低てい予算よさんで大発見だいはっけん！太陽たいよう系けいの “最果さいはて” に小しょう天体てんたい 日本にっぽんの研究けんきゅう者しゃ

こうした小しょう天体てんたいについて国立こくりつ天文台てんもんだいや京都大きょうとだい学がくなどのグループが独自どくじに改良かいりょうした小型こがたの望遠鏡ぼうえんきょうを使つかって観測かんそくを行おこなった結果けっか、直径ちょっけいおよそ2.6キロの小しょう天体てんたい１ひとつを見みつけることに成功せいこうしました。

国立こくりつ天文台てんもんだいによりますと、海王星かいおうせいより外そとにあるこの大おおきさの小しょう天体てんたいを実際じっさいに確認かくにんしたのは世界せかいで初はじめてだということです。

小しょう天体てんたいは惑星わくせいの材料ざいりょうになったと考かんがえられ、衝突しょうとつと合体がったいを繰り返くりかえして地球ちきゅうなどの惑星わくせいができたとされています。

しかし海王星かいおうせいの外側そとがわでは衝突しょうとつの確率かくりつが低ひくく、惑星わくせいにまで大おおきくならないまま残のこったとみられています。

研究けんきゅうグループは観測かんそくを基もとに小しょう天体てんたいの数かずについても試算しさんし、直径ちょっけいがおよそ20キロを下回したまわるものは、これまでの推定すいていを大幅おおはばに上回うわまわる20億おく以上いじょうあるとしています。

こうした結果けっかは太陽たいよう系けいの成り立なりたちの解明かいめいにつながる成果せいかとして注目ちゅうもくされ、イギリスの科学かがく雑誌ざっし「Nature Astronomy」のオンライン版ばんに掲載けいさいされます。

研究けんきゅうグループのリーダーを務つとめる京都大きょうとだい学がくの有松ありまつ亘わたる研究けんきゅう員いんは「遠とおくにある光ひかりを放はなつ恒星こうせいの前まえを小しょう天体てんたいが横切よこぎる際さいの光ひかりの強弱きょうじゃくを捉とらえることで観測かんそくに成功せいこうした。小ちいさなプロジェクトだが、巨大きょだいプロジェクトでも得えられない偉業いぎょうを達成たっせいできた。さらに観測かんそく方法ほうほうを発展はってんさせて、より遠方えんぽうの天体てんたいの発見はっけんにつなげたい」と話はなしていました。

わずか350万まん円えん… 低てい予算よさんのプロジェクト

観測かんそく装置そうちの開発かいはつ費ひがおよそ350万まん円えんという低てい予算よさんだったことも注目ちゅうもくされています。

科学かがくの分野ぶんやでは国くになどが多額たがくの予算よさんや人材じんざいを投とうじて大型おおがたの施設しせつをつくり研究けんきゅうを進すすめる、いわゆる「ビッグサイエンス」が主流しゅりゅうとなっています。

天文てんもん学がくでも建設けんせつ費ひがおよそ1000億おく円えんの世界せかい最大さいだいの電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう「アルマ」や、およそ400億おく円えんの「すばる望遠鏡ぼうえんきょう」などが代表だいひょう例れいです。

しかし今回こんかい、研究けんきゅうグループが使つかったのは市販しはんされている口径こうけい28センチの小型こがたの望遠鏡ぼうえんきょう２に台だい。

撮影さつえいに使つかったビデオカメラも既製きせい品ひんで、メンバーが取り付とりつけから改良かいりょうまで行おこないました。

その結果けっか、同おなじように太陽系たいようけい外縁がいえん部ぶの小しょう天体てんたいの発見はっけんを目指めざす台湾たいわんやアメリカなどが参加さんかしている国際こくさいプロジェクトと比くらべて開発かいはつ費ひはおよそ300分ぶんの１いちという低てい予算よさんを実現じつげんしました。

