今回こんかい、千奈ちなちゃんの39歳さいの父親ちちおやが自宅じたくでNHKのインタビューに応おうじました。

事件じけん当日とうじつの朝あさもいつものように園えんに向むかうバスに乗り込のりこみました。

午後ごご2時半じはん前まえ、妻つまからの連絡れんらくを受うけて、職場しょくばから病院びょういんに駆かけつけると、千奈ちなちゃんはベッドの上うえで横よこたわり、医師いしから心臓しんぞうマッサージを受うけていました。

父親ちちおやは「私わたしたちはすぐに駆け寄かけよって『千奈ちなちゃん』と声こえをかけたのですが、目めは焦点しょうてんが合あっておらず、生気せいきが感かんじられませんでした。前髪まえがみは汗あせでぬれていて、妻つまが当日とうじつの朝あさに結むすんでくれた三みっつ編あみは汗あせで湿しめっているような状態じょうたいでした。医師いしからは『これ以上いじょうマッサージを続つづけても、ろっ骨ろっこつが折おれたり、内臓ないぞうに負荷ふかがかかったりと悪わるい方向ほうこうにしかいかないので、やめてもいいですか』と聞きかれ、私わたしも妻つまも答こたえられなかったです」と語かたりました。

そして、「今いまでもその光景こうけいを鮮明せんめいに覚おぼえていますが、思い出おもいだすと、どれだけ苦くるしい時間じかんをバスの中なかで過すごしたかと想像そうぞうしてしまって、胸むねが苦くるしいというか、つらいです」と述のべました。

園えんでは、バスを運転うんてんしていた当時とうじの園長えんちょうが車内しゃないの確認かくにんを怠おこたったうえ、教室きょうしつで千奈ちなちゃんの姿すがたが見みえないのに、当時とうじの担任たんにんが欠席けっせきだと考かんがえ、両親りょうしんに問い合といあわせをしなかったことなど、複数ふくすうのミスが重かさなったと説明せつめいしています。

父親ちちおやは「人ひとなのでミスをしてしまうことはありますし、それが重大じゅうだいな事故じこにつながらないよう、チェック体制たいせいを設もうける必要ひつようがありますが、川崎かわさき幼稚園ようちえんでは、当時とうじの園長えんちょうの指導しどう不足ふそくや意識いしきがそのまま職員しょくいんたちに広ひろがり、ずさんな組織そしきを作り上つくりあげてしまったのではないでしょうか。怒いかりしかありません」と話はなしました。

事件じけんをきっかけに、国くには対策たいさくに乗り出のりだし、全国ぜんこくの幼稚園ようちえんや保育ほいく所しょなどのバスおよそ4万まん4000台だいに、4月つきから安全あんぜん装置そうちの設置せっちが義務ぎむづけられました。

設置せっちには1年間ねんかんの猶予ゆうよ期間きかんが設もうけられていますが、国くには夏場なつばの熱中ねっちゅう症しょうを考慮こうりょして6月つき末まつまでに設置せっちするよう呼よびかけています。

安全あんぜんなはずの場所ばしょで起おきた事件じけんから8か月かげつ余あまり。

父親ちちおやは、最愛さいあいの娘むすめを失うしなった苦くるしみと喪失そうしつ感かんを抱いだき続つづけています。

父親ちちおやは「行政ぎょうせいを動うごかすために、千奈ちなが生うまれてきて、育そだてたわけではないので、そこは本当ほんとうに悔くやしいです。こんなにつらい思おもいは誰だれもするべきではないと思おもいます」と訴うったえました。

装置そうちは、エンジンを切きるとブザーが鳴なり、車内しゃないの後部こうぶにあるボタンを押おして止とめる仕組しくみで、運転うんてん手しゅは園児えんじが降おりたあと、車内しゃないに残のこっていないことを確認かくにんしながら後方こうほうに移動いどうし、ブザーを止とめていました。

このほか、人ひとの動うごきや振動しんどうを検知けんちするセンサーも車内しゃないに設置せっちしていて、万が一まんがいち、子こどもが取り残とりのこされた場合ばあい、周囲しゅういにアラームで知しらせる仕組しくみになっています。

運転うんてん手しゅの男性だんせいは「ブザーが鳴なることで、緊張きんちょう感かんを持もちながら後方こうほうまで確認かくにんするので、確実かくじつですし自分じぶんも安心あんしんできます」と話はなしていました。

「静岡しずおかサレジオ幼稚園ようちえん」の河原崎かわらざき靖子やすこ園長えんちょうは「安全あんぜん装置そうちを設置せっちする前まえと比くらべ、職員しょくいんの意識いしきが大おおきく変かわったと感かんじます。今回こんかいの事件じけんは絶対ぜったいにあってはならないことで、教員きょういんどうしで声こえをかけ合かけあって子こどもたちの安全あんぜんを守まもっていきたい」と話はなしていました。