大阪おおさか府ふに住すむ40代だいの男性だんせいは、目めの前まえで起おきていることが信しんじられませんでした。

去年きょねん9月つき、マンションの6階かいの部屋へやから外そとをふと見みました。すると、6歳さいの息子むすこがベランダの手てすりの上うえに足あしを乗のせてしゃがみ込こんでいる姿すがたが目めに飛び込とびこんできました。

「何なにが起おきているのかわからない感かんじでした。心臓しんぞうが止とまりそうになって、とにかく落おちないでくれ、という思おもいで必死ひっしでした」

男性だんせいが思おもわず叫さけぶと、子こどもは声こえに驚おどろいてビクッと体からだを動うごかし、バランスを崩くずしかけました。これはまずいとすぐに近寄ちかより、抱いだき抱かかえました。

無事ぶじに室内しつないに連れ戻つれもどすことができましたが、その日ひは心臓しんぞうがバクバクと鼓動こどうを打うち、夜よるも眠ねむれなかったといいます。

去年きょねん、子こどもの事故じこ防止ぼうしに取り組とりくむNPO「Safe Kids Japan」が産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょと共同きょうどうで実験じっけんしたところ、3～6歳児さいじ116人にん中ちゅう89人にん、実じつに76％の子こどもが、120センチの高たかさを自力じりきでのぼりました。

たとえば子供こども服ふく。日本にっぽんでは2015年ねんに子供こども服ふくに安全あんぜん基準きじゅん・JIS規格きかくが作つくられました。

リスクがある服ふくとは知しらないうちに簡単かんたんに手てに入はいってしまう現状げんじょうになっているのです。

2年ねん前まえに東京とうきょう都内とないで園児えんじがのどに詰つまらせて亡なくなる事故じこが起おきた、ぶどう。

子こどもの事故じこの研究けんきゅうを進すすめている岡おか真裕美まゆみさん。

例たとえば、大おおきなぶどうは4つに切きって食たべさせるようにと情報じょうほう発信はっしんしています。

このため複数ふくすうのSNSで、さまざまな場面ばめんに潜ひそむ身近みぢかな危険きけんを紹介しょうかいする情報じょうほう発信はっしんを始はじめました。

「この1冊さつを、パラパラと気軽きがるに手てに取とって見みるだけで、いろいろな情報じょうほうが手てに入はいる。すると、日常にちじょうのさまざま場面ばめんで、ちょっと気きをつけよう、と意識いしきしてもらえる。それが、日々ひびの事故じこ防止ぼうしにつながると思おもっています」

「食たべさせていました」

「5歳さいまでだめとは知しらなかったです」

親おやたちからは知しらなかったという反応はんのうが次々つぎつぎに寄よせられました。

「時代じだいとともに新あらたな危険きけんは出でてくるし、社会しゃかいの変化へんかに合あわせて、子こどもを取り巻とりまく危険きけんもどんどん変化へんかしていく。本ほんを1回かい作つくったとしてもそれでゴールではないと思おもいます。子こどもの危険きけんにまつわるさまざまな情報じょうほうを、常つねに更新こうしんして、見みやすくわかりやすく発信はっしんするプラットフォームを作つくっていきたい」

当時とうじ34歳さいだった夫おっとは散歩さんぽ中ちゅう、小中こなか学生がくせい3人にんが川かわでおぼれていたところを発見はっけんし、救出きゅうしゅつしようとして命いのちを落おとしました。

なぜ子こどもたちがおぼれてしまったのか。夫おっとは命いのちを失うしなったのか。

その理由りゆうを調しらべると、浅あさく見みえる川かわでも実じつは深ふかみがあって、その危険きけん性せいが周知しゅうちされていなかったことが分わかりました。

知しっていれば救すくわれる命いのちがある。岡おかさんが子こどもの事故じこについて研究けんきゅうを続つづける原点げんてんです。

子こどもの危険きけんに関にかんする記事きじや最新さいしん情報じょうほうを更新こうしんし、危険きけん性せいを分わかりやすく伝つたえる動画どうがの配信はいしんも行おこないます。