その後、ジャカルタにある入国管理局の施設で拘束されていましたが、22日の午前中に現地の空港を出発し、警視庁は日本に移送する機内で詐欺の疑いで逮捕しました。
容疑者は午後5時前に成田空港に到着し、多くの報道陣が集まる中、車に乗り込んで都内の警察署へと向かいました。
容疑者の一家は、ほかのメンバーとともに全国各地でうその申請の名義人を集め、これまでにおよそ10億円を不正に受給したとみられていて、警視庁はグループの実態解明を進めることにしています。
首都圏で飲食店を経営していた男性は、新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされ、おととし、法人として国の持続化給付金を申請しました。 しかし、給付されないまま数か月がたち、生活に困る状況が続いたといいます。 そんな時、店の客を通じて紹介されたのが谷口容疑者でした。 ファイナンシャルプランナーであることを示すIDカードのようなものを首にかけ「法人ではなく、個人事業主として給付金を申請できる。みんなやっているので大丈夫だ」などと持ちかけてきたということです。 不審に感じる点はあったものの、生活に困っていた男性は言われるまま、申請を依頼することにしました。 この時の心境について、男性は「当時は店の営業ができず、従業員に給料も支払えない状況でした。そんな中、容疑者から『個人でネット上で何かを売買した経験があれば個人事業主と言える』などと説明され、そういうものなのかなと都合よく考えてしまいました」と話しています。 その後、男性は申請に必要な住民票や運転免許証のコピーなどを手渡しました。 容疑者は「確定申告の書類はこちらの方で作成しておきます」などと慣れた様子で応対していたといいます。 給付金が本当に支給されるのか、男性は半信半疑でしたが、およそ2週間後には100万円が口座に振り込まれたということです。 これで安心した男性は、従業員数人についても同じように給付金の申請を依頼しました。 容疑者は当時「申請を待つ人が400人くらいいる」と話すなど忙しそうな様子でしたが、男性の依頼はすぐに引き受けたということです。 一方、給付金が振り込まれた後、容疑者からは1人当たり20万円の手数料を要求されました。 その際「税理士によっては40%から50%の手数料を取る人もいるので、かなり良心的にやっています」と説明を受けたといいます。 話を信じ、手数料を現金で支払った男性。 その後、容疑者は客として男性の店を訪れていましたが、次第に頻度は減り、いつの間にか連絡が取れなくなったということです。 先月、容疑者が詐欺の疑いで指名手配されたことを知った時、男性はショックを受けるとともに、どうすればいいのかと不安に襲われたといいます。 給付金を返還したいと考えていますが、受け取った額のうち、手数料を除く80万円は飲食店の運転資金にあてたうえ、結局コロナ禍で閉店を余儀なくされたため、すぐに返せる状況にはないということです。 また、警視庁からも任意で事情を聴かれたということで、男性は「ニュースを見た時は『どういうことだ』と思いましたが、本人とは連絡が取れず、どうしようもありません。不審に感じながらも、従業員を助けたいし自分も助かりたいという思いで誘いに乗ってしまいましたが、このような結果になってしまったのは本当に残念で、後悔しています」と話していました。
勧誘され名義人になった男性「このような結果 後悔」