このうちため池や用水路など農業用施設の被害が2万1500か所に上り、被害額は1060億円となっています。
またコメやりんごなど農作物の被害は1万8900ヘクタールに及び、被害額は135億円となっています。
さらに林道や木材加工の施設など林業関係の被害は656億円、漁港の施設など水産関係の被害が115億円となっています。
被害額は浸水が広範囲に及んだ地域を中心に増える見通しで、農林水産省は被害の全容の把握を急いでいます。
また9月の台風15号による被害額は523億円に上り、台風19号とその後の大雨の影響を合わせると、被害額は3000億円を超えています。
台風や大雨による被害としては統計のある1964年以降では被害額が3400億円に上った去年7月の西日本豪雨に次ぐ規模となっています。
りんご畑に今も大量の泥 長野
千曲川の堤防が決壊した長野市穂保とその周辺の地域では今もりんご畑などに大量の泥がたまったままの状態で農家を悩ませています。
台風19号の豪雨災害で千曲川の堤防が決壊した長野市穂保とその周辺の地域ではこの地域で栽培が盛んなりんご畑などに川の水が流れ込み、大量の泥がたまったままです。
このうち長野市穂保のりんご農家、米沢孝典さん(81)が所有するおよそ70アールのりんご畑は高さ30センチほど泥がたまり、流れ着いたゴミなどもほとんど手付かずのままです。
こうした農家の要望を受けて、長野市は今後、泥の除去を進めて被災した農家の再建を支援することにしています。
米沢さんは「家の中はだいぶ片づき、畑の泥の撤去を徐々に始めましたが、まだ先が見通せません。早く行政に泥の除去をしていただきたいです」と話していました。
一時水没の農業用ハウス 再開に時間かかる見通し 宮城 大崎
台風19号の豪雨で一時水没した宮城県大崎市鹿島台の農業用ハウスでは稲わらなどの片づけは終わったものの、農業の再開にはまだしばらく時間がかかる見通しです。
大崎市鹿島台にある大型の農業用ハウスでは12日朝8時ごろ、従業員たちがハウスの中に新しい土を入れる作業を行い、軽トラックで持ち込んだ土をスコップなどでまんべんなく盛っていました。
このハウスでは先月の豪雨で最大3メートルの高さまで水につかり、2億円以上の被害が出ました。
10日後に水が引いてから大量の稲わらなどの片づけに取り組み、ほぼ完了したものの、農業の再開にはしばらくかかるということです。
ハウスを運営する会社、「マルセンファーム」の千葉卓也社長は「12月にほうれんそうを植えたいと思っていますが、泥で汚れたビニールの張り替えなどが必要です。早くお客さんのもとに野菜を届けられるようになりたいです」と話していました。
サケ捕獲施設も復旧作業 漁ができない状態続く 岩手 宮古
台風19号で被害を受けた岩手県宮古市にある本州有数のサケの捕獲施設では1か月がたった現在も復旧作業が行われていて、漁ができない状態が続いています。
本州有数の水揚げ量を誇る、宮古市の津軽石川にあるサケの捕獲施設では、台風19号の豪雨で川が増水し、サケを捕まえるための網を張るくい、およそ50本がすべて流されるなど大きな被害を受けました。
サケ漁は9月中旬から始まっていましたが、台風の影響で漁ができなくなり、1か月たった現在も再開できないままです。
捕獲施設を管理する組合では11日、くいを打ち直し、12日は漁業者たちが船に乗って、網を張るための準備を進めていました。組合によりますと、例年、サケの水揚げのピークは12月だということで、今月中には復旧作業を終えて漁を再開したいとしています。
津軽石さけ繁殖保護組合の山野目輝雄組合長は「震災に続いて、今回の台風でも被害を受け、ショックでした。これから水揚げのピークとなるので、待ったなしの気持ちで復旧を急ぎたい」と話していました。