議に沿った非核化などに向け、3か国で緊密に意思疎通する重要性を呼びかけました。
さらに、北朝鮮による拉致問題の即時解決への協力も求めました。
そして、ウクライナ情勢に関し、岩屋大臣は、世界のどこであっても力による一方的な現状変更の試みを認めない立場を訴えていく必要性を強調しました。
その上で会議では、3か国の首脳会議を、なるべく早い時期に日本で開催できるよう、調整を加速させることで一致しました。
中国 王毅外相 “終戦から80年 3か国が歴史直視 未来見据える”
日中韓3か国の外相会議の冒頭、中国の王毅外相は「3か国の協力が始まって20年あまりがたち、さまざまな分野での協力は総じて前向きな勢いを保ち、よい成果を得てきた。3か国の人々やそれぞれの発展に利益をもたらすだけでなく、地域の安定と経済の一体化を促進してきた」と述べました。
その上で、ことし、終戦から80年の節目となることに言及し、「中国と地域の国々の人々は、この重要な節目を非常に重視している。歴史を真摯(しんし)に振り返ってこそ、私たちは真に未来を切り開くことができる。この重要な歴史的節目に、3か国が歴史を直視し、未来を見据えて、中日韓の協力を堅持すべきだ」と述べました。
◎3か国外相が共同記者発表
岩屋外相 “未来志向の協力推進を確認”
岩屋外務大臣は、共同記者発表で「日中韓の協力と、地域・国際情勢について、大局的な観点から率直な意見交換を行い、未来志向の協力を推進していくことを確認できた。きょうの成果を、次回の首脳会議につなげられるよう、引き続き、3か国で緊密に連携していきたい」と述べました。
中国 王毅外相 “自由貿易堅持し経済のグローバル化を推進”
共同記者発表で中国の王毅外相は「国際情勢がめまぐるしく変わり、世界経済の回復が力を欠く中、中国、日本、韓国は互いの意思疎通をさらに強化する必要性と責任があるという点で一致した」と述べました。
その上で、アメリカのトランプ政権が自国第一主義的な政策を進めていることを念頭に「われわれは多国間主義と自由貿易を堅持しより公平で包括的な経済のグローバル化を推進していく」と強調しました。
また、朝鮮半島は情勢が複雑で、不確実性が高まっているとした上で「各当事国が問題の根本的な原因を直視し、歩み寄り、互いに善意を示すべきだ」と述べ、政治的な解決を目指す考えを示しました。
一方、王外相はことしが終戦から80年の節目となることに言及し「ことしは歴史を振り返り、反省し、そこから有益な教訓を引き出す重要な年だ。3か国は引き続き歴史を直視し、未来志向の精神で協力の健全な発展を促進していくべきだ」と述べました。