中国の
王毅外相は、
韓国の
外相との
会談に
先立ち、
先月31
日から
今月2
日まで、ASEAN=
東南アジア諸国連合に
加盟するシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの4
か国の
外相を、
それぞれ韓国の
外相と
同じく南部・
福建省に
招き、
会談していました。
中国外務省によりますと、王外相は各国の外相に対し、ミャンマー情勢をめぐり、ASEANが原則としている内政不干渉の順守を支持すると伝えたということです。
またフィリピンの外相に対しては、ミャンマー情勢をめぐる国連安全保障理事会の緊急会合について、ミャンマーの主権を損ない事態をさらに複雑化させる不当な介入を避けるべきだとも伝えたとしています。
欧米諸国がミャンマー軍に厳しい姿勢を示し、武器の禁輸などの制裁を求めているのに対し、中国はロシアとともに反対していて、同調するよう求めた形です。
王外相はこのところ、ロシアや中東各国、それにASEAN諸国などの外相と会談を重ねていて、アメリカのバイデン政権による中国包囲網とも言える動きに対抗する姿勢を鮮明にしています。
専門家「中国 アメリカとその同盟国にくさびねらう」
2015
年まで
上海総領事を
務め、
中国や
アジアの
国際関係に
詳しい東京大学大学院の
小原雅博元教授は「
今、
米中は
全面的な
戦略的競争の
時代に
入っていて、アメリカのバイデン
政権は、
同盟諸国との
結束を
全面に
出す外交を
行っている。
これに対して中国は、
アメリカと、アメリカが
関係を
強めようとしている
国の
間にくさびを
打ち込みたいと
考えている」と
指摘しました。
そのうえで「中国は、先日もASEAN諸国の外相を招いたほか、中東や東欧を訪問するなど、積極的な外交で仲間作りを進めている。まさに現代の合従連衡で、激しい外交合戦が展開されていて、今回の中韓の外相会談はそれに含まれる」と分析しました。
一方、こうした中国の動きが地域に与える影響については「米中のはざまで、多くの国が難しい立場に置かれることになる。アメリカとの間では安全保障の利益がある一方で、中国との間には経済的な利益がある。中国は巨大化する市場と経済援助を使い、こうした国々に揺さぶりをかけていて、まさにアメとムチだ。多くの国が中国を選ぶのか、アメリカを選ぶのか難しい選択を迫られている」と指摘しました。
また小原氏は日本の役割について「日本がどのような外交を展開するかが地域にとっても非常に重要になり、役割が問われることになる。日米同盟を堅持しながら中国との関係を悪化させず安定した関係を維持するという難しい外交が求められる」と話していました。