天皇陛下は、皇后さまや皇太子ご夫妻、そして、秋篠宮ご夫妻と長女の眞子さま、次女の佳子さまとともに、午前中3回、宮殿のベランダに立ち、訪れた人たちに笑顔で手を振ってこたえられました。
天皇陛下は、誕生日に寄せられた祝意に感謝のことばを述べたうえで、「ことしも残念なことに各地で災害が起こり、これにより家族や親しい人を失い、あるいは被害を受け、今も不自由な生活を送っている人々のことを思い、深く案じています」と話されました。
そして、「冬至がすぎ、あとわずかで新しい年を迎えます。明けてくる年が皆さんにとり明るいよい年となるよう願っています。皆さんの健康と幸せを祈ります」と述べられました。
来年4月の退位を前に天皇陛下が誕生日の参賀にこたえられるのは23日が最後で、宮内庁によりますと、午前11時半までに平成に入って最も多かった去年を大幅に上回る5万7000人余りが訪れたということです。
天皇陛下は午後からは安倍総理大臣や衆参両院の議長などからお祝いを受けたあと、祝宴に臨まれることになっています。また、皇居では、午後0時半から3時半まで一般の人たちを対象にした記帳による参賀も受け付けられます。
スムーズな参賀で工夫も
23日の一般参賀は、天皇陛下の退位を前に大勢の人出が見込まれたため、宮内庁は、訪れた人たちがスムーズに参賀できるよう新たな対応をとりました。
例えば、会場の端のほうからでは、宮殿のベランダに立たれる両陛下や皇族方の姿が見えにくかったため、ベランダの両脇に縦2メートル余り、横4メートル余りの大型モニターを新たに設置し、両陛下や皇族方の姿を映し出すことにしました。
このモニター、両陛下や皇族方がお出ましにならない時間帯には、参賀を終えて退出する際の案内が流されました。
また、耳の不自由な人のため去年から試験的に導入していた手話による通訳を今回から本格的に実施したほか、車いす用のスペースを拡充したり、ベビーカー用のスペースを新設したりして、できるだけ多くの人が、天皇陛下の姿を見ながら誕生日をお祝いできるような工夫が行われました。
参拝に訪れた人は
父親と初めて参賀に訪れた小学5年生の男の子は「来年4月の退位を前に最後の天皇誕生日なので天皇陛下に会いたくて来ました。優しくて皆のことを考え、元気づけてくれる方だと感じました」と話していました。
また、父親の55歳男性は「平成は苦しい時代でしたが、国民は、天皇陛下に見守っていただいて、元気づけられたのではないかと思います」と話していました。
群馬県から訪れた70歳女性は「天皇陛下が誕生日を前に臨んだ記者会見で、国民に感謝されるおことばを聞き、じんときました。ご夫婦仲よく長生きをしていただきたいですし、退位後も少しだけでもお姿を拝見したいです」と話していました。
大阪市から父親と初めて訪れた43歳女性は「これだけ多くの人が参賀に訪れたことが、天皇陛下のお人柄をあらわしていると思います。このまま平和に退位の日を迎えていただきたいです」と話していました。