観測かんそく方法ほうほうの工夫くふうも成果せいかにつながりました。

地球ちきゅうからおよそ43億おくキロ離はなれた海王星かいおうせいのさらにその先さきに広ひろがる太陽系たいようけい外縁がいえん部ぶ。

比較的ひかくてき大おおきな、直径ちょっけいが20キロを超こえる天体てんたいは観測かんそくされてきましたが、それを下回したまわる天体てんたいは極きわめて小ちいさくて暗くらいため、すばる望遠鏡ぼうえんきょうなどの高性能こうせいのうな望遠鏡ぼうえんきょうでも観測かんそくが困難こんなんでした。

そこで研究けんきゅうグループは、地球ちきゅうから見みて太陽たいよう系けいから遠とおく離はなれた所ところにある光ひかりを放はなつ恒星こうせいの前まえを小しょう天体てんたいが横切よこぎるときに光ひかりが遮さえぎられる現象げんしょうに着目ちゃくもくしました。

およそ2000の恒星こうせいを60時間じかんかけて動画どうがで撮影さつえいし、光ひかりの強弱きょうじゃくを観測かんそく。今回こんかいの小しょう天体てんたいを見つけ出みつけだしました。

プロジェクトに関かかわったのは国立こくりつ天文台てんもんだい、京都きょうと大学だいがく、東北とうほく大学だいがく、神戸こうべ大学だいがく、京都きょうと産業さんぎょう大学だいがくの日本人にっぽんじん研究けんきゅう者しゃ合あわせて10人にん。

低てい予算よさんながらもアイデア次第しだいで大おおきな科学かがく的てき成果せいかが得えられることを示しめした実例じつれいとして注目ちゅうもくを集あつめています。

小しょう天体てんたい 太陽系たいようけい解明かいめいの手てがかり

およそ46億おく年ねん前まえに誕生たんじょうした太陽たいよう系けい。

最初さいしょはちりやガスが円盤えんばん状じょうに集あつまっていました。

その後そのご、ちりやガスは直径ちょっけい２にキロから20キロ程度ていどの小ちいさな天体てんたいとなりました。

さらにこうした小ちいさな天体てんたいが衝突しょうとつや合体がったいを繰り返くりかえして原始げんしの惑星わくせいが形成けいせいされ、８はち個この惑星わくせいからなる今いまの太陽たいよう系けいになったと考かんがえられています。

一方いっぽう、海王星かいおうせいより外側そとがわの太陽たいよう系けいの果はて、外縁がいえん部ぶとよばれる場所ばしょでは、小ちいさな天体てんたいの移動いどう速度そくどが相対そうたい的てきに遅おそく衝突しょうとつや合体がったいの確率かくりつが低ひくかったと考かんがえられています。

そのため惑星わくせいになることができず、当時とうじのままの小ちいさな天体てんたいが大量たいりょうに残のこっているとみられています。

研究けんきゅうグループでは今回こんかい、直径ちょっけいおよそ20キロ以下いかの小しょう天体てんたいの数かずの試算しさんも行おこないました。

それによりますと、これまで推定すいていされていたおよそ2000万まんを大幅おおはばの超こえる20億おく以上いじょうの小しょう天体てんたいがあるとの結論けつろんに至いたったということです。

さらにグループは、これまでに発見はっけんされている直径ちょっけい20キロを超こえるおよそ2000の天体てんたいのデータなども踏ふまえて、大おおきさの分布ぶんぷのシミュレーションしたところ、直径ちょっけい３さんキロ前後ぜんごのものが多おおく存在そんざいするとの結果けっかがでたということです。

このことから研究けんきゅうグループは、直径ちょっけい３さんキロほどの小しょう天体てんたいが惑星わくせいの誕生たんじょうに大おおきく関かかわった可能かのう性せいがあるとしています。

このように太陽系たいようけい外縁がいえん部ぶの小しょう天体てんたいの実態じったいを明あきらかにすることは太陽たいよう系けいの誕生たんじょうや成り立なりたちの過程かていを解明かいめいする貴重きちょうな手てがかりとなるのです。