6日午後1時前、茨城県日立市の市役所前の広場に黒い車が突っ込み、40代の女性が骨を折る大けがをし、20代と30代の男性2人が軽いけがをしました。
また、この30分ほどあとの午後1時半ごろには、16キロほど離れた東海村役場の正面玄関にも白い乗用車が突っ込み、車を運転していた日立市の益子泰容疑者(53)が建造物損壊の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、調べに対し容疑を認め、「2件とも自分がやった。東海村役場と日立市役所に恨みがあった」などと供述しているということです。
これまでの調べによりますと、日立市の事件には母親名義の車が使われ、容疑者の母親も一緒に乗っていたということですが、その後の捜査関係者への取材で、母親が「事件を止めようとしたが、止められなかった」という趣旨の説明をしていることが分かりました。
容疑者は、日立市の事件のあと母親を残して別の白い車に乗り換え、東海村役場に向かったとみられています。
警察は、詳しい動機や事件前後の足取りなどについて母親からも事情を聴くなどして詳しく調べています。
日立市役所 朝から職員が片づけ
日立市役所の現場では、車の破片やイベントの商品の野菜くずなどが残っていて、7日朝から職員が片づけを進めていました。
3日前に広場で出店していた福祉施設に勤務する60代の男性は「ニュースで見てとても驚きました。巻き込まれていたかもしれないので、とても怖いです。このようなことがないように市に対策してもらいたい」と話していました。
市によりますと、事件を受けて広場で8日まで予定していたイベントは中止することを決め、広場への車の進入防止措置についても検討することにしています。
また、7日に開かれた市議会で、日立市の小川春樹市長は「多くの参加者が恐怖にさらされ、許されるものでありません。広場の安全対策を検証し、このようなことが二度と発生しないよう対策し、市民の安全安心の確保に努めていきたい」と話していました。
東海村役場 警察が車を押収
東海村役場では、警察が役場の正面玄関に突っ込んだ車を建物から移動させて押収しました。
車は役場にそのまま残されていましたが、7日午前9時ごろに警察官やレッカー車が役場に集まり、車を移動する作業を始めました。
正面玄関の扉を外すなどの作業が1時間ほどかけて行われたあと、午前10時半ごろ、灰色のシートで覆われた状態の車がレッカー車で引き出されました。
その後、午前11時前に車はレッカー車に引かれて役場を出ました。
警察は車を押収し、どのような経路を走行したのかなど詳しく調べることにしています。
東海村役場 窓口業務再開も正面玄関は使えず
東海村役場は、6日は臨時閉庁していましたが、7日朝、窓口業務を再開しました。
一方、警察による車の押収作業などが行われ、正面玄関は警察の規制で立ち入ることができず、エレベーターも一部が使えない状態となっています。
村は、正面玄関にあった総合案内の窓口を、別の玄関の近くに臨時に設置して、すべての窓口業務を通常どおり行っているということです。
村は「正面玄関が使えようになる見込みは分からないが、なるべく早く復旧させたい。住民の安全・安心を守りながら、業務に支障が出ないように対応したい」としています。
役場を訪れた30代の女性は「きょうは住民票をとりに来て、通常どおり対応してもらいました。子どもが役場近くの保育所に通っているので、きのうはとても心配でした」と話していました。
70代の男性は「庁舎内は動揺した様子はなかったです。恨みがあったのだとしても、公共の施設を壊すのは考えられないです」と話していました。