和水町江田では4日午後、住宅の屋根の一部がゆがみ、瓦が崩れているのを近くを通りがかったボランティアの男性が見つけました。
この住宅では、今後の雨に備えるためボランティアの協力を得ながら、ブルーシートを屋根にかぶせる作業が行われました。
この住宅に住む高校教諭の松浦弘さん(58)は「3年前の熊本地震でも被害はあったが、ボランティアの方に教えてもらって初めて今回の被害に気付き驚いている。実際に屋根がゆがんでいるのを見ると、改めて地震のエネルギーの恐ろしさを感じた」と話していました。
特養ホームに多数のひび割れ
和水町にある特別養護老人ホーム「きくすい荘」では、地震の影響で建物に多くのひび割れが発生しました。
中には高さおよそ5メートルにわたってひびが入ったところもあり、町の職員が建物を見て回り、被害状況を確認していました。
地震が起きた後、ホールなどに集まったおよそ110人の施設の利用者からは、不安の声が上がっていたということです。
きくすい荘の樋口幸広施設長は「ひびの中には前回の熊本地震の時にできたものか今回のものかわからないものもあります。地震があって驚きましたが、利用者の命を守る施設として、幸い、けがなどがなくてよかったと思います」と話していました。
町役場でも壁にひび
和水町では町役場の庁舎にも壁にひびが入るなど20か所以上の被害が確認されました。
3日夜の地震から一夜あけた4日午後、高巣泰廣町長が庁舎の被害状況を視察しました。
3日夜の地震の影響による町役場の庁舎の被害は壁にひびが入ったり、掛け時計が落ちて壊れたりするなど26か所に上ったということです。
このほか、3年前の熊本地震の際にできた壁のひびがさらに広がった被害も数か所で確認されました。
町によりますと、平成6年に完成した町役場の庁舎は耐震基準を満たしているということですが、相次いで大きな地震に見舞われたことで、町は設計業者に専門的な調査を依頼し今後の対応を検討することにしています。
視察のあと、高巣町長は「地震のすさまじさを改めて目の当たりにした。庁舎の被害はひとまずひび割れ程度で済んだと思っているが、多くの町民が利用する施設なので安全性をしっかり確認していきたい」と話していました。
古墳の石棺に亀裂も
和水町には国宝に指定されている鉄剣などが出土した江田船山古墳がありますが、今回の地震で内部の石棺に亀裂が入るなどの被害が出ていたことがわかりました。
江田船山古墳は、全長およそ62メートルの前方後円墳で、出土した鉄剣や金属製の履物などの副葬品90点余りが国宝に指定されています。
3日の地震を受けて和水町は、江田船山古墳に職員を派遣し、内部を点検しました。
その結果、家の形をした石棺のふたに長さ94センチの亀裂が見つかるなど、5か所で亀裂やひび割れが確認されたほか、4か所で石棺の表面がはがれているのが見つかったということです。
和水町社会教育課の益永浩仁課長補佐は「非常に重要な文化財なので残念な気持ちです。修復については県や国と協議を進めながらいち早くできればと思います」と話していました。