教員の長時間労働を改善するため、文部科学省の中教審=中央教育審議会は25日、答申をまとめました。
この中では、従来、明確な基準がなかった残業時間に月45時間を上限とするガイドラインを設けて、学校現場に順守するよう求めています。
さらに、1年間を通じて勤務時間を調整できる「変形労働時間制」と呼ばれる新たな制度も導入するとしています。
そのうえで、現在の業務を大幅に見直すため打ち出されたのが外部人材の活用です。
部活動では「部活動指導員」と呼ばれる人材を活用するほか、授業や事務作業を支援する「スクールサポートスタッフ」をさらに拡充します。
これら外部人材の活用を促進するため、国は費用の3分の1を負担するとしています。例えば、部活動の指導員は来年度予算に10億円を計上し、1校に3人の配置を目指しています。
一方で、地方の中でも財政基盤などが弱いところは人材の確保は難しいという指摘もあります。
地方の教育行政に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は「ただでさえ人材難と言われる時代に予算が限られている自治体ではふさわしい人材が本当に見つかるのか、自治体によって大きく異なる可能性がある。地域格差がひどくならないよう国は注視していくべきだ」と指摘しています。
文科相「全力で取り組む」
答申を受け取った柴山文部科学大臣は「文部科学省は、学校と社会のつなぎ役として対応することが求められており、答申をしっかりと受け止めて、必要な制度改正を含め全力で取り組んでいきたい」と述べました。
そして、25日、みずからが本部長を務める教員の働き方改革の推進本部を省内に設置し、来週29日に初会合を開くことを明らかにしました。
専門家「地域格差出ないよう政策効果 検証を」
地方の教育行政や実態に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は「多忙な教員のため、国が外部人材の活用に費用の3分の1を負担する方向性を出したこと自体は評価できる。しかし、それでも人材の確保が厳しい地域があるのが現実だと思う」と指摘します。
その理由について、「大都市では大学が多く、大学生など若い人たちが多いが地方にはそれがない。ただでさえ人材難といわれる時代に予算が限られている自治体では子どもに関わるのにふさわしい資質や能力を持った人材が本当に見つかるのか、自治体によって大きく異なる可能性がある」と話しています。
そのうえで、「国は地域によって受けられる教育や部活動に差が出ないようにするため、今後政策効果を検証すべきだ。そのうえで、教育予算の拡充を議論する必要がある」と指摘しています。