持ち回りの
臨時閣議で
決まった
全体構想と
実行計画では、
官民連携のもと
気候変動や
少子高齢化など社会的課題の
解決を
図りながら
経済成長を
目指すとして「
人」、「
科学技術・イノベーション」「
スタートアップ」「グリーン、デジタル」の4つの
分野に
重点的な
投資を
行うとしています。
▼「人」への投資ではさらなる賃上げへの取り組みとともに、およそ100万人を対象に、非正規も含めた能力開発や再就職の支援を行うなどとしています。
そして、個人の金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるため、個人投資家向けの優遇税制「NISA」や、「個人型」の確定拠出年金=「iDeCo」の改革を含めた「資産所得倍増プラン」を年末までに策定すると明記しています。
▼「科学技術・イノベーション」への投資では、AI=人工知能などで国家戦略を策定し、科学技術投資の抜本拡充を図るとしています。
▼「スタートアップ」の支援を進めるため、5年で投資額を10倍に増やすことを視野に5か年計画を年末に策定するとしています。
▼「グリーン、デジタル」では、脱炭素社会に向けて今後10年間で官民が協調して150兆円の関連投資を実現するとして、政府の支援策などを盛り込んだロードマップを示すなどとしています。
全体構想と実行計画の主な内容
冒頭、
経済政策をめぐって、
これまで、
市場や
競争に
任せればうまく
いくという「
新自由主義」が
台頭し
成長の
原動力の
役割を
果たしてきたものの、
経済的格差の
拡大、
気候変動問題の
深刻化など多くの
弊害も
生んだと
指摘しています。
そのうえで「新しい資本主義」は、官民連携のもとで気候変動や少子高齢化など社会的課題の解決を図りながら経済成長を目指す経済政策だと位置づけています。
そして、重点的な投資を行う分野として「人」、「科学技術・イノベーション」、「スタートアップ」、「グリーン、デジタル」の4分野を挙げています。
1.「人」への投資
◇さらなる
賃上げへの
取り組みとともに、◇
転職や
キャリアアップについて
社外で
相談できる体制の
整備や◇
およそ100
万人を
対象に、
非正規も
含めた
能力開発や
再就職の
支援を
行うなどとしています。
そして◇個人の金融資産を貯蓄から投資に促すため個人投資家向けの優遇税制「NISA」や「個人型」の確定拠出年金=「iDeCo」の改革を含めた「資産所得倍増プラン」を年末までに策定するとしています。
「iDeCo」について政府は、これまで65歳未満としている年齢制限の引き上げを検討しています。
また、◇在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に応じて納付を可能にする新たな「出世払い型奨学金」の本格的な導入に向けて検討し、まずは大学院で導入するとしています。
さらに◇兼業・副業の推進に向けて現在の指針を改定し、企業に対して、どのような場合に認められるかなどの情報開示を促すほか◇男女間の賃金格差について女性活躍推進法に基づいて開示を義務化し◇ことし中に有価証券報告書で人材の育成方針などの情報を明らかにするよう取り組みを強化するなどとしています。
2.「科学技術・イノベーション」への投資
◇
量子技術やAI=
人工知能などで
国家戦略を
策定し、
科学技術投資の
抜本拡充を
図るとしている
ほか◇
総理大臣官邸に
総理への
情報提供や
助言を
行う「
科学技術顧問」を
置くとしています。
また◇再生医療や遺伝子治療で、新たな医療技術の臨床研究などを推進し、有効な技術を実用化につなげるとともに◇治療薬やワクチンの開発を進め、創薬を成長産業とすることを目指すとしています。
3.「スタートアップ」への投資
◇スタートアップへの
投資額を5
年で10
倍に
増やすことを
視野に、5
か年計画を
年末に
策定し、◇スタートアップ
企業などが
事業全体の
価値を
担保に
資金調達できる制度の
創設に
向け、
関連法案の
早期の
国会提出を
目指すとしています。
また、◇会社を創業する際、失敗したときのリスクを避けるため、経営者の個人保証を必要としないよう取り組みを進めるとしています。
4.「グリーン・デジタル」への投資
◇
脱炭素社会に
向けて
今後10
年間で
官民が
協調して150
兆円の
関連投資を
実現するとして、
政府の
支援策などを
盛り込んだロードマップを
示すなどとしています。
また、◇政府内に、総理大臣をトップとして医療のデジタル化を進める推進本部を設置するとしています。
社会的課題解決へ経済社会システムの構築
会社が
短期的収益を
重視する
視点から、
社会的価値を
重視する
視点への
転換を
図るとしています。
そして、社会がより複雑化している中で孤独・孤立対策や環境保護、それに医療や介護、教育などこれまで官が担ってきたサービスに対し、民間の主体的な関与が期待されていて、日本では、社会的課題の解決と経済的成長の「二兎」を追いたい起業家が増えていると指摘したうえで、新たな官民連携の形を整備する法制度の必要性の有無を検討するとしています。
経済安全保障の強化
絶えず変化する
国際情勢を
背景に
エネルギーや
食料を
含めた
経済安全保障の
強化は
新しい資本主義の
前提だと
位置づけ、
重要な
情報を
扱う者に
資格を
付与するための
必要な
措置を
検討するとしています。
また、次世代に必要な技術開発の担い手となる民間企業に対し、資本強化を含めた支援が必要だとして、その在り方も検討するとしています。
デジタル田園都市国家構想の推進
東京などへの
一極集中からの
転換を
図るため◇
高速で
安定的な
通信が
できる光ファイバー網を2027
年度末までに
世帯カバー率99.9%◇
高速・
大容量の
通信規格5Gを2030
年度末に
人口カバー
率99%とする
目標を
掲げ、デジタル
基盤の
整備を
都市と
地方で
一体的に
行っていくとしています。
岸田首相「参議院選挙後に総合的な方策を具体化」
岸田総理大臣は、
経済財政諮問会議と「
新しい資本主義実現会議」の
合同会議で「
新しい
資本主義の
実行計画などに関しては、
市場では
解決できない
大きな社会的課題を
エネルギー源と
捉え、
新たな
成長を
図る。
またことしの
骨太の
方針では、
成長と
分配の
好循環を
実現する
岸田内閣の
経済財政政策の
全体像を
示している」と
述べました。
その上で「
次は
実行だ。
参議院選挙後に、きょう
決定した
方針を
前に
進めるための
総合的な
方策を
具体化し、エネルギー
分野を
含め、
経済社会の
構造変化を
日本がリードして
いく」と
述べました。
松野官房長官「重要な政策の選択肢狭めることがないように」
松野官房長官は
午後の
記者会見で「プライマリーバランス=
基礎的財政収支の
黒字化目標については、
引き続き、
内外の
経済情勢などを
常に注視しつつ、
状況に
応じて
必要な
検証を
行って
いくという
政府の
方針に
変わりはない。
今回も
これまでの
財政健全化目標に
取り組むとしており
姿勢に
変更はない」と
述べました。
一方で「骨太の方針や新しい資本主義の実行計画に盛り込んだ重要な政策は当然のことながらしっかり進めていく。重要な政策の選択肢を狭めることがないよう、年末の予算編成などに対応したい」と述べました。
また、防衛費について「新たな国家安全保障戦略などの策定や今後の予算編成過程において、抜本的な防衛力強化の内容やそれに相当する防衛費の規模、裏付けとなる財源のあり方を一体的に検討していく」と述べました。
山際経済再生相「中長期的に財政健全化が実現できるように」
山際経済再生担当大臣は
記者会見で「
岸田内閣の
方針は
一貫していて、
財政健全化の
旗は
下ろさないが、
必要な
時にはちゅうちょなく
財政出動して
いく。『
新しい資本主義』を
実現して
いく中で、
防衛費に
限らず、
優先順位を
付けて
必要なものには
しっかり予算を
付けていかなければならない。
そして、
全体としては
中長期的に
財政健全化が
実現できるような
方向性で
進めたい」と
述べました。
自民 茂木幹事長「日本経済をもう一段高いレベルに」
自民党の
茂木幹事長は、
記者会見で「ウクライナ
情勢が
緊迫化し、
安全保障環境が
厳しさを
増す中、
外交・
安全保障体制の
強化は
喫緊の
課題であり、『
骨太の
方針』に
しっかりと
盛り込まれた。
また、
未来をつくる
中核に
なるのが『
新しい資本主義』であり、
今回まとまった
全体構想と
実行計画を
中心として、
日本経済を
もう一段高いレベルに
持っていくことが
極めて重要になる」と
述べました。
公明 山口代表「『人への投資』の実現が重要」
公明党の
山口代表は
記者会見で「
党の
要望が
ほぼ盛り込まれ、
特に賃金アップを
幅広く
実現して
いく点は、
我々の
主張とひょうそくが
一致している。
岸田総理大臣は
分配に
重点を
置く主張を
掲げてきたので、『
人への
投資』の
実現が
重要だ」と
述べました。
経団連 十倉会長「経団連が掲げる持続可能な資本主義と合致」
経団連の
十倉会長は、「
経済格差の
拡大や
気候変動問題の
深刻化などの
社会課題に
対応するという
方針のもと、
重点投資分野や
経済財政運営の
あり方を
示し、ウクライナ
情勢をはじめとする
地政学リスクを
踏まえた、
今後の
安全保障をめぐる
考え方も
盛り込んでいる。こうした
考え方は、
経団連が
掲げる持続可能な
資本主義の
実現と
合致するものであり、
高く
評価したい」
などとする
コメントを
発表しました。
日商 三村会頭「経済の長期停滞から脱却する契機に」
日本商工会議所の
三村会頭は、「
資本主義のバージョンアップを
掲げ、
日本経済の
長期停滞の
克服を
目指す意欲的な
政策パッケージが
取りまとめられたことを
高く
評価する。
新たな
官民連携にも
大いに期待したい。
政府がリスクをシェアしつつ、
市場の
効率性を
最大限に
活用し、
民間の
投資を
強力に
後押ししてイノベーションを
促し、
経済の
長期停滞から
脱却する
契機と
なることを
強く
望む」
などとする
コメントを
発表しました。
経済同友会 櫻田代表幹事 「実行していくことが大事」
経済同友会の
櫻田代表幹事は
記者団に対し「
全体として
成長にかじを
切るということが
明確になったという
点においては
よく出来ていると
思う」と
述べました。
そのうえで、「今回の成長戦略の中にはこれまで検討してきたものや検討していく必要があると言われていたものが相当含まれていることは事実だが、実行していくことが大事だ。今度こそ実現にこだわり、実現に向けてうまくいっているのかいないのか、かなりの頻度で分かるような仕組みにして欲しい」と述べ、計画の実現に向けては、政策の進捗を適切に評価し、改善をはかることも重要だと指摘しました。
専門家「分配強化から成長戦略に軸足を移し、より現実的に」
政府が
決定した、「
新しい資本主義」の
実現に
向けた
実行計画などについて、
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの
小林真一郎主席研究員は、「
分配の
強化を
掲げたのが
政権の
当初のコンセプトだった
思うが、
その分配のための
原資をいかに
生み出すかという
成長戦略の
部分に
軸足を
移して、より
現実的なものに
歩み寄ってきたと
考えられる。
今の
日本の
弱い点を
改めて指摘し、
弱点をむしろ
強い点に
変えていくことによって、
それを
成長のための
原動力にしようという
考え方は
従来はなく、
新たな
着眼点で
評価できる」と
指摘しています。
一方で、「具体的にどういうプランが考えられるのか、どれくらいの財政の支出が必要なのか、法律や制度はどの程度変えるか個別の検討はこれからということになる。社会的課題の解決と経済成長という二兎を追い、実現するというコンセプトは正しいが、結局、二兎を追おうとして何も達成できなくなるリスクもある。具体的にどう進めるか、課題も多い」と述べ、今回決定した成長戦略に裏打ちされた政策を着実に実施していくことが重要だとしています。
【解説】記者はどう見る(政治部 関口裕也記者)
Q。
分配戦略が
後退との
指摘も、
どう見るか?
(政治部 関口記者)
「そうした指摘は否めない。去年の自民党総裁選挙で岸田総理は、新自由主義的な政策からの転換を打ち出し富裕層の金融所得に対する課税の見直しに言及していた。
格差是正の取り組みが進むという見方もあったが、今回の実行計画には、盛り込まれなかった。厳しい経済状況の中株式市場への配慮もあって、後回しにせざるを得ないという判断だとみられる。
一方で、賃上げを含めた「人」への投資をはじめ、スタートアップなどへの投資が強調されていて、「徹底して成長を追求する」という文言も明記された。
岸田政権でも経済成長を優先するというメッセージを発信した形と言えるが、野党側からはアベノミクスの踏襲だといった批判も出ていて、今後、実効性が問われることになる。」
「特別なものではなく、ただ日常を取り戻したいだけなんです」
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Mar 27, 2024 00:03
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