警察によりますと、30代の男性医師が腹を刺されて大けがをしていて、病院内で治療を受けています。病院によりますと命に別状はないということです。
警察は、女の患者を殺人未遂の疑いでその場で逮捕しました。逮捕されたのは中国人で、神戸市垂水区の無職、周麗華容疑者(65)で、のどが痛いと訴え、治療を受けていた際、持っていた刃物で突然、医師を刺したということで、警察が詳しい状況を調べています。
調べに対し、刺したことを認めたうえで「殺すつもりはなかった」と殺意を否認しているということです。
病院によりますと、周容疑者は、別の病院からの紹介で12日入院し、13日に刺された医師の執刀で手術を受けていたということです。
県立がんセンターは、病床数が400あるがん治療の拠点病院で、JR明石駅から北西に約2キロの場所にあります。
現場に駆けつけた看護師は
事件直後に現場に駆けつけたという50代の女性の看護師は「患者は、いすに座って、医師の検査を受けていた。果物ナイフで医師の腹を刺したということで、私が駆けつけたときには、男性と女性の看護師3人に取り押さえられていた。患者思いの優しい医師が被害者となるこのような事件が起きて怖いし、驚いている」と話していました。
全国で相次ぐ「院内暴力」
患者が医師を切りつけるなど病院の職員に対する暴力は「院内暴力」と呼ばれ、全国で相次いでいます。
ことし1月には名古屋市の大学病院で、医師が診療室に押し入った患者の男に首をナイフで刺され、大けがをしました。この患者は病院に対し、「待ち時間が長い」という苦情を繰り返し伝えていたということです。
また、2月には、福岡市の整形外科医院で、医師が患者に胸を包丁で刺され大けがをしました。患者は警察の調べに対して、「後遺症の診断書を書いてくれなかったので腹が立ってやった」と供述していたということです。
7月には、名古屋市の病院で、泥酔した状態で搬送された患者に医師が顔を切りつけられけがをしています。
さらに、去年1月には岐阜市の歯科医院で、院長の男性が歯の治療に不満を訴えていた男に包丁で刺され、死亡する事件も起きています。
厚生労働省は「院内暴力」から医師などを守るため、平成18年に通知を出していて、医療機関に対し、防犯体制の強化や対応マニュアルの整備などを促してきました。