Japanese News: 「これ以上待てない」ワクチン接種ツアーでアメリカへ

政府せいふは、新型しんがたコロナウイルスワクチンの職域しょくいき接種せっしゅを、今月こんげつ21日にちから職場しょくばや大学だいがくなどで始はじめる方針ほうしんです。

ただ、依然いぜんとして接種せっしゅ時期じきの見通みとおしが立たたない人ひとが多おおい中なか、日にち米べいの旅行りょこう会社かいしゃなどが、海外かいがいで接種せっしゅを受うける「ワクチン接種せっしゅツアー」を相次あいついで販売はんばいし、参加さんかする人ひとが増ふえています。

新型しんがたコロナワクチンをめぐってはアメリカ・ニューヨーク州しゅうが大幅おおはばに減へった観光かんこう客きゃくを呼び戻よびもどそうと、先月せんげつ、ワクチン接種せっしゅの対象たいしょうを拡大かくだいし、州しゅう内ないで居住きょじゅうや勤務きんむしていることを証明しょうめいする書類しょるいがなくても接種せっしゅを受うけられるようにしました。

アメリカのNPOの調査ちょうさによりますと、同様どうようの措置そちをとっているのは今月こんげつ1日にち現在げんざい、全米ぜんべい50州しゅうのうち半数はんすうの25州しゅうで、夏なつの観光かんこうシーズンに向むけ、南部なんぶフロリダ州しゅうマイアミビーチの砂浜すなはまやアラスカ州しゅうの空港くうこうなどでも接種せっしゅ会場かいじょうが設もうけられています。

こうした中なか、海外かいがいでの接種せっしゅを希望きぼうする日本人にっぽんじんを対象たいしょうにした「ワクチン接種せっしゅツアー」が相次あいついで販売はんばいされています。

このうち東京とうきょうや北海道ほっかいどうなどの旅行りょこう代理だいり店てん6社しゃは、ニューヨークで接種せっしゅを受うけるツアーの販売はんばいを先月せんげつ末まつ以降いこう、始はじめました。

いずれも3泊はく5日にちが基本きほんで、1人にんで参加さんかする場合ばあい、航空こうくう券けん代だいを除のぞき、接種せっしゅ会場かいじょうへの付き添つきそいや、日本にっぽんへの入国にゅうこくに必要ひつようなウイルス検査けんさの費用ひようなどを合あわせて47万まん円えんから販売はんばいしています。

ツアーに申し込もうしこむ人ひとは、海外かいがいに出張しゅっちょうする機会きかいの多おおい30代だいから40代だいの会社かいしゃ経営けいえい者しゃなどが中心ちゅうしんだということで、旅行りょこう代理だいり店てんは今後こんごも一定いっていの需要じゅようがあると見込みこんでいます。

参加さんかした男性だんせい「これ以上いじょう待まてない」

東京とうきょう都内とないに住すむ50代だいの男性だんせいは、先月せんげつ中旬ちゅうじゅん、妻つまとともに「ワクチン接種せっしゅツアー」に参加さんかし3泊はく5日にちの日程にっていでニューヨークに行いきました。

ニューヨークに着ついたその日ひに、旅行りょこう会社かいしゃが手配てはいした車くるまで、地下鉄ちかてつの駅えきに設もうけられた接種せっしゅ会場かいじょうに直接ちょくせつ行いきました。

会場かいじょうでは事前じぜんの予約よやくは必要ひつようなく、パスポートを見みせて受け付うけつけを済すませると接種せっしゅのブースに案内あんないされ、すぐにワクチンの接種せっしゅを受うけられたということです。

接種せっしゅしたのは、接種せっしゅが1回かいで済すむジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンで、費用ひようは無料むりょうだったということです。

日本にっぽんに帰国きこくしたあとは14日間にちかんの自宅じたくなどでの待機たいきが求もとめられているため、男性だんせいは自宅じたくで隔離かくりをしながら仕事しごとをしていたと言いいます。

男性だんせいは、アメリカに行いってまで接種せっしゅを急いそいだ理由りゆうに、仕事しごと上じょうのメリットを挙あげます。

男性だんせいは機械きかい部品ぶひんを扱あつかう商社しょうしゃを経営けいえいしていて、これまで年としに10回かい以上いじょう、海外かいがい出張しゅっちょうに行いっていましたが、新型しんがたコロナの影響えいきょうで行いけなくなりました。

そのため、海外かいがいの取引とりひき先さきと対面たいめんでの打ち合うちあわせができなくなり、商談しょうだんが円滑えんかつに進すすまなくなったと言いいます。

また、取引とりひき先さきの多おおくはすでにワクチンの接種せっしゅを受うけているため、ともに安心あんしんしてビジネスを進すすめるためには、再ふたたび出張しゅっちょうに行いけるようみずからも早はやく接種せっしゅを受うける必要ひつようがあると考かんがえたということです。

男性だんせいは「日本にっぽんで受うけたかったが、いつ接種せっしゅできるか見通みとおしが示しめされていないため、これ以上いじょう待まてないと思おもった。日本にっぽんで接種せっしゅできなかったことは本当ほんとうに悔くやしい」と、複雑ふくざつな心境しんきょうを口くちにしました。

男性だんせいは今月こんげつ、自宅じたくでの待機たいき期間きかんが終おわり、早速さっそく海外かいがい出張しゅっちょうの準備じゅんびをしているということです。

旅行りょこう会社かいしゃ「会社かいしゃ経営けいえい者しゃが多おおい」

ニューヨークにある日系にっけい旅行りょこう会社かいしゃ「あっとニューヨーク」は、日本人にっぽんじんの顧客こきゃくから相談そうだんが寄よせられたことをきっかけに、先月せんげつ中旬ちゅうじゅんから日本人にっぽんじん向むけの「ワクチン接種せっしゅツアー」を企画きかくしました。

これまでにおよそ200人にんがツアーに参加さんかし、40代だいから50代だいの会社かいしゃ経営けいえい者しゃが多おおいということです。

ツアー料金りょうきんは、ホテルから接種せっしゅ会場かいじょうへの付き添つきそいや、日本にっぽんへの入国にゅうこくに必要ひつようなウイルス検査けんさと検査けんさ証明しょうめい書しょの発行はっこう費用ひようなどを合あわせて日本にっぽん円えんでおよそ5万まん円えんで、現地げんちへの渡航とこう費ひや宿泊しゅくはく費ひは含ふくまれません。

今月こんげつ7日にちには東京とうきょうなどから訪おとずれた日本人にっぽんじん5人にんがワクチンの接種せっしゅを受うけ、このうち30代だいの男性だんせいは「安心あんしんしました。これで誰だれかを感染かんせんさせる可能かのう性せいも低ひくくなり、ほっとしています」と話はなしていました。

旅行りょこう会社かいしゃの土橋どばし省吾しょうご代表だいひょう取締役とりしまりやくは「夏休なつやすみを利用りようして、家族かぞくでワクチンの接種せっしゅに来きたいという問い合といあわせが多おおくなっています」と話はなし、ツアーの需要じゅようは当面とうめん続つづくのではないかという見方みかたを示しめしています。

NY接種せっしゅ会場かいじょうは各国かっこくから希望きぼう者しゃ

ニューヨーク中心ちゅうしん部ぶの接種せっしゅ会場かいじょうには中南米ちゅうなんべいやアジアなど、世界せかい各地かくちから大勢たいせいの人ひとがワクチンの接種せっしゅを受うけに訪おとずれています。

来場らいじょう者しゃはパスポートを提示ていじすれば予約よやくなしで接種せっしゅを受うけられ、▼モデルナ、▼ジョンソン・エンド・ジョンソン、それに▼ファイザーとビオンテックが共同きょうどう開発かいはつしたワクチンの3種類しゅるいのうち、どのワクチンを接種せっしゅするかみずから選えらぶことができます。

ペルーから家族かぞくとともに訪おとずれた男性だんせいは、1回かいの接種せっしゅで済すむジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを接種せっしゅし「接種せっしゅできてうれしい。やっと自由じゆうに呼吸こきゅうできるようになった気分きぶんです」と話はなしていました。

また、パキスタン人じんの女性じょせいは、母国ぼこくでは接種せっしゅできないファイザーなどのワクチンを接種せっしゅし「2回かい目めの接種せっしゅを終おえるまで、ニューヨークに1か月かげつほど滞在たいざいする予定よていです」と話はなしていました。

会場かいじょうには日本人にっぽんじんの姿すがたも見みられ、東京とうきょうから来きた50代だいの夫婦ふうふは「仕事しごとでアメリカに来くる機会きかいがあったので、接種せっしゅを受うけることにしました。海外かいがいに行いくことが多おおいので、ワクチンの接種せっしゅが必要ひつようだと思おもっていました。本当ほんとうにありがたいです」と話はなしていました。

専門せんもん家か「自己じこ責任せきにん求もとめられる」

感染かんせん症しょうの専門せんもん家かで、政府せいふの分科ぶんか会かいのメンバーでもある川崎かわさき市し健康けんこう安全あんぜん研究所けんきゅうじょの岡部おかべ信彦のぶひこ所長しょちょうは、日本人にっぽんじんが海外かいがいでワクチンの接種せっしゅを受うける動うごきについて「接種せっしゅを焦あせる気持きもちや、いつになるのか先さきが見みえないという不安ふあんがあるのではないか」と話はなし、考慮こうりょすべき課題かだいもあると指摘してきします。

まず、世界せかい的てきな感染かんせんが収束しゅうそくしていない中なかでの渡航とこうについて「旅行りょこうそのものにリスクがある。決けっしてアメリカの感染かんせん状況じょうきょうが、日本にっぽんよりずっといいわけでない」と述のべ、感染かんせんリスクに注意ちゅういするべきだと警鐘けいしょうを鳴ならします。

また、副ふく反応はんのうによる健康けんこう被害ひがいが出でた場合ばあいの補償ほしょうについて、日本にっぽんでは「予防よぼう接種せっしゅ法ほう」により国くにが医療いりょう費ひなどを支給しきゅうする救済きゅうさい制度せいどがあるのに対にたいし、海外かいがいで接種せっしゅした場合ばあいはその対象たいしょうにならないとして「もし何なにか症状しょうじょうが出でたときにアメリカでどういう処置しょちが受うけられるのかや、飛行機ひこうきの中なかで体調たいちょうが悪わるくなったらどうするか調しらべておく必要ひつようがある。『自己じこ責任せきにん』がより強つよく求もとめられている」と、注意ちゅういを促うながしています。