警察はSNSを通じて知り合った女の子を誘い出し、小山市の自宅に連れ去ったとして自称派遣社員の伊藤仁士容疑者(35)を逮捕し、25日午後、未成年者誘拐と監禁の疑いで検察庁に送検しました。
調べに対し、容疑を否認しているということです。
この事件で、女の子が伊藤容疑者とやり取りをしていたSNSはツイッターだったことが捜査関係者への取材で分かりました。
最初にやり取りが始まったのは今月10日ごろで、ツイッターの「ダイレクトメッセージ」と呼ばれる利用者どうしが非公開で会話できる機能を使っていたということです。
警察は、伊藤容疑者が周囲に気付かれないよう、「ダイレクトメッセージ」を使いやりとりを始めたとみて、内容を詳しく調べています。
大阪から栃木までの移動は
警察のこれまでの調べによりますと、小学6年生の女の子は今月17日の午前10時半すぎに自宅近くの大阪 住吉区の公園で伊藤容疑者と初めて会ったということです。
その後2人は、公園近くの大阪メトロ御堂筋線の「あびこ駅」で地下鉄に乗りました。さらに在来線を乗り継いで移動を続けたということです。新幹線は使っていませんでした。
そして、JR水戸線の無人駅、小田林駅で列車を降り、2人で歩いて伊藤容疑者の自宅に向かったとみられています。
警察によりますと、女の子の自宅から400キロ余り離れた伊藤容疑者の自宅に着いたのは、防犯カメラの映像などから日付が変わった18日の午前0時ごろだということです。
母親「今まで以上に愛情をもって育てる」
大阪の小学6年生の女の子が、無事、保護されたことを受けて、女の子の母親が25日夕方、取材に応じました。
この中で母親は「娘が見つかるまで、とても長く感じ、生きた心地がしなかったです。娘と再会した時、抱きしめにいったら抱きしめ返してくれ、本当に安心しました。今まで以上に愛情をもって育てていこうと思いました」と話しました。
一方、容疑者の男に対して「6日間にわたり監禁したことは許せないです。憤りを感じます」と話しました。
そして女の子がSNSで誘い出されたことについては「スマートフォンは5年生くらいのときから持たせていました。月に何度かチェックをしていました。11月初めに見た時は、知らない人と連絡をとっている様子はなかったです。SNSに限らず知らない人にはついていかないようにと教えていました。娘も警戒心は強かったので、なぜついていってしまったのか分かりません。娘には『無事に帰って来られたので、これからは安心して家族みんなで暮らしていこうね』と声をかけたい」と話しました。
専門家「年齢制限も国や企業は議論を」
子どものインターネットによるトラブルなどに詳しい兵庫県立大学の竹内和雄准教授は、子どもが好んで使うSNSを親が把握することが不可欠だとしたうえで、「子どもにスマホを持たせるときから、SNSで知らない人と連絡をとらないなど、具体的なルールをつくっておくことが重要だ」と強調しました。
そのうえで、「事件を根本的に防ぐには、子どもと大人がSNSを通じて会えない環境をつくること、例えば、SNSの年齢認証を強化したり、フィルタリングを厳格にしたりすることで、サービスが使える年齢を制限していくことも、国や企業は議論をしていくべきだ」と指摘しました。