新型コロナ「東京都の時短命令は違法」賠償は認めず東京地裁 - Easy News

新型しんがたコロナの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの期間きかん中ちゅう、営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅく要請ようせいに応おうじていないとして東京とうきょう都とから特別とくべつ措置そち法ほうに基もとづく時短じたん命令めいれいを受うけた飲食いんしょく店てんの運営うんえい会社かいしゃが命令めいれいは不当ふとうだとして都とに賠償ばいしょうを求もとめていた裁判さいばんで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょは「命令めいれいを出だす必要ひつようがあったとは認みとめられず違法いほうだ」とする判決はんけつを言い渡いいわたしました。一方いっぽうで都とに過失かしつがあったとまではいえないとして賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえは退しりぞけました。

飲食いんしょく店てんの運営うんえい会社かいしゃ「グローバルダイニング」は緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされていた去年きょねん3月つき、東京とうきょう都とから「午後ごご8時じ以降いこうも営業えいぎょうを続つづけ感染かんせんリスクを高たかめている」として、特別とくべつ措置そち法ほうに基もとづき営業えいぎょう時間じかんを短縮たんしゅくするよう命令めいれいを受うけたのは不当ふとうだと主張しゅちょうして都とに賠償ばいしょうを求もとめていました。

16日にちの判決はんけつで東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょの松田まつだ典のり浩ひろし裁判さいばん長ちょうは「原告げんこくの飲食いんしょく店てんは感染かんせん対策たいさくを実施じっししていて、夜間やかん営業えいぎょうを続つづけていることで直ただちに感染かんせんリスクを高たかめていたとは認みとめられない。都とからはこうした状況じょうきょうで命令めいれいを出だしたことの必要ひつよう性せいや判断はんだん基準きじゅんについて合理ごうり的てきな説明せつめいもなかった。原告げんこくに不ふ利益りえきとなる命令めいれいを出だす必要ひつようが特とくにあったとはいえず違法いほうだ」と指摘してきしました。

賠償ばいしょう求もとめる訴うったえは退しりぞけ憲法けんぽう違反いはんの主張しゅちょうも認みとめず

一方いっぽうで「都とが意見いけんを聞きいた学識がくしき経験けいけん者しゃはこぞって命令めいれいの必要ひつよう性せいを認みとめていたうえ、最初さいしょの事例じれいで参考さんこうにする先例せんれいもなかった。都知事とちじが裁量さいりょうの範囲はんいを著いちじるしく逸脱いつだつしたとまでは言いい難がたい」として、都とに過失かしつはなかったと判断はんだんし賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえは退しりぞけました。

また会社かいしゃは特措法とくそほうや命令めいれいが営業えいぎょうの自由じゆうや法ほうの下したの平等びょうどうなどを保障ほしょうした憲法けんぽうに違反いはんしているとも主張しゅちょうしていましたが、判決はんけつは「命令めいれいで営業えいぎょうを規制きせいすることは特措法とくそほうの目的もくてきに照てらして不合理ふごうりな手段しゅだんとはいえない」として憲法けんぽうには違反いはんしないと判断はんだんしました。

コロナ対策たいさくの特措法とくそほうに基もとづく命令めいれいをめぐる裁判さいばんで判決はんけつが言い渡いいわたされたのは今回こんかいが初はじめてです。

運営うんえい会社かいしゃ社長しゃちょう「なぜすべて認みとめてくれなかったのか」と控訴こうそ

判決はんけつについて「グローバルダイニング」の長谷川はせがわ耕造こうぞう社長しゃちょうは「主張しゅちょうの75％は認みとめられたがなぜすべて認みとめてくれなかったのか」として、控訴こうそしたことを明あきらかにしました。

そのうえで「私わたしたちのケースでは正当せいとうな理由りゆうがなく命令めいれいが出だされたということが認みとめられたので、今後こんご、ほかの店みせについても行政ぎょうせいは緻密ちみつに判断はんだんしてくれるようになると思おもう」と話はなしました。

また、弁護べんご団だんの倉持くらもち麟太郎りんたろう弁護士べんごしは「判決はんけつは、同調どうちょう圧力あつりょくの中なかで『我慢がまんすべきだ』という風潮ふうちょうや、『なんとなく』従したがうという社会しゃかいの空気くうきがある中なか、感染かんせん防止ぼうしの効果こうかを考かんがえて判断はんだんすべきという最後さいごの一線いっせんを守まもった。社会しゃかいの風潮ふうちょうにも影響えいきょうを与あたえると思おもう」と話はなしていました。

都との担当たんとう者しゃ「判決はんけつ文ぶんを精査せいさしたうえで今後こんごの対応たいおう検討けんとう」

東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょが特別とくべつ措置そち法ほうに基もとづいて東京とうきょう都とが出だした時短じたん命令めいれいは必要ひつようがあったとは認みとめられず、違法いほうだと指摘してきしたことについて、都との担当たんとう者しゃは「判決はんけつ文ぶんを精査せいさしたうえで今後こんごの対応たいおうを検討けんとうする」と話はなしています。

官房かんぼう長官ちょうかん「コメントは差し控さしひかえたい」

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「地方ちほう自治体じちたいに関かかわる訴訟そしょうで詳細しょうさいは承知しょうちしておらず、政府せいふとしてコメントは差し控さしひかえたい」と述のべました。そのうえで「新型しんがたコロナ対策たいさくはこれまでも専門せんもん家かからの分析ぶんせきや評価ひょうかをもらいながら対策たいさくを進すすめている。引き続ひきつづき感染かんせん状況じょうきょうなどを踏ふまえ、専門せんもん家かの意見いけんも聞ききつつ適切てきせつに対応たいおうしていきたい」と述のべました